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華陽ニュース
不定期配信 江戸ネタ 6
今年の大河ドラマ「べらぼう」の舞台、江戸。文化の担い手が特権階級から町民へと広がり、政治に与える経済の影響が拡大するこの時代には、様々な文化や風習が新しく生まれ、現代へとつながっているものもあります。
江戸時代の出版や紙、風習や様々な出来事などについて、小ネタをご紹介致します。
6 「刊記・埋木」
「奥付」と同じ意味合いの言葉で、現在は使われていない言葉に「刊記」があります。ある書籍の板木が完成し、初めて全ページ摺られて出版されることを「刊」といい、この「刊」の出版年月日、出版地、出版者等を記した文言のことが「刊記」と呼ばれています。「奥付と何が違うのよ・・・」という話ですが、違うのは印刷されている場所。本文と同じ板木に彫られ、本文などの続きで摺られる場合を「刊記」、本文とは別にページを設けて摺られている場合を「奥付」と区別しているのだそうです。
「じゃあ、書肆が変わりました、っていうときには本文から彫り直し・・・」と青くなってしまいそうですが、書肆名に関しては「埋木」で改刻された例が確認されているそうです。「埋木」は該当部分を削って新しい木で埋め、その上に彫り直すこと。デジタルよりも活字よりも修正に手間がかかりそうな「木版印刷」ですが、修正にもそれに応じて技が磨かれた、ということでしょうか。