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華陽ニュース

不定期配信 江戸ネタ 7

今年の大河ドラマ「べらぼう」の舞台、江戸。文化の担い手が特権階級から町民へと広がり、政治に与える経済の影響が拡大するこの時代には、様々な文化や風習が新しく生まれ、現代へとつながっているものもあります。
江戸時代の出版や紙、風習や様々な出来事などについて、小ネタをご紹介致します。

7 「嵯峨本」

 江戸の書籍の出版は木版印刷が主体でしたが、このとき既に活字による印刷=活版印刷は日本に伝来済みでした。この当時に近い伝来の経路は、中国で開発された活字が朝鮮半島に伝わり、文禄・慶長の役(1592~1597年)のころ日本に伝来したものや、イエズス会の宣教師と一緒に1590年ごろに西欧から伝わったものがあり、こちらは「キリシタン版」と名付けられています。
 江戸初期の一時期、豪商・角倉了以の子息、角倉素案が本阿弥光悦、俵屋宗達などの協力を得て、木活字を使って印刷した『伊勢物語』や「謡本」(能の声楽部分のテキスト)が「嵯峨本」として現在まで伝えられています。「嵯峨本」の名称の由来は、素案の別荘があり、活動拠点でもあった京都・嵯峨の地名から。雲母摺した下絵の上に木活字の文字が印刷された美しい書物で、この時期に印刷された活字印刷による書籍は「古活字本」とも呼ばれています。