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華陽ニュース

紙の市況(2025.3)詳細 3月20日更新分

【板紙・パッケージに関する市況/状況】

1.「シルビオアルヴァ」がコーヒー豆用パッケージに採用

 王子ホールディングスは3月11日、同社グループのアルミ蒸着紙「シルビオアルヴァ」がコーヒー豆用パッケージに採用されて販売中であると発表しました。「シルビオアルヴァ」は酸素バリア性・水蒸気バリア性・遮光性を有するアルミ蒸着の紙素材で、アルミ箔と石油由来素材を低減しつつ、コーヒー豆の包装に不可欠な防湿性・保香性に優れた紙ベースの環境配慮型パッケージを作成できるとして、ジオパック社のコーヒー豆用環境配慮型パッケージの資材に採用されたとのこと。今後はデジタル印刷によるフレキシブルかつ多様なデザインにも対応する予定と、同社は「シルビオアルヴァ」の特長を説明しています。
 

2.日本製紙 ストローレス容器の採用が拡大

 日本製紙は3月13日、ストローレス学乳容器「School POP🄬」の導入が宮城県(4月上旬から)、静岡県(3月4日から)で始まり、採用エリアが24都道府県に拡大したと発表しました。開けやすく飲みやすい形状の工夫でストローレスを実現した同製品の導入拡大により、ストロー1本を0.5gとして計算した場合年間300トンの使い捨てプラスチックを削減できる計算になると、同社は導入による環境負荷低減の効果を説明しています。
 

 
【その他の市況/状況】

1.2月の家庭紙店頭価格が横ばい

 3月8日付の日本経済新聞紙上にて、2月の家庭紙の店頭価格が横ばいとなったと報じられています。東京紙商家庭紙同業会の調べによるもので、前月比横ばいは8か月連続になると伝えられています。
 

2.王子HD インドの微結晶セルロース製造販売会社を買収

 王子ホールディングスは3月10日、インドで微結晶セルロースの製造・販売をグローバルに展開するケムフィールド社の発行済み株式を取得したと発表しました。微結晶セルロースはパルプを原料として精製される無味無臭の白色粉末で、医薬品向けや栄養補助食品向けなど幅広い用途に適した安全性の高い製品であるとのこと。インドの製薬業は高品質の製品を手ごろな価格で供給することで急成長を遂げ、今後も世界的な医薬品の需要増を背景に同国で重要な輸出産業として堅調に拡大を続けると王子HDは予測しており、同社は今後も高付加価値事業を拡大することで森林資源に基づいた木質バイオビジネスを発展させていくとしています。 
 

3.王子開発のポリ乳酸フィルムを伊藤園が採用

 王子ホールディングスは3月10日、同社のポリ乳酸フィルムが伊藤園が3月17日より発売する水出しティーバッグの新製品『香る Cold Brew Tea』のティーバッグフィルターに採用されたと発表しました。同社と伊藤園、日精株式会社が共同開発したティーバッグフィルター『ピュアフィルター』は植物由来の生分解性フィルターで、利便性、抽出性、環境配慮を実現しながら水中での高い透明性を有している点が商品の世界観に貢献しているとのこと。王子HDは今後も環境配慮型素材・製品の開発によってグリーンイノベーションを推進し、持続可能な社会の実現に貢献していくとしています。

4.段ボール古紙の輸出価格が下落

 3月13日付の日本経済新聞紙上にて、段ボール古紙の3月積み輸出入札価格が前月比で13%下がったと報じられています。関東製紙原料直納商工組合が実施したもので、下落は3か月ぶりとのこと。

・中国の経済減速や米国からの供給の安定の影響で、アジアでの段ボール原紙生産が低調
・米国のアジア向け古紙輸出価格が下落

が影響していると記事では分析しており、輸出採算が悪化していると指摘しています。
 

5.パルプ価格が上昇

 3月13日付の日本経済新聞紙上にて、製紙用パルプの2月積み対日価格が前月比で上昇したと報じられています。北米産N‐BKPは前月比1%、南米産L‐BKPは同3%の上昇で、どちらも2か月連続の上昇とのこと。パルプの対日価格は下落傾向でパルプメーカーが採算改善のため価格修正を進めてきた背景があるのが要因で、パルプ需要は伸び悩んでいると記事では伝えられています。
 

