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華陽ニュース
不定期配信 江戸ネタ 12
今年の大河ドラマ「べらぼう」の舞台、江戸。文化の担い手が特権階級から町民へと広がり、政治に与える経済の影響が拡大するこの時代には、様々な文化や風習が新しく生まれ、現代へとつながっているものもあります。
江戸時代の出版や紙、風習や様々な出来事などについて、小ネタをご紹介致します。
12 「墨摺絵・紅絵・漆絵・紅摺絵・錦絵」
木版印刷で浮世絵が摺られるようになった当初、浮世絵は墨一色の「墨摺絵(すみずりえ)」でした。これでは寂しいと考えた誰かが、墨摺絵に手で赤や黄色に色を塗るようになり、これが「紅絵(べにえ)」と呼ばれるようになります。さらにその墨についても、一部に膠の強い墨を用いて光沢を出す「漆絵(うるしえ)」という技法が生み出され、浮世絵はより美麗なものになり、ついには「紅摺絵(べにずりえ)」と呼ばれる、墨と紅の2色が木版摺りとなる浮世絵が1740~50年ごろに登場します。多色摺りの「錦絵」が登場するのはその少し後、1760~70年ごろ。大久保甚四郎という人物が絵師・鈴木春信に依頼してつくった多色摺りの浮世絵が好評を得て、改めて商品として世に出されたことがきっかけとのことで、以後、浮世絵は多色摺りの錦絵ばかりになっていったのでした。ちなみに現在の印刷でも大切な「見当」は多色摺りの色合わせのために生まれた工夫と伝えられています。