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華陽ニュース

紙の市況(2025.3)詳細 3月10日更新分

【洋紙 国内の紙の市況/状況】

1.大王製紙 海外子会社の工場等の売却を発表

 大王製紙は3月6日、中国の連結子会社の工場を同国の紙おむつメーカーに、トルコの子会社を現地企業の売却すると発表しました。公式サイトの発表によると、

中国  大王(南通)生活用品有限公司が保有する南通西区の第一工場(ベビー用紙おむつを生産)と南通東区の第二工場(生理用品を生産)のうち、南通西区第一工場の土地、建物、生産設備の全てを同国企業に譲渡。今後、ベビー用紙おむつの生産は外部委託することで販売は継続。第二工場は生理用品の生産・販売を継続。
 中国国内におけるベビー用紙おむつ市場の競争激化による事業ポートフォリオ見直しの一環。
トルコ  紙おむつやウェットワイプ、液体せっけんを製造する子会社EITR社の全株式を現地企業に譲渡。譲渡実行日は2025年6月中旬を予定。
 新型コロナ、ロシア・ウクライナ問題、トルコ市場の競争激化等の事業環境の変化により、当初計画の利益水準を下回っていることから、今後のトルコ事業展開を検討した結果による決議。

 この譲渡により2025年3月期で合わせて約70億円の特別損失が発生する見込みとのことですが、2025年3月期連結業績に与える影響は精査中としています。
 

【板紙・パッケージに関する市況/状況】

1.特種東海 紙製スタンドパックのテスト販売開始

 特種東海製紙は3月3日、紙製スタンドパックのテスト販売を開始すると発表しました。同社サイトの発表によると、

商品名 FPスタンドパック
特徴 ファンシーペーパーを使用したチャック付きの紙製スタンドパック(底にマチがあり自立する袋)。
紙製スタンドパックはクラフトを使用したものが多いなか、ファンシーペーパーの使用で独特の意匠性を持たせ、商品を差別化できる。
アルミ蒸着フィルムの使用で高いバリア性を付与。
用途 焼き菓子、ナッツ、ドライフルーツなどの食品、紅茶のティーバッグやコーヒーのドリップバッグ、ペットフードなどの袋として使用可能。

 
 用紙はタントやTS-ギフト1、TT‐CRAFT EMBOSSで、ECサイトで10枚からのテスト販売を受け付けるとして、この機会に手に取ってテクスチャを確認してほしいと同社は呼び掛けています。
 

2.コアレックス信栄 食用油の紙パックのリサイクルシステムを構築

 日本紙パルプ商事は3月5日、子会社のコアレックス信栄とTOPPAN、J‐オイルミルズが共同で、使用済みの食用油の紙パックをリサイクルするシステムを構築したと発表しました。TOPPANがスキームを企画してJ‐オイルミルズとともにリサイクル適性評価や実証実験を実施、コアレックス信栄は回収された紙パックを再資源化してトイレットペーパーに再生する役割を担うほか、3社で協力してリサイクル啓発活動などを行っていくとのこと。まず第1弾として静岡県裾野市において2025年4月1日より使用済み食用油の紙パックを資源ごみとして行政回収する取り組みが全国で初めて開始されますが、今後裾野市と同様の協力自治体を拡大していくことで、紙容器リサイクルの可能性を高め、循環型社会の形成に貢献していくと、3社は今後の目標を表明しています。
 

 
【その他の市況/状況】

1.1月末関東古紙在庫が減少

 2月27日付の日本経済新聞紙上にて、1月末の関東の古紙在庫が減少したと報じられています。関東製紙原料直納商工組合32社分のまとめによるもので、前月末比で在庫量が下回るのは2か月ぶりとのこと。ただ、年末に家庭や事業所などから古紙が出た反動で1月の仕入量も前月末を下回っていますが、出荷量も前月末比を下回っており、在庫の減少には歯止めがかかっていると記事では伝えています。
 

