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華陽ニュース
紙の市況(2025.6)詳細 6月30日更新分
【洋紙 国内の紙の市況/状況】
1.特種東海 耐熱絶縁紙の販売に「高機能マテリアル営業部」を新設 |
特種東海製紙は6月25日、従来、同社が製造しTTトレーディングが販売代理店となっていた耐熱絶縁紙「TT‐TOKRON AH101」の販売機能を、2025年7月1日より特種東海製紙に移管すると発表しました。同社サイトの紹介によると、「TT‐TOKRON AH101」はメタアラミド繊維をシート化したもので、長期的に熱安定性が高く、変圧器やモーター等の絶縁紙として使用されるものとのこと。同社はこの製品を専担で扱う高機能マテリアル営業部を新設し、製品製造から販売までワンストップサービスで供給可能な体制を構築すると発表しています。
【板紙・パッケージに関する市況/状況】
1.王子マテリア 段ボール原紙などの値上げを発表 |
王子マテリアは6月20日、段ボール原紙や紙管原紙などの価格改定を発表しました。
対象品種 | 段ボール原紙(全銘柄) 紙管原紙 石膏ボード原紙 雑種紙 |
値上げ幅 | 現行価格より+10%以上 |
実施時期 | 2025年10月1日出荷分より |
同社は原燃料価格の高止まり、諸資材の上昇、薬品価格や物流費の高騰、人件費の増加を理由に挙げ、値上げに理解を求めています。
【その他の市況/状況】
1.家庭紙5月店頭価格は横ばい |
6月20日付の日本経済新聞紙上にて、5月の家庭紙の店頭価格が前月比横ばいとなったと報じられています。東京紙商家庭紙同業会の調べによるもので、4月に値上がりした一部品目の価格は維持されましたが、他の品目に波及する様子は見られなかったと記事では伝えられています。
2.パルプや古紙の国際価格が下落 |
6月24日付の日本経済新聞紙上にて、パルプや古紙の国際価格が前月比で下落したと報じられています。南米産L‐BKPの5月積み価格は前月積み比6~7%、北米産N‐BKPは同3%、関東製紙原料直納商工組合の古紙の6月積み輸出入札価格も前月比3%下がったとのこと。いずれも中国の需要低迷と米中の相互関税の行方の不透明さが影響していると記事では分析されていますが、北米産N‐BKPについては環境対策による伐採規制も影響することからこれ以上の値下げには慎重な姿勢を取るとの観測も伝えられています。
【ESG、SDGs等関連】
1.大王製紙 くすりのマルトと子ども食堂支援活動に寄付 |
大王製紙は6月18日、くすりのマルトと協同で実施した「あなたのお買い物でこどもの未来につなげよう!」キャンペーンのエリエール商品の売上の一部49万円余りを、認定NPO法人 全国こども食堂支援センター・むすびえ、及び、いわき子ども食堂ネットワークに寄付したと発表しました。6月17日に株式会社くすりのマルト本部にて寄付贈呈式を実施、むすびえやいわき子ども食堂ネットワークに寄せられた寄付金は、子ども食堂の安心・安全や地域のコミュニティを育む活動に活用されるとのこと。くすりのマルトとのキャンペーンは今回が2回目とのことで、贈呈式において同社は今後も第3回、第4回と継続して子ども食堂の活動を支援していきたい旨の挨拶があったと伝えられています。
2.王子HD 紙製ハンドタオルの水平リサイクを開始 |
王子ホールディングスは6月19日、王子ネピア、星野リゾートともに紙製ハンドタオルの水平リサイクルを開始したと発表しました。
①星野リゾート4施設で紙製ハンドタオルを回収
②王子ネピアの協力工場でnepiaハンドタオルとして再製品化
③再生されたハンドタオルを回収した4施設で利用
というシステムを確立し、協力会社とも連携して
・強度を持たせてあるが故の使用済みハンドタオルの溶解性の悪さ
