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華陽ニュース
紙の市況(2024.10)詳細 10月20日更新分
【洋紙 国内の紙の市況/状況】
1.三菱製紙 プラスチック不使用の写真グレードインクジェット紙を開発 |
三菱製紙は10月15日、プラスチック不使用で環境に配慮した写真グレードのインクジェット用紙を開発したと発表しました。同社サイトの発表によると、
背景 | 同社は写真印刷用のメディアとして、紙とプラスチックの積層品であるレジンコート紙を生産販売している。 レジンコート紙はプラスチックフィルムを使用しているため、高光沢で発色性に優れた写真画質が得られるが、リサイクルのために水中で攪拌してもプラスチックフィルムと紙が密着したままで、リサイクルが不可能という課題があった。 |
開発品 | 同社独自の超精密塗工技術の活用で、プラスチックフィルムを使わなくても高い光沢感を発現することに成功。インクジェットプリンターによる色鮮やかなプリントアウトと、リサイクル可能で環境にやさしいという特性の両立を実現。 |
用途 | 写真、ポスター、はがき、店内POP、名刺等 |
同社は引き続き世界市場に向けて、持続可能な社会に貢献する製品を提供していくとしています。
【板紙・パッケージに関する市況/状況】
1.大王グループ FDAルール準拠の食品用包材用紙を開発 |
大王製紙は10月16日、大王グループの丸菱ペーパーテックが米国保健福祉省・食品医薬品局(FDA)のルールに準拠した、食品に直接接触する用途として使用可能な包材用紙の開発に成功したと発表しました。
米国では食品接触材は「間接的な食品添加物」とみなされ、連邦規則により厳しい基準・要求事項が設けられているとのこと。新開発品はその厳しい要求事項に適合したもので、同社は引き続きFDAのほか各国の法規制に準拠した商品開発を勧め、食品や紙包材を輸出・販売する国内企業との連携を強めることで、グローバルにおいての成長を加速させていくとしています。
2.日本製紙 韓国市場でSPOPS事業 |
日本製紙は10月16日、SPOPS事業で韓国市場へ進出すると発表しました。同社サイトの発表によると、
内容 | 韓国のNOTRAC社と、SPOPSを採用した製品の開発と販売に関する契約を締結。韓国企業へのSPOPS製品採用に向けた提案を進めていく。 第一弾として、2024年内に韓国化粧品メーカーUCL社のパーソナルケア製品のブランド「ECOJE(エコジェ)」でSPOPSを採用したシャンプーやボディソープなどの商品が韓国市場で発売される。 |
SPOPS | 日本製紙の飲料用紙パック製造技術を活用した、日用品・化粧品向け紙容器。専用のディスペンサーに中身の入った紙パックをセット、空になったら別の紙パックをカートリッジのように交換するシステム。 |
SPOPSの特長 | ・詰替時間の短縮 ・使い残し削減 ・収納効率の向上 という利便性の向上と ・使い捨てプラスチック使用量の削減 ・梱包・輸送効率の向上で輸送時の二酸化炭素排出量を削減 という環境対応の両立が可能。 今回のUCL社の採用でも、詰替の手間削減による利便性向上と、プラスチック廃棄量の削減効果などの環境適合性が評価された。 |
同社は韓国市場への進出をきっかけにSPOPSのグローバル市場での認知度向上を図り、持続可能な商品開発のイノベーターとしての役割をさらに強化していくとしています。
3.北越コーポ 『東京パック2024』に出展 |
北越コーポレーションは10月8日、10月23~25日開催の『東京パック2024』への出展を発表しました。各種バリア性を有しながらプラスチック使用量の削減が書ぬな高機能紙容器『Halopack🄬』や、酸素バリア紙やノンフッ素耐油紙といった高機能紙素材を展示予定とのことで、同社は皆様のご来場をお待ちしておりますとしています。
【その他の市況/状況】
1.パルプ対日価格が下落 |
