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紙の市況(2025.6)詳細 6月20日更新分

【板紙・パッケージに関する市況/状況】

1.王子マテリア 美粧印刷に特化したクラフト紙を発売

 王子ホールディングスは6月11日、グループの王子マテリアが美粧印刷に特化したクラフト紙「晒光沢原紙」「未晒光沢原紙」を開発、6月より順次本生産を開始すると発表しました。

クラフト紙のこれまでの課題 脱プラ・減プラの取り組みが加速するなか、パッケージ素材をプラスチックから紙へと切り替える潮流で堅調に需要が推移するクラフト紙だが、クラフト紙の最重要品質は『強度』なので、強度を獲得するため印刷再現性が多少犠牲になり、美粧包装には向かないとの課題があった。
課題解決の取り組み 王子マテリアの抄紙技術を駆使。クラフト紙の片面に高光沢を付与することで、
・平滑性を向上
・印刷網点欠落を減少
・塗工紙に迫る印刷再現性
・効率的な光沢付与でコスト競争力にも優れる
を実現。
新製品の特長 ・白色の「晒光沢原紙」は従来の片艶クラフト紙に比べ白色度が高く、シャープで冴えのある印刷再現性を求められるシールラベルや食品蓋材の基紙としても適している。
・「晒光沢原紙」「未晒光沢原紙」ともに、各種包材のほか、ラベル用途、書籍などのグラフィック用途にも。
規格 50g/㎡、80g/㎡、100g/㎡、120g/㎡の4米坪を用意。

 同社は新製品を「業界の常識を覆す、革新的なクラフト紙」に仕上がったとしており、「晒光沢原紙」は6月から、「未晒光沢原紙」は7月から本生産を開始するとしています。
 

2.レンゴー プロスポーツチーム向け展示会に出展

 レンゴーは6月17日、2025年6月25~27日に開催される「スポーツチーム・アスリート向け総合展2025 ‐Japan Sports Week‐」に出展すると発表しました。同展は「ファン獲得」や「売れるグッズ」「競技力向上」など、プロスポーツチーム向けの製品・サービスを展示する商談展示会とのことで、同社はフルカラーのデジタル印刷段ボール「デジパケ」を活用したファンマーケティングの事例を紹介するとのこと。入場は無料ですが事前登録が必要とのことで、同社は来場の際のブースへの立ち寄りを呼び掛けています。
 

【その他の市況/状況】

1.日本製紙 米粉麺にCNF採用

 日本製紙は6月6日、静岡県富士市商工会婦人部が販売している米粉麵「富士山ひらら」のリニューアル品に同社のセルロースナノファイバー「セレンピア🄬」が採用されたと発表しました。「富士山ひらら」は富士市のお米と富士山の湧水を使用した米粉の麺で平成22年度に商品化されましたが、米粉にグルテンがないことから、小麦粉に比べてまとまりにくく調理中に切れやすいという課題があったとのこと。同社富士革新素材研究所の知見を活かして、従来品の「富士山ひらら」に同社CNFを増粘剤として配合することで

・保形性が向上。麵が切れにくくなったことでレシピの幅が拡大。
・コシが出て食感が向上。「もちもち」の歯応え、「つるつる」の口あたり・喉越しの向上に。
・乾燥防止・強度付与で、冷凍した際の麺の割れ・ちぎれを防止。

といった特長を付与し、課題解決の一助となったと同社は説明しています。
 リニューアルされた「富士山ひらら」は6月10日以降、富士市内の販売店や静岡県アンテナショップなどで随時販売予定で、紙をイメージした短冊形の麺をつけ麺やパスタ、カレー、お鍋の具、油で揚げてスナック、ピザ生地としてなど、様々な料理で楽しんでほしいと紹介されています。
 

2.レンゴー CNF複合の不燃性耐熱無機シート

 レンゴーは6月6日、同社グループの丸三製紙とともに、同社開発のセルロースナノファイバー「ファインナチュラ™」を複合した不燃性耐熱無機シートを開発したと発表しました。丸三製紙が従来製造する耐熱無機シートは、鉱物由来の繊維ロックウールを数ミリメートルのシート状に成型したものであり

・多孔質であるため、軽量で吸音性、断熱性に優れる
・無機物を原料とするため燃えにくい

という特長を有していましたが、これにファインナチュラを複合することで

・従来シートに比べ、強度、剛性が大きく向上
・遮音性も高まる

ことが確認されたとのこと。
 軽くて施工しやすく、不燃性かつ高強度、防音効果にも優れる開発品は幅広い分野での活用が期待されるとのことで、同社は今後も各分野の企業と連携を図り、実用化に向けて取り組んでいくとしています。
 

