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華陽ニュース
紙の市況(2024.10)詳細 10月31日更新分
【板紙・パッケージに関する市況/状況】
1.日本製紙 「ラミナ🄬ブリスターパック」を開発 |
日本製紙は10月22日、”紙だけでパッケージができる”がキャッチフレーズのヒートシール紙「ラミナ🄬」の新シリーズとして、「ラミナ🄬ブリスターパック」を開発したと発表しました。同社サイトの発表によると、
ラミナ🄬 | 紙基材にヒートシール塗工層を設けることで、ラミネート加工をしなくてもヒートシールを可能にした紙製品。ラミネート加工が不要であるためプラスチック使用量の削減と工程削減によるリードタイム短縮に貢献する。 「シールドプラス🄬」のようなガスバリア性はないため要注意。 |
ラミナ🄬 ブリスターパック |
紙素材とバイオマス由来の生分解性樹脂を組み合わせた新開発品。 ・プラスチック製ブリスターパックと比べプラスチック使用量を削減 ・生分解性を有し、環境負荷を低減 ・紙素材であるため、プラスチック製ブリスターパックと比べリサイクル性が向上 ・紙素材でありながら高いヒートシール性能を実現 といった特長を有している。 |
同社は今後も「ラミナ🄬」シリーズを通じて、食品、日用品、化粧品などあらゆる包装市場へ環境負荷の低い製品を提供していくとしています。
2.王子HD スーパーホテルと使用済み紙コップのマテリアルリサイクルを開始 |
王子ホールディングスは10月17日、グループ会社の旭洋株式会社、株式会社スーパーホテルと共同で、使用済み紙コップのマテリアルリサイクルを開始と発表しました。同社サイトの発表によると、今回のマテリアルリサイクルの流れは、
回収 | スーパーホテルの朝食で使用された紙コップを回収 |
破砕・洗浄 | 回収した紙コップを破砕・洗浄 |
再資源化 | 王子グループ関連工場にて紙コップの繊維分(パルプ)を再資源化し、紙コップのスリーブや段ボールに加工 |
再利用 | 再生された紙コップのスリーブや段ボールをスーパーホテルで使用 |
となり、スーパーホテルのニュースリリースによれば2024年10月31日より関西一部店舗から開始するとのこと。
一般的に紙コップには耐水性を持たせるためプラスチックラミネート加工が施されており、パルプの分離や分離後のプラスチックの処理、食品残渣といった課題から長らく古紙回収禁忌品として焼却処分されてきましたが、近年の循環経済実現の流れから、紙関連企業にて紙コップの回収・再資源化の動きが強まっています。
3.王子HD 欧州規制に対応した紙パッケージソリューション |
王子ホールディングスは10月22日、欧州の環境規制に対応したリサイクル可能な紙パッケージソリューションが、仏大手乳業メーカーの一部ブランドのクレープ菓子の外装袋に採用されたと発表しました。グループ会社のフィンランドWalki(ワルキ)社が有する独自の包装資材加工技術によるもので、ワルキ社は
・プラスチック使用量を削減し、リサイクル可能紙パッケージ
・包装機械適性や強度等は従来包材の品質を維持
を両立させ、今回の採用に至ったとのこと。
王子HDは
・環境規制が強まる欧州で、脱プラスチックおよびリサイクル可能な包材を選択するブランドオーナーの意向が強まっている
・欧州と同様の包装材に関する規制が世界に波及することが予想される
と背景を説明しており、日本やアジア、オセアニアなどの拠点でも同様の環境配慮型包装資材を積極的に提案していくとしています。
【その他の市況/状況】
1.大王製紙 『超吸収キッチンタオル』の業務用新発売 |
大王製紙は10月24日、新商品の『超吸収キッチンタオル マルチクロス』を2024年11月1日から発売すると発表しました。新開発のパルプとリヨセル(再生繊維)不織布の採用で、従来の商品を超える『吸水性』『耐久性』『耐熱性』を実現したとのことで、飲食店や食品工場の調理現場で拭き取り・調理・保存・掃除などマルチに使って頂ける商品を実現したとのこと。「超吸収キッチンタオル」シリーズから業務用商品が発売されるのは初めてで、同社はそのマルチな性能と同時に天然由来100%の素材を使用した環境にやさしい商品として、キッチンタオルの新たな選択肢をお届けするとしています。
2.日本製紙CNF複合樹脂 コンセプトカーに使用 |
日本製紙は10月24日、同社のセルロースナノファイバー強化樹脂「cellenpia PLAS🄬」が、静岡県・静岡大学が推進する「ふじのくにCNFプロジェクト」にて製作した「静岡県産木材等を使用したコンセプトカー」の内外装材に使用されたと発表しました。「ふじのくにCNFプロジェクト」はCNF等の関連産業の創出や集積、社会実装を通じて循環経済、脱炭素社会を実現することを目的としたプロジェクトで、同社はCNF強化樹脂の開発を進めるなか、本実証設備で製造した「cellenpia PLAS🄬」を同プロジェクトの推進事業にサンプル提供したとのこと。
同社は「cellenpia PLAS🄬」について、プラスチック使用量の削減と二酸化炭素を主とした温暖化ガスの排出削減につながる新素材として、自動車、建材、家電などの分野での利用が期待されていると説明しています。
