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華陽ニュース
紙の市況(2024.11)詳細 11月20日更新分
【洋紙 国内の紙の市況/状況】
1.製紙8社 2025年3月期第2四半期業績発表 |
製紙8社は11月14日までに、2025年3月期第2四半期(2024年4月1日~2024年9月30日)の連結業績を発表しました。各社サイトに掲載された決算短信によると、
売上高・営業利益・経常利益については、特種東海製紙が前年同四半期比増収増益、増収減益が5社、減収減益が2社という結果となっています。
2025年3月期通期の連結業績予想については、王子HD、大王製紙、北越コーポレーション、中越パルプ工業、特種東海製紙の5社が、
王子HD | 売上高・営業利益・経常利益・当期純利益を下方修正。国内では数量減、古紙価格、物流費・人件費の上昇、海外事業では売価差等が営業利益修正要因と説明。政策保有株の縮減による特別利益の発生を業績予想に織り込みと発表。 |
大王製紙 | 売上高・営業利益・経常利益・当期純利益を下方修正。ホーム&パーソナルケア事業について、国内での衛生用紙の一部価格改定遅れや加工品の予想販売数量引き下げによる減収、中国でのベビーケア製品の本格回復の遅れなどが影響と説明。 |
北越コーポ | 営業利益・経常利益・当期純利益を上方修正。海外市場のパルプ販売価格が想定を上回ったこと、投資有価証券売却益を見込んだこと等が修正要因と説明。 |
中越パルプ | 営業利益・経常利益・当期純利益を上方修正。第2四半期の実績値が原価低減や物流費圧縮等の取り組みにより予想を上回ったことなどを踏まえ修正と説明。中間配当金を前回予想に比べ1株当たり5円増配すること、期末配当予想も同様に5円増配の予想とすることを合わせて発表。 |
特種東海 | 売上高・営業利益・経常利益を上方修正。特殊機能紙の販売数量回復、トイレットペーパーの価格改定、建設事業が堅調に推移していることなどを理由として上方修正すると説明。 |
と、直近に公表した予想からの修正を発表しています。
2.米欧中で紙・板紙生産が回復との報道 |
11月14日付の日本経済新聞紙上にて、米国・欧州・中国の1~6月の紙・板紙の生産が回復していると報じられています。日本製紙連合会のまとめによるもので、米国は4.1%増、欧州は7.8%増、中国は11.8%増となったとのこと。包装資材の需要増が生産増の要因と記事では指摘していますが、日本は4.0%減と印刷向け・包装向けともに前年を割り込み回復が遅れていると記事では伝えられています。
【板紙・パッケージに関する市況/状況】
1.王子HD 「Pentawards 2024」の飲料部門で銅賞受賞 |
王子ホールディングスは11月13日、パッケージデザインの世界的なコンペティションである「Pentawards 2024」の飲料部門で同社グループ制作の「青森アップル100」のデザインが銅賞を受賞したと発表しました。青森りんご商業協同組合と同社グループの東北森紙業・王子産業資材マネジメントが関わったもので、フレッシュ感を訴求しインパクトのあるデザインを目指したとのこと。
同社グループの受賞は今回が初とのことで、この受賞を励みに今後もクリエイティブなパッケージデザインの開発に注力し、お客様のビジネスに貢献していくとしています。
2.三菱製紙『バリコート』が紙製カトラリーの紙パッケージに採用 |
三菱製紙は11月14日、同社の包装用コート紙『バリコート』のうち、二次包装に特化したヒートシールグレードが株式会社エステックの紙製カトラリーの紙パッケージに採用されたと発表しました。『バリコート』ヒートシールグレードの、
・プラスチック削減に貢献できる紙素材
・SDGsに貢献できるFSC🄬森林認証紙
という特長が評価され、エステックの紙製歯ブラシ・紙製靴べらのパッケージとして採用されたとのこと。
同社は引き続き各社と連携し、プラスチック削減の要望に応えられる製品づくりに努めていくとしています。
3.平和紙業 パッケージのデザイン展 |
平和紙業名古屋支店のギャラリー、ペーパーボイスヴェラムにて、「LBPD FUSION PROJECT 『はくとはこと紙とデザインと』」と題する展示会が開催中です。「“JAPAN PACK 2023”にオリジナルデザインを展示しよう」を目的に、平和紙業とツキオカフィルム製薬、村田金箔グループ、株式会社ホワイトハウス、伊藤美藝社製版所、鈴木紙工所、MARU‐Cがプロジェクトを立ち上げJAPAN PACK 2023に出展した作品や2024年の新作を展示するもので、同社は来場を呼び掛けています。
【その他の市況/状況】
1.ENEOS 高硫黄C重油値下げ |
