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華陽ニュース

不定期配信 江戸ネタ 18

今年の大河ドラマ「べらぼう」の舞台、江戸。文化の担い手が特権階級から町民へと広がり、政治に与える経済の影響が拡大するこの時代には、様々な文化や風習が新しく生まれ、現代へとつながっているものもあります。
江戸時代の出版や紙、風習や様々な出来事などについて、小ネタをご紹介致します。

18 「疱瘡絵・麻疹絵」

 新型コロナ下で「アマビヱ」の名が全国に広まりましたが、これはもともと江戸末期の瓦版で紹介された妖怪?妖精?で、「疫病が流行ったら私の写し絵を人々に見せよ」と予言して海中に姿を消したという話がある投稿から全国に広まり、アマビヱのイラストを描いたり商品のデザインに使ったりといったブームに拡大したものでした。アマビヱのイラストに護符の働きを期待した動きだったわけですが、今よりも病に対する抵抗手段が少なかった江戸時代には、病を護符で退散させようとするのはごく当たり前の対処方法でした。
 「疱瘡絵」は疱瘡(天然痘)が家に入ってこないようにと門に貼ったり、かかった人が軽く治りますようにとの祈りを込めて枕元に置いたりして使われたもので、疫病を払うと信じられていた鍾馗様や金太郎などの英雄、縁起物の鯛などの画が、こちらも魔を払うと信じられていた赤一色で摺られた木版画です。これに対し、同じくらい怖い病であった「麻疹」に対抗する「麻疹絵」は多色摺りの木版画で、神が疫病を退治する様子が描かれています。ちなみに「麻疹絵」に描かれる葉っぱは「葉書」の語源ともいわれる「タラヨウ」の葉。この葉の裏におまじないの歌を書いて川に流せば麻疹が軽く済むと信じられていました。