2.1月積みパルプ価格が上昇

 2月28日付の日本経済新聞紙上にて、製紙用パルプの1月積み対日価格が上昇したと報じられています。北米産N‐BKPは前月比1%、南米産L‐BKPは前月比3%上昇したとのこと。N‐BKPは2024年末から緩やかな上昇傾向となり、1月積み価格は6か月ぶりの高値水準となったと記事では伝えられています。
 

3.三菱製紙のライナーレスラベルに対応した部品が量産化

 三菱製紙は3月3日、同社のライナーレスラベル「ウォーターサーマル」に対応した水塗りモジュール「ハイドロエコ」が三栄電機より量産化・販売開始されると発表しました。「ウォーターサーマル」は台紙や裏紙がなく、裏面に水をつけることで糊が活性化して貼付が可能になるラベル用紙ですが、三栄電機の「ハイドロエコ」を各社の既存小型プリンタに簡易に無電力で取り付けることで、自動で水をつけて糊を活性化しラベルを発行することが可能になるとのこと。現在準備中の三栄電機のECサイトにて2025年4月より販売が開始されるとのことで、三菱製紙は引き続き持続可能な社会の実現に貢献する製品を提供していくと表明しています。
 

【ESG、SDGs等関連】

1.大王製紙とフジ キャンペーン売上の一部を「こども食堂」支援活動へ寄付

 大王製紙は3月3日、昨年10月1日~11月30日に行ったキャンペーンの売上の一部、110万円を2月28日に「こども食堂」を支える10県の地域ネットワーク団体と認定NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえに寄付したと発表しました。同キャンペーンは大王製紙が展開する、からだとこころの触れ合いによって幸せと笑顔を増やす「エリエールえがおにタッチPROJECT」の一環として実施したもので、プロジェクトに賛同した株式会社フジ(広島県に本社を置く、イオン系列のスーパーリージョナルリテイラー)と協同でキャンペーン期間中に対象のフジ、フジグラン、マックスバリュ、マルナカで販売されたエリエール製品の売上の一部を、対象店舗がある広島県など10県のこども食堂支援センターなどとむすびえに寄付するものです。同社は「エリエールえがおにタッチPROJECT」の活動のひとつとして、エリエール製品の売上の一部を地方自治体等に寄付することで、人と人の「触れ合いの機会」を取り戻す活動を支援するとしており、新たな寄付先や活動内容が確定したら特設サイトやSNSで随時告知するとしています。

2.北越 CDPの「気候変動」「水セキュリティ」でも「A-」獲得

 北越コーポレーションは3月3日、CDPによるサステナビリティなどの取り組みに対する評価で、「気候変動」「水セキュリティ」の分野でもそれぞれ「A-」を獲得したと発表しました。既に「フォレスト」の分野で最高ランクの「A」評価を獲得したことは発表済みでしたが、他の2分野でも「A」に次ぐ上位レベルの「A-」の評価を得たことで、3分野とも最上位である「リーダーシップレベル」を獲得できたとのこと。同社は今後も、社会課題の解決と企業としての成長を両立させ、サステナビリティ活動を積極的かつ能動的に推進していくと表明しています。
 
 

3.産業廃棄物再利用支援の企業連合

 3月4日付の日本経済新聞紙上にて、産業廃棄物の再利用を支援するサービスが企業連合により3月中に開始されると報じられています。丸紅子会社の丸紅ケミックスの呼びかけによるもので、企業連合「Do What We Can」を立ち上げ、日本製紙、三菱ケミカル、王子製紙子会社など国内企業約30社が参加するとのこと。各社の技術、ノウハウや設備を活用することにより、

・木屑や食品といった産業廃棄物をプラスチック製品に再加工
・間伐材と樹脂でデッキ向けの建築部材
・カキの殻を原料の一部に使ったゴミ袋

等の低価格での再利用・製品化が想定されていると記事では伝えられています。
 

4.大王製紙 「奨学ナプキン」2025年奨学生の募集を決定

 大王製紙は3月4日、同社が2022年4月より開始した「奨学ナプキン」の取り組みについて、2025年の奨学生の募集を決定したと発表しました。同社サイトの発表によると、