6.日本製紙 養牛用飼料の実証実験成果を発表

 日本製紙は3月14日、酪農王国株式会社、株式会社スペックホルダーとともに、同社が開発した養牛用飼料「元気森森🄬」の共同実証実験で乳量・乳脂肪率の向上と牛の健康状態改善の成果が得られたと発表しました。「元気森森🄬」は同社の製紙技術を応用して木材チップから取り出した高純度セルロースから成る養牛用飼料で、今回の実証実験では乳量が1日0.7kg増加、乳脂肪率は3.79%から3.96%に改善したとのこと。牛の健康改善にも効果が見られたほか、原料が森林認証を得ている国内調達木材であることから年間を通じた安定供給にも寄与、今回の実証実験は持続可能な酪農経営の基盤強化と地域文化継承への大きな一歩となったとして、同社は今後も環境負荷低減と経済性の両立を目指し、さらなる技術革新に取り組んでいくとしています。
 

【ESG、SDGs等関連】

1.レンゴー社員が「活躍する女性リーダー表彰(ブルーローズ表彰)」受賞

 レンゴーは3月10日、監査役室担当室部長の同社社員が2024年度「活躍する女性リーダー表彰(ブルーローズ表彰)」を受賞したと発表しました。ブルーローズ表彰は大阪商工会議所主催で、企業における女性の役員・管理職登用の推進や女性リーダーのネットワーク構築促進を目的に企業活動等で活躍する女性を表彰するものとのこと。同社社員の表彰はブルーローズ表彰の前身である大阪サクヤヒメ表彰活躍賞と合わせて7人目とのことで、同社は多様な人材が互いに尊重かつ受容し、公平な活躍機会のもと個々の能力を最大限に発揮することによってイノベーションが生まれる企業を目指し、誰もが働きやすい職場の実現に向けた取り組みを推進していくとしています。
 

2.大王製紙 「健康経営優良法人」に8年連続で認定

 大王製紙は3月11日、同社が「健康経営優良法人(大規模法人部門)~ホワイト500~」に8年連続で認定されたと発表しました。「健康経営優良法人(大規模法人部門)~ホワイト500~」は経済産業省と日本健康会議が共同で優良な健康経営を実践している企業を顕彰するもので、同社は「活力ある健全な企業グループとして永続的に進化・発展していく」を健康宣言に掲げ

・ライフ・ワークバランスの推進
・生活習慣の改善
・メンタルヘルスケアの充実
・疾病の早期発見・早期治療

を4本柱として、具体的には

・疾病の早期発見・早期治療を目的に、二次検査受診率100%を目標に掲げ、受診状況の管理、検診管理部門と上司の連携による二次検査受診の重要性の周知などに取り組んでいる。
・「睡眠不足や睡眠の質の低下」が日々の生産性やメンタルヘルスに大きな影響を与えるとの理解のもと、従業員への研修や睡眠に悩む従業員に対する支援策を展開

といった重点取り組み事項を実施しているとのこと。
 同社グループのエリエールテクセル、大津板紙、エリエールライフ、いわきエコ・パルプの4社も今年初めて「健康経営優良法人(中小規模法人部門)」に認定されたとのことで、同社は引き続き健康経営の推進でSDGsの目標「3.すべての人に健康と福祉を」の達成に貢献することを目指すとしています。
 

