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華陽ニュース
不定期配信 江戸ネタ 8
今年の大河ドラマ「べらぼう」の舞台、江戸。文化の担い手が特権階級から町民へと広がり、政治に与える経済の影響が拡大するこの時代には、様々な文化や風習が新しく生まれ、現代へとつながっているものもあります。
江戸時代の出版や紙、風習や様々な出来事などについて、小ネタをご紹介致します。
8 「伏見版・駿河版」
室町末期までには日本に伝来していた活字。それを大いに活用した武将のひとりが徳川家康でした。1599~1606年、家康が伏見円光寺の僧に木活字を与えて出版させたのが「伏見版」と呼ばれる書物群。内容は孔子の言行や逸話を収録した『孔子家語』、政治の要諦を記す『貞観政要』、『吾妻鏡』や兵法書などでした。
将軍の座を譲り駿河に居を移して後、家康は今度は木ではなく金属の銅活字を作成させます。この銅活字を用いて『大蔵一覧集』『群書治要』を刊行したのが1615~16年。こちらは「駿河版」と呼ばれており、銅活字の一部は昭和期に凸版印刷の所有となって、現在、印刷博物館にて所蔵・展示されています。
ちなみに徳川以前に武家の盟主だった豊臣氏陣営は1606年に木活字による『帝観図説』を刊行しており、こちらは「秀頼版」と呼ばれています。