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華陽ニュース

不定期配信 江戸ネタ 23

今年の大河ドラマ「べらぼう」の舞台、江戸。文化の担い手が特権階級から町民へと広がり、政治に与える経済の影響が拡大するこの時代には、様々な文化や風習が新しく生まれ、現代へとつながっているものもあります。
江戸時代の出版や紙、風習や様々な出来事などについて、小ネタをご紹介致します。

23 「ベロ藍」

 明治初期に来日したイギリス人の化学者が日本に藍染めの衣服が多いのに驚き、それを「ジャパン・ブルー」と称したほど、かつての日本では青が生活に満ちていました。
 そんな日本の絵画につきものの色のひとつが「群青」。これは藍銅鉱という希少な鉱物からつくられる高価な顔料だそうですが、明治~昭和期の日本画の大家、速水御舟は一時群青を多用した作品ばかりを書き、自らを「群青中毒にかかった」と表現したとか。
 となれば、「北斎ブルー」「広重ブルー」の名がある葛飾北斎、安藤広重の画に使われた青もその「群青」かと思うところですが、実はその青は輸入された合成顔料の「ベロ藍」でした。18世紀初頭にベルリンで開発されたもので、「プルシアンブルー」とも呼ばれる色ですが、浮世絵師の間では「ベルリン藍」転じて「ベロ藍」と呼ばれるようになったそう。濃淡をつくったりぼかしたりといった表現に適していたため、北斎や広重の画にみられる青の濃淡やぼかしの表現に一役買っていました。