3.北越 紙と自動車の異業種ラウンドマッチング輸送を開始

 北越コーポレーションは3月13日、2025年2月よりダイハツ・日本通運・JR貨物3社と共同で紙と自動車の異業種ラウンドマッチング輸送を開始したと発表しました。ラウンドマッチング輸送は、ある製品を輸送した帰り便を空で回送するのではなく他のものを積んで帰ることで往路復路の積載率を高め環境負荷とコストを低減する輸送のことで、今回の取り組みでは北越が新潟工場で生産した上質紙等の紙製品を新潟県焼島駅から京都府京都貨物駅まで20フィートコンテナで鉄道輸送、その帰り便にダイハツが京都工場や滋賀工場で生産した小型自動車を載せ、新潟地区の販売会社へ輸送するという仕組みになっているとのこと。今後も4社は各社が有する物流資源の有効活用や効率的な仕組みの構築に取り組み、物流面での脱炭素化や持続可能な社会の実現に貢献していくとしています。
 

4.日本製紙 JALなどと純国産SAF実現に向けた覚書を締結

 日本製紙は3月17日、日本航空(JAL)、エアバス、住友商事、Green Earth Institute(GEI)と5社で、国産木材由来のバイオエタノールを用いた持続可能な航空燃料(SAF)の実現に向け、相互連携を目的とした覚書を締結したと発表しました。日本製紙、住友商事、GEIの3社は2023年2月に「森空プロジェクト🄬」を発足、2025年2月には木質バイオマスを原料とするバイオエタノールなどの製造販売の合弁会社設立に関する合意書を締結していますが、このほどJALとエアバスが同プロジェクトに新たに参画し、需給両面から国産SAFの普及・拡大の推進に取り組んでいくとのこと。5社の連携によって、それぞれの強みを生かし、国産木材を活用したバイオエタノール由来の国産SAFの生産・普及を推進することで、資源循環による脱炭素化社会と地域の活性化、持続可能な未来の実現に取り組んでいくと、同社は連携の意義を説明しています。
 

【印刷、製品、その他関連】

1.ユニ・チャーム 使用済み紙おむつの全ての素材を活用できる技術の構築を発表

 ユニ・チャームは3月13日、使用済み紙パンツから分離・リサイクルした高分子吸収材を原材料の一部に使用した『デオサンド 香りで消臭する紙砂RefF(リーフ)ピュアフローラルの香り』を2025年3月18日に全国で発売すると発表しました。同社サイトの発表や3月14日付の日本経済新聞紙上の記事によると、

すべての素材の活用  使用済み紙おむつは主に「肌に触れる樹脂製の不織布」「綿状のパルプ」「高分子吸収材」で構成されている。
 これまで同社は「パルプの再生・再利用」「不織布から分離したプラスチックの再生・再利用」を実施していたが、24年夏ごろに「高分子吸収材」の再生に成功し、今回、再生した高分子吸収材を原料の一部に使用した紙砂の発売に至った。
経緯 2015年 使用済み紙パンツの再資源化を目指す「RefFプロジェクト」を開始。
2019年 未使用のパルプと同等品質の衛生的で安全な「再生パルプ」の生成に成功。
2022年5月 吸水紙の一部に再生パルプを使用した大人用紙パンツを発売。
2024年4月 吸水紙の一部に再生パルプを使用した「マミーポコパンツRefF」「デオトイレ 消臭・抗菌シートRefF」を発売。
 使用済み紙パンツのリサイクル過程で分離した「再生プラスチック」を活用した「紙パンツ(紙おむつ)専用回収袋」や「紙パンツ(紙おむつ)専用回収ボックス」の再生利用を推進。
2024年夏ごろ 高分子吸収材から尿などを分離し、再生後の吸収力と再利用のための安全性の両立を可能にする新技術を開発。
 安全性を保ったまま高分子吸収材と排泄物を分離し、既存の猫向けトイレ用品と同レベルの吸収力の再現に成功したことにより、今回の新製品発売に。

 
 「RefF」は「Recycle for the Future」の頭文字を取って同社が展開する水平リサイクルのブランド名に採用したもので、同社は持続可能な社会の実現に貢献するべく「使用済みの紙パンツを捨てないみらい」に向けてリサイクルに取り組んでいると表明しています。

※文中敬称略
※文章は2025年3月18日現在、新聞記事などを基に華陽紙業にて編集しております。実際の動向についてはお客様にて総合的にご判断頂きますよう、お願い申し上げます。