10月12日付の日本経済新聞紙上にて、製紙用パルプの9月積み対日価格が下落したと報じられています。南米産L‐BKPは前月比10%下がって3か月連続の下落、北米産N‐BKPも同4%下落となったとのこと。
・中国や南米でのパルプ生産設備の新稼働
・中国での紙・板紙の需要伸び悩み
等が背景として挙げられていますが、下げ幅は8月積みよりも縮小したとして、北米産針葉樹の市況は底を打ったとする商社の声も紹介されています。
2.古紙輸出入札価格が下落 |
10月12日付の日本経済新聞紙上にて、関東製紙原料直納商工組合の10月積み段ボール古紙輸出入札価格が前月比2%下落したと報じられています。ベトナム向けの分で、中国の景気減速を背景にアジアの製紙工場の需要が鈍っていると記事では指摘しています。
一方、10月16日の日本経済新聞紙上では、同じく関東製紙原料直納商工組合がまとめた9月末の段ボール古紙在庫が前月末比3.5%減となったとも報じられており、段ボール古紙の在庫率には品薄感があるとも伝えられています。
3.大王・北越 チップ船の相互活用を開始 |
大王製紙と北越コーポレーションは10月11日、木材チップ専用船の相互活用を開始したと発表しました。両社が5月15日に締結した戦略的業務提携基本契約に基づく取り組みの一環で、第一弾として北越がベトナムで調達したチップを大王の専用船「ヴァンガルディア」が新潟東港まで輸送したとのこと。両社はチップの安定調達や在庫適正化、コスト低減を目的とした協議も進めているとしています。
【ESG、SDGs等関連】
1.日本製紙 剥離紙をリサイクル |
日本製紙はラベル台紙である剥離紙のリサイクルを進めていると発表しています。9月27日と10月4日の同社サイトの発表によると、
実現 | 9月27日、ニチバンと協力して、粘着テープ製品の製造過程で発生する剥離紙のリサイクルを可能にする取り組みを9月から開始したと発表。ニチバンが粘着物が混入しないように管理し、剥離紙のみを分別収集。日本製紙グループの日本紙通商が集積・断裁・破砕・梱包し、日本製紙の工場でパルプ化して段ボール原紙にリサイクルする仕組みで、これまで廃棄されていて剥離紙を資源へと転換することを可能にした。 |
拡大 | 10月4日、株式会社デコリアと共同で、使用済み剥離紙のリサイクルを10月より開始と発表。デコリアの事業所内で発生した剥離紙を分別・集積し、回収、日本製紙の工場へ納入されて再資源化され、段ボール原紙にリサイクルされる仕組み。 |
剥離紙は従来、粘着剤の残留や、難再生のポリエチレンラミネート紙が使われる場合があることから、古紙回収禁忌品としてほとんどが廃棄か熱利用されていましたが、この取り組みで廃棄物が資源に転換され、資源循環型社会への貢献を果たすことができると、同社は取り組みの意義を説明しています。
【印刷、製品、その他関連】
1.DNP 紙使用の電子レンジパウチ |
大日本印刷は10月16日、電子レンジ調理用パウチで製品の一部に紙を使用することで、開封後にそのまま食器として使えるタイプを開発したと発表しました。公式サイトの発表によると、
製品内容 | 加熱時に発生する水蒸気を自動的に逃がす機能によって、電子レンジでそのまま加熱調理できるパウチ「DNP電子レンジ包材 アンタッチスルー🄬」のピロータイプで、製品の一部に髪を使用することで、開封後にそのまま食器として使える「アンタッチスルー 喫食タイプ」を開発。 |
特長 | ・食器への移し替えや食器洗いが不要 ・プラスチックトレーやカップが不要でプラスチック使用量を削減 ・紙使用でもパッケージに必要な剛性を確保 ・「紙マーク」の付与が可能 |
この開発品は10月23~25日の『東京パック2024』の同社ブースで展示されると同社は紹介しています。
※文中敬称略
※文章は2024年10月16日現在、新聞記事などを基に華陽紙業にて編集しております。実際の動向についてはお客様にて総合的にご判断頂きますよう、お願い申し上げます。