・汚れ・臭いの問題
・回収ルートの確立
といった課題を解決して再製品化に成功したとのこと。
同社は近年プラスチック代替としての紙の需要が高まっていることから持続的なマテリアルリサイクルの重要性が増しているとし、今後も資源の循環利用に寄与し、持続可能な社会の実現に貢献していくと表明しています。
【印刷、製品、その他関連】
1.KPPGHD 東京モード学園と「かみのいとOJO⁺」で産学連携 |
KPPグループホールディングスは6月16日、グループ会社の国際紙パルプ商事、王子ファイバーと東京モード学園が協力し、紙でつくった天然繊維「かみのいとOJO⁺」を使った産学連携の年間プロジェクトを開始すると発表しました。
内容 | 学生たちが、サステナブルな素材である紙糸を学び、紙糸を使って作品を制作し、展示会で披露するまでの一連の取り組みを共同で実施。 |
狙い | ・若い世代の持続可能なものづくりへの理解を促進 ・環境対応素材の普及 |
スケジュール | ①6月18日に同校で「かみのいとOJO⁺」に関する講義を実施 ・「かみのいとOJO⁺」の繊維としての機能性 ・ファッション業界での採用事例 ・環境配慮ニーズへの対応事例 ・「かみのいとOJO⁺」の歴史や製造工程 等 ②国際紙パルプ商事が10月に出展を予定する「ファッションワールド東京」で学生たちの作品を展示 |
「かみのいとOJO⁺」 | 王子ファイバーが企画・製造する紙糸製品。 ・原料はオーガニック認証を取得したマニラ麻 ・製品自体も高い生分解性を持つ天然繊維 ・多孔質であるため、湿気を吸いやすく、乾きやすくて、ドライな肌触り ・織り方、編み方、組み合わせる素材等で、様々な風合いを実現 といった特徴を持つ。 |
同社は学生たちの作品を展示することで、若い感性が反映された作品を介して紙糸の新たな魅力を発信することも今回の連携の狙いであるとしています。
2.紙100%の入場証「かみのぱす」に「かみのいとOJO⁺」が採用 |
KPPグループホールディングスは6月20日、「かみのいとOJO⁺」が、株式会社システムフォワードが提供する環境に配慮した紙製の入場証「かみのぱす」に採用されたと発表しました。「かみのいとOJO⁺」が採用されているのは首からかけるストラップ部分で、「かみのいとOJO⁺」の高い生分解性、環境対応性、耐久性、着け心地の良さが評価されて採用に至ったとのこと。「かみのぱす」は展示会やイベント用の入場証で、ストラップ、カード、ストラップとカードの接続部の全てが紙でできており、使用後は全て紙として処分できるため、分別の手間がかからず、これまでに1万人規模が訪れる展示会での使用実績があることなどから、その環境対応と入場証としての機能性の両立を証明しているとされています。
3.日本紙パルプ商事 今年も「こどものための100冊」に協賛 |
日本紙パルプ商事は6月23日、一昨年、昨年に続き今年も「こどものための100冊キャンペーン」に協賛していることを発表しました。このキャンペーンは「子どもたちの未来のために、良い本に触れるきっかけをつくりたい」という想いのもと、子育て中の著名人、書店員、図書館員がおすすめする100冊をまとめたカタログ『こどものための100冊2025』を発行して参加書店や図書館などを通じて子育て世帯に配布するもので、文化通信社が主催して今年で5回目となるとのこと。キャンペーン期間中に参加書店などで1,000円以上の購入をすると応募できるプレゼント企画も開催されており、同社はそのプレゼントとして環境にやさしいトイレットペーパーを提供しています。
※文中敬称略
※文章は2025年6月26日現在、新聞記事などを基に華陽紙業にて編集しております。実際の動向についてはお客様にて総合的にご判断頂きますよう、お願い申し上げます。