3.特種東海 スタートアップ企業との交流イベント実施

 特種東海製紙は6月13日、株式会社ゼロワンブースターと共同主催でスタートアップ創出のためのイベントを静岡県静岡市で開催する運びとなったと発表しました。開催は6月27日と7月18日の各17:00~20:00で、名刺交換会とトークセッション、交流会を予定しているとのこと。同社が目指す製紙と環境の両輪での大きな成長のためには新たな事業へのチャレンジが必要との観点から起業家やスタートアップ企業に着目した同社は、2025年1月よりゼロワンブースター主催のスタートアップ創出支援プログラム「Studio10X」に参加、リサイクル事業や環境保全事業における課題を起業家に提示し、その解決を図る事業を支援することによりパートナーとして共に成長できることを期待しているとして、創業前起業家、スタートアップの方々のイベントへの参加を募っています。
 

【ESG、SDGs等関連】

1.王子HD、北海道スマート林業EZOモデル構築協議会に参画

 王子ホールディングスは6月10日、北海道スマート林業EZOモデル構築協議会に正式会員として参画したと発表しました。同協議会はデジタル機器やデータの活用で人力作業の省略・軽労化という課題を解決し、北海道における「スマート林業」の実現を目指して2019年に設立されたもので、

・ICTや高性能林業機械の導入
・効率的な生産・流通体制の構築
・人材育成

等を通じて、持続可能な林業モデルの確立に取り組んでいるとのこと。
 同社によると民間企業が単独で同協議会に賛同・入会するのはこれが初とのことで、同社はこの協議会への参画を通じて、地域と連携しながら日本の林業の課題解決と持続的な成長に貢献していくとしています。
 

2.王子HD、「SOMPOサステナビリティ・インデックス」構成銘柄に選定

 王子ホールディングスは6月12日、SOMPOアセットマネジメントが運用する「SOMPOサステナブル運用」に用いられる「SOMPOサステナブル・インデックス」構成銘柄に選定されたと発表しました。選定は7年連続とのこと。「SOMPOサステナブル運用」はESG評価が高い企業に幅広く投資する、年金基金や機関投資家向けの責任投資プロダクトで、毎年見直しが行われる構成銘柄に2025年も選定されたのは同社のESGへの取り組みが評価されたものとして、同社は今後も、サステナブルな未来へ貢献できるよう取り組んでいくとしています。
 

3.王子HD、ブラジル植林会社の株式を取得

 王子ホールディングスは6月13日、グループ会社のセニブラ社を通じてブラジルの植林会社と土地管理会社の株式の一部を取得したと発表しました。この株式取得により同社は新たに植林可能面積が9千haとなる植林地をブラジルで取得。高級家具や楽器、船舶・高級車の内装といったプレミアム市場で需要が拡大している「アフリカン・マホガニー」の植林を行う計画であるとのこと。同社は今回の植林地取得で二酸化炭素の吸収・固定を推進するとともに持続可能な森林資源の確保と事業ポートフォリオの多角化を実現する狙いがあるとのことで、今後も現地パートナーとの協業を通じ、脱炭素社会の構築とブラジル地域経済の発展に貢献していくとしています。
 

4.大王製紙 平和堂と「ちょっといいことキャンペーン」第3弾

 大王製紙は6月12日、平和堂と協同で2025年2月1日~3月31日に第3回の「ちょっといいことキャンペーン」を実施、対象期間のエリエール商品の売上の一部128万円余りを、滋賀県の「子どもの笑顔はぐくみプロジェクト」に寄付したと発表しました。6月11日に滋賀県大津合同庁舎にて寄付贈呈式を実施、「子どもの笑顔はぐくみプロジェクト」に寄せられた寄付金は、県内の子ども食堂や子どもたちの居場所をつくる活動など、人と人との触れ合いを増やす活動に使用されるとのこと。大王製紙と平和堂は2023年4月から継続してキャンペーンを実施しており、2023年8月や2024年7月にも対象期間のエリエール商品の売上の一部を「子どもの笑顔はぐくみプロジェクト」に寄付しています。

【印刷、製品、その他関連】

1.2025年本屋大賞5作品に「ソリスト(N)」

 中越紙パルプ工業は5月29日、2025年本屋大賞の受賞作・ノミネート作の本文用紙に同社川内工場製造の嵩高書籍用紙『ソリスト(N)』が採用されていると発表しました。大賞を受賞した阿部暁子さんの『カフネ』のほか、『アルプス席の母』『小説』『禁忌の子』『死んだ山田と教室』にそれぞれ使用されているとのこと。同社はぜひ本を手に取って、作品と同時に「ソリスト(N)」の軽くて柔らかい紙の風合いを楽しんでほしいと呼びかけています。
 

※文中敬称略
※文章は2025年6月18日現在、新聞記事などを基に華陽紙業にて編集しております。実際の動向についてはお客様にて総合的にご判断頂きますよう、お願い申し上げます。