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華陽ニュース
紙の市況(2024.7)詳細 7月31日更新分
【洋紙 国内の紙の市況/状況】
1.日本製紙パピリア 有機フッ素化合物を使用しない耐油紙発売 |
日本製紙パピリアは7月19日、同日発売したフッ素フリー耐油紙の新製品情報を公式サイトに掲載しました。同社が掲載した製品情報によると、
製品名称 | フッ素フリー耐油紙『パピ・タイユ(FF)』 |
特徴 | ・有機フッ素化合物不使用 ・独自技術でフッ素系耐油紙に近い耐油性を実現 ・一般のフッ素系耐油紙並みの耐水性を実現 ・高い通気性で、温かい食品を包んでも結露しにくく、食品のカリッとした食感を維持 |
規格品坪量 | 30g/㎡、34g/㎡、40g/㎡、45g/㎡ |
用途 | 耐油・耐水性を必要とする食品包装・敷紙、工業用途等 |
同社は今後も環境に配慮した機能性素材を開発し、さまざまな提案をしていくと表明しています。
2.丸住製紙 「パルプ抄取りマシン」増設 |
丸住製紙は7月24日、自社製クラフトパルプを原料にパルプシートを製造するパルプ抄取りマシンを増設したと発表しました。公式サイトの発表によると、
内容 | 自社で生産したクラフトパルプからパルプシートを製造する「パルプ抄取りマシン」を同社大江工場内に1基増設し、2基体制での稼働を2024年7月23日に開始。 |
狙い | クラフトパルプの製造過程で排出される黒液を使用したバイオマス発電設備の最大活用を促進 |
同社は今後もクラフトパルプの効率的な生産でバイオマス発電設備を最大限に生かし、自社での再生可能エネルギーの利用拡大や余剰電力の売電を通した地域社会への貢献を図るとともに、パルプシートの国内外への増販、自社で使用するパルプの安定的な生産にも取り組んで高品質な製品づくりに努めていくとしています。
【その他の市況/状況】
1.再生トイレ紙6月店頭価格が上昇 |
7月24日付の日本経済新聞紙上にて、再生紙製トイレ紙の6月店頭価格が上昇したと報じられています。東京紙商家庭紙同業会のまとめによるもので、同品目の6月の店頭価格が上値・下値ともに20円上昇したとのこと。家庭紙メーカー各社は4月以降の各製品の値上げを表明しており、再生紙製トイレ紙の価格上昇はそれを映したものと記事は分析していますが、その他の品目の価格は横ばいとなっており、価格交渉は今後も続くとの見方を記事は示しています。
2.大王製紙 北越コーポの鉄道コンテナで自社製品を輸送するテスト |
大王製紙は7月26日、北越コーポレーションが私有する鉄道コンテナで自社製品を輸送するテストを実施したと発表しました。両社が5月15日に締結した戦略的業務提携基本契約に沿った協業の取り組みの一環で、北越コーポレーションが新潟工場で生産した製品を私有鉄道コンテナで関西圏に供給し、その帰り便に大王製紙が三島工場で生産した製品を積んで新潟エリアへ輸送することで、環境負荷が少ない鉄道輸送の活用を拡大し輸送の効率化を推進していく狙いがあるとのこと。今回の輸送テストの結果を検証して、北越コーポレーション私有コンテナを活用した本格的な輸送開始を検討するとともに、ダイオーロジスティクスのトラックを活用した両社の生産拠点間(岐阜県可児市~新潟県新潟市~中部エリア)における製品ラウンド輸送も予定しているとのことで、引き続き物流の効率化、二酸化炭素排出量の削減、物流従事者の働き方改革の推進に向け取り組みを継続していくとしています。
3.王子HD 紙コップのリサイクルなどでテレビ朝日のイベントに協賛 |
王子ホールディングスは7月22日、テレビ朝日主催の人気番組体験型納涼イベントに協賛すると発表しました。7月20日から8月25日の期間に行われるイベントにおいて、
・王子エフテックスの原紙使用のオリジナル紙製カトラリー