【ESG、SDGs等関連】
1.「かみのいとOJO⁺」製ゴールネット J2公式戦で初採用 |
国際紙パルプ商事は10月18日、同社グループの王子ファイバー株式会社が製造・販売する「かみのいとOJO⁺」を40%使用したゴールネットがJ2公式戦で使用されると発表しました。同社がクラブパートナー契約を結んでいるザスパ群馬のホームスタジアム、正田醤油スタジアム群馬に2024年10月より導入され、公式戦で使用されるのは初とのこと。紙を原料とする糸「かみのいとOJO⁺」はこれまで人工芝などとしても採用されており、プラスチック使用量の削減とともにマイクロプラスチック問題の解決策のひとつとしても期待されています。
2.大王製紙と赤ちゃん本舗 売上の一部を寄付するプロジェクト |
大王製紙は10月18日、同社が展開する「エリエール えがおにタッチPROJECT」の一環で、赤ちゃん本舗と共同で展開したキャンペーン期間中のエリエール製品の売上の一部を、認定NPO法人「マドレボニータ」に寄付すると発表しました。同社サイトの発表によると、
エリエール えがおにタッチ PROJECT |
人と人とのかけがえのない触れ合いを「エッセンシャルタッチ」という言葉に込め、からだとこころの触れ合いで幸せと笑顔を増やしたいとの想いから2022年4月に立ち上げられたプロジェクト。エッセンシャルタッチの意義やノウハウの発信、講座開催、ファンコミュニティ運営、寄付活動を主な活動としている。 |
今回の キャンペーン |
大王製紙と赤ちゃん本舗が協同で、『頑張るママ、パパの素敵なえがおへ「エールを贈ろう!」キャンペーン』を2024年5月31日~7月31日に実施。期間中にアカチャンホンポの全店舗およびオンラインショップで販売されたエリエールブランド商品の売上の一部、1,214,989円を認定NPO法人『マドレボニータ』に寄付。 |
マドレボニータ | 「産後を起点とする社会問題の解決」を目指す認定NPO法人。産後うつ、乳児虐待、夫婦不和といった産後に起こる社会問題を、産前・産後のヘルスケアプログラムの開発・研究・普及などにより解決しようと1998年から活動している。 今回の寄付金は、「産後ケア教室」の開催や、多胎児の母、低体重児の母、ひとり親など、よりサポートが必要な立場にある親たちへの産後ケア教室の受講料補助、産後ケアの啓発活動、その他、産後ケア普及のための活動に使用される。 |
寄付贈呈式に臨んだ大王製紙・常務執行役員の小川氏は「子どもを授かったご家族の妊娠・出産・産後、育児活動の一助になれば」と支援の理由を説明しています。
3.TOPPANなど4社 冷凍食品包装(フィルム)のリサイクル実験 |
TOPPAN株式会社は10月22日、アミタ株式会社、株式会社イトーヨーカ堂、株式会社ニチレイフーズの3社とともに、冷凍食品包装(フィルム)のリサイクルの実証実験を2024年10月29日からイトーヨーカドー大森店にて行うと発表しました。消費者が家庭内で事前に洗浄・乾燥を行った冷凍食品包装(フィルム)を店舗にて回収、収集・運搬し、選別・粉砕・洗浄・再生樹脂化した後、冷凍食品と親和性が高いクリップなどの樹脂加工品に再生する実験で、将来的には冷凍食品のパッケージとして再商品化する水平リサイクルを目指すとのこと。日本政府が提唱するプラスチック資源循環戦略に沿って、冷凍食品包装(フィルム)のリサイクルを目指すニチレイを中心に、資源循環スキームの構築に強みを持つアミタと、パッケージ事業におけるリサイクル関連技術の開発などを得意とするTOPPANがパートナー企業として参加、消費者との接点であるイトーヨーカ堂が協力して、リサイクル実現に向けた課題の抽出を行い、中長期的には冷凍食品包装(フィルム)の資源循環モデルの構築と社会実装を目指すと、同社は目標について説明しています。
【印刷、製品、その他関連】
1.TOPPAN 紙皿になる食品パウチ |
TOPPAN株式会社は10月23日、電子レンジ調理後そのまま皿として使用可能な新型パウチを開発したと発表しました。公式サイトの発表によると、
製品内容 | 家庭用冷蔵・冷凍食品向け新型パウチ。フィルム製の蓋材とフィルムと紙を素材とする底材の2パーツからなる平パウチで、封をしたままレンジで加熱すると膨らんで器となることで、加熱後は蓋材を剥がすだけで食品を食べることができる。製品名は「いただき紙トレー™」。2024年10月より食品メーカー向けにサンプル提供開始。 |
特長 | ・電子レンジ加熱で器を成形し、食器への移し替えや食器洗いが不要 ・開封せずに電子レンジ加熱ができる蒸気抜き機能付き |
同製品は、TOPPANグループがパッケージで培った技術・ノウハウにマーケティングなどのリソースを掛け合わせバリューチェーンに沿った最適な選択肢を提供するサステナブルブランド「SMARTS™」のひとつとして提供され、同社はこの製品で2026年までに2億円の売上を目指すとしています。
※文中敬称略
※文章は2024年10月29日現在、新聞記事などを基に華陽紙業にて編集しております。実際の動向についてはお客様にて総合的にご判断頂きますよう、お願い申し上げます。