奨学ナプキン 様々な理由から生理用品の入手に困っている学生を対象に、生理用ナプキンを1年間無償で配布する取り組み。2024年度は2,000名の学生に支援を実施。大王製紙が2022年4月に開始し、ドラッグストアなど25を超える企業・団体が賛同を表明している。
アンケート 2024年度の奨学生を対象に実施。最終アンケートに回答した1,016名のうち、「定期的に届くことで安心感を覚え、気持ちに余裕ができた」等、98.6%が「気持ちに変化があった」と回答したものの、生理に関する社会の理解についての変化の有無は「どちらともいえない」が35.8%と全体では最多で、日常生活で生理に関する話題に触れる機会が少ないこと、具体的な支援が身近で行われていないことなどがコメントされている。

 アンケートなどを踏まえ同社は「奨学ナプキン」プロジェクトが奨学生のあらゆる生活場面に前向きな変化を与えていることが明らかになったとし、今後も、社会が生理の有無を問わず生理について理解し、助け合える環境を実現するため、2025年度も「奨学ナプキン」の奨学生を募集することを決定したとしています。
 

5.日本製紙 「第33回地球環境大賞 農林水産大臣賞」を受賞

 日本製紙は3月4日、産経新聞社が主催する「第33回地球環境大賞」において「農林水産大臣賞」を受賞したと発表しました。地球環境大賞は「産業の発展と地球環境との共生」を目指して1992年に創設されたもので、同社のエリートツリーの普及拡大に向けた採種穂園の整備と苗木生産活動の取り組みが高く評価されたことが今回の受賞につながったと同社は説明しています。
 一般のスギ・ヒノキに比べ成長が早く、二酸化炭素吸収量が1.5倍で、花粉発生量が半分以下という特徴を持つエリートツリーは下刈り回数の削減、伐期の短縮、二酸化炭素吸収源の確保、花粉症対策への貢献といったことから低迷する国内林業の活性化の効果が期待されているとのことで、同社は今後も同社のグリーン戦略に基づいて森林の持つ様々な価値を最大化させつつ、バイオマス製品の普及に努め、循環型社会の構築に貢献していくと表明しています。

 

6.大王製紙 自動運転トラックの実証実験を実施

 大王製紙は3月5日、3月3~4日に神奈川県・厚木ICから京都府・久御山JCTにおいてレベル2の自動運転の実証実験を実施したと発表しました。自動運転システムの開発などを手掛ける株式会社T2と共同で実施したもので、大王製紙品を扱う関東の倉庫と関西の倉庫の間で商品を往復輸送するものとのこと。ドライバーの監視のもとに自動運転が行われるレベル2自動運転の実証実験を経て、分析や課題抽出、オペレーション確認を行い、今後の自動運転の実現につなげることで、持続可能な物流体制を構築する狙いがあると、同社は本実証実験の意義について説明しています。
 

【印刷、製品、その他関連】

1.紙製人工芝「OJO⁺ペーパーターフ」 山梨県に初導入

 国際紙パルプ商事は3月6日、同社が販売する紙糸を使った人工芝「OJO⁺ペーパーターフ」が山梨県甲府市の「こうふグリーンラボ」に敷設されたと発表しました。「こうふグリーンラボ」は甲府市のリサイクルプラザに併設された甲府市の脱炭素化推進・環境教育の拠点となる施設で、天然繊維からつくられたOJO⁺ペーパーターフとの親和性が評価されて採用に至ったとのこと。山梨県内で「OJO⁺ペーパーターフ」が導入されるのは初めてとのことですが、紙製の「OJO⁺ペーパーターフ」の生分解性がプラスチック製人工芝による海洋汚染問題の解決の一助になるのではとの期待から、環境に配慮する施設・企業等で導入が進んでいると同社は説明しています。
 

※文中敬称略
※文章は2025年3月7日現在、新聞記事などを基に華陽紙業にて編集しております。実際の動向についてはお客様にて総合的にご判断頂きますよう、お願い申し上げます。