11月12日付の日本経済新聞紙上にて、ENEOSが高硫黄C重油の2024年10~12月期の価格を7~9月期比で15%引き下げると表明したと報じられています。原油価格の下落と為替の円高進行を映したものと記事では伝えられています。
【ESG、SDGs等関連】
1.王子HD 紙コップをハンドタオルにリサイクル |
王子ホールディングスと王子ネピアは11月7日、清水建設と共同で、工事現場で使用された紙コップを「nepiaハンドタオル」にマテリアルリサイクルする取り組みを開始したと発表しました。清水建設の「相模湖系導水路工事」の現場で使用された紙コップを回収して破砕・洗浄、回収したパルプをハンドタオルに再生して同じ工事現場で使用するというもので、2024年5月から7月の間に約1,200個以上の紙コップを回収されたとしています。すでに同社はスーパーホテルと同様の取り組みを開始しており、引き続き資源の循環利用や環境配慮型素材・製品の開発を通じてグリーンイノベーションを推進し、持続可能な社会の実現に貢献していくとしています。
2.新東海製紙 岩石蓄熱実証推進で合意 |
特種東海製紙グループの新東海製紙は11月13日、東芝エネルギーシステムズ(東芝ESS)、中部電力、島田市と、岩石蓄熱の技術実証を推進するための連携に基本合意したと発表しました。同社サイトの発表によると、
背景 | 電気の発電と消費は一致する必要があり、このバランスが崩れると停電が発生する恐れがある。昨今、太陽光や風力といった再生可能エネルギーの導入拡大に伴い、電力の供給が需要を大きく上回る場合に、停電を防ぐ目的で再生可能エネルギーによる発電を止める「出力抑制」が増加していることが課題となっている。 この課題解決のため、余剰電力を岩石・溶融塩・コンクリートなどの蓄熱材に熱エネルギーとして蓄え、必要な時に利用する蓄熱エネルギー技術が注目されている。なかでも岩石に蓄熱する「岩石蓄熱技術」は、環境性・経済性・設備信頼性の点で高い優位性がある技術として期待されている。 |
実証内容 | 東芝ESS、中部電力、新東海製紙が2025年度末までに機器の製作を行い、新東海製紙の島田工場に岩石蓄熱およびエネルギーマネジメント技術を用いたプラントを設置。2026年度に当該機器を用いた技術実証試験を行う。島田市は地元自治体として支援。 |
実証試験では島田工場内の電力を利用して稼働させた電気ヒーターの熱を蓄熱層に貯蔵、貯蔵した熱を最適なタイミングで工場内で熱利用、あるいは電気に変換して利用する計画とのことで、脱炭素への貢献のほか、電力の需給バランスの課題解決のために蓄熱エネルギー技術が有効との考えから本技術実証試験に参画することになったと、同社は意義について説明しています。
3.大日本印刷 「あいち生物多様性優良認証企業」認証取得 |
大日本印刷は11月14日、生物多様性保全に関する優れた取り組みを行っている企業として、愛知県から「あいち生物多様性優良認証企業」に認証されたと発表しました。同社が愛知県で行っている
・名古屋市の純絶滅危惧種「ジャコウアゲハ」の保護活動
・藤前の干潟のヨシの刈り取りや、そのヨシを原料とする近隣小学校の卒業証書用紙の作成といった、「藤前干潟を守る庄内川ペーパープロジェクト」活動
・外来種「オオキンケイギク」の駆除活動
・環境・生物多様性の保全に関する普及啓発
といった活動が評価されたとのこと。
同社は今後も活動を継続して地域の生物多様性の保全を推進するほか、子どもたちの環境問題への関心の醸成を図り、活動の輪を広げていくとしています。
【印刷、製品、その他関連】
1.三洋堂書店 無人営業7店舗目を開始 |
三洋堂書店は11月11日、茨城県石岡市の三洋堂石岡店にて同社グループ7店舗目となる「スマート無人営業」を開始と発表しました。公式サイトの発表や11月12日付の日本経済新聞によると、
仕組み | HOUSEI株式会社の無人店舗ソリューションを導入。無人営業の時間帯は店舗の自動ドアを施錠し、客がドアに設置された顔認証端末に顔をかざすと解錠されて入店できる。店内ではセルフレジで商品を購入できるほか、ネットで注文した商品を受け取ることもできる。顔認証と店内の防犯カメラを連動させることで万引きを防ぐシステム。 石岡店の場合は22時から翌日午前1時半までが無人営業時間で、閉店作業も無人で行われる。無人閉店店舗は三洋堂グループでは石岡店が初。 |
狙い | 無人で営業時間を延ばすことで、お客様が本と出合う機会を増やし、利便性・サービスの向上と経営効率化の両立を図る。 |
三洋堂は今年2月に豊田市の本新店で21時~翌10時までを無人化した24時間営業を開始しており、最短で3年後には全店に深夜の無人営業を導入する方針だと、日本経済新聞は報じています。
※文中敬称略
※文章は2024年11月18日現在、新聞記事などを基に華陽紙業にて編集しております。実際の動向についてはお客様にて総合的にご判断頂きますよう、お願い申し上げます。