・王子エフテックスの有機フッ素化合物不使用の耐油紙を使用したオリジナル包み紙
・王子インターパックの強化耐水段ボールを使用した段ボール製ゴミ箱
・旭洋の紙皿
・王子斎藤紙業の紙コップの回収・運搬・リサイクル
といった製品・技術を提供しているとのこと。
期間中同社は7階食堂エリアにおいて同社グループの専用ブースを設置し、紙コップのマテリアルリサイクルの取り組みなどの紹介も行うとしています。
【ESG、SDGs等関連】
1.大王製紙・平和堂 売上の一部を滋賀県「子どもの笑顔はぐぐみプロジェクト」に寄付 |
大王製紙は7月18日、「エリエール えがおにタッチPROJECT」の一環として、平和堂でのエリエール商品の売上の一部を滋賀県の「子どもの笑顔はぐぐみプロジェクト」に寄付したと発表しました。同社サイトの発表によると、
内容 | 大王製紙と平和堂が協同で2024年2月1日~3月31日にキャンペーンを実施(昨年4月に続く第2弾)。キャンペーン期間中のエリエール商品の売上の一部、118万円余りを滋賀県社会福祉協議会が事務局となって活動している「子どもの笑顔はぐくみプロジェクト」に7月17日に寄付。 平和堂に来店されるお客様には売上の一部が寄付されることと同時に、環境に配慮したエリエールブランドの商品を購入頂くことでプラスチックの削減や二酸化炭素排出量の削減につながることもPR。 |
エリーエール えがおにタッチ PROJECT |
人と人とのリアルでのかけがえのない触れ合いを「エッセンシャルタッチ」という言葉に込め、幸せと笑顔を増やしたいという想いから2022年4月に同社が立ち上げたプロジェクト。 エッセンシャルタッチの大切さを考える動画の発信、からだとこころの触れ合い=タッチングのノウハウ発信、講座開催、ファンコミュニティ開設、人と人の「触れ合いの機会」を取り戻す活動を支援するための地方自治体への寄付活動などを実施している。 |
同社は「誕生から介護まで一人ひとりの幸せにそっと寄り添うブランドでありたい」と、エリエールブランドの願いについて説明しています。
【印刷、製品、その他関連】
1.トーハン ファミマ・ローソンへの雑誌配送について声明 |
出版取次のトーハンは7月22日、「コンビニエンスストア配送に関する報道につきまして」と題する声明を発表しました。サイトに掲載された発表によると、
雑誌配送に 関する状況 |
他の出版取次会社の撤退表明を受け、トーハンがファミリーマート及びローソンへの雑誌配送を2025年3月から開始することで合意。 トーハンの受け入れ態勢を検討したうえで、配送店舗はファミマ・ローソン各1万店程度となることを各社との真摯な協議で相互に確認している。 |
一部報道に関する 説明 |
コンビニエンスストアへの雑誌配送に関する報道記事の一部について、「事実と異なる点があります」とし、 ・トーハンの一方的な判断で一部店舗への雑誌配送を打ち切るかのような記述がみられるが、そのような事実はない ・ファミマ・ローソンから取引開始の申し込みを受けた際に、2社合計3万店を全て引き継ぐことで合意したという事実はない ・配送可能店舗数が各社1万店程度なのは同社の物流センターのキャパシティによるもので、一部報道で言及された『物流の2024年問題』と直結するものではないと考えている ・ファミマ・ローソンの個々の店舗に対する2025年3月以降の雑誌配送については、各チェーン本部と加盟店との間で個別に協議中 と説明。 |
同社は一部報道に関する説明を行ったうえで、声明の最後を、「各社との合意に基づき、予定されたスケジュールに沿って、取引開始に向けて準備を進めてまいります」と結んでいます。
※文中敬称略
※文章は2024年7月29日現在、新聞記事などを基に華陽紙業にて編集しております。実際の動向についてはお客様にて総合的にご判断頂きますよう、お願い申し上げます。