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華陽ニュース

紙の市況(2025.7)詳細 7月31日更新分

【洋紙 国内の紙の市況/状況】

1.中越パルプ 壁紙原紙を値上げ

 中越パルプ工業は7月15日、壁紙原紙の価格改定を発表しました。

対象品種 壁紙原紙
改定幅 現行価格より+10%以上
実施時期 2025年10月1日出荷分より

 同社は原材料費、諸資材費、物流経費の上昇等を挙げ、価格改定に理解を求めています。
 
 

2.巴川の特殊機能紙 営業権・棚卸資産を特種東海が譲受

 特種東海製紙は7月25日、巴川コーポレーションより各種特殊機能紙の営業権および棚卸資産を譲受する基本契約を締結したと発表しました。同社サイトの発表によれば、

理由 製紙事業における成長領域への製品投入などによる製品構成入れ替えの一環で、巴川コーポレーションの各種特殊機能紙(滅菌紙、通帳用紙、カード用紙、為替用紙、含侵紙)の営業権と棚卸資産を譲受。
譲受対象 営業権(契約関連)
棚卸資産(見込み販売量の1年分程度を予定。取引先ごとに決定)
譲受価格・譲受日 各種特殊機能紙ごとに個別契約を別途締結。個別契約締結日は未定も、最終譲受期限日は2030年7月25日と設定。

 同社は製紙事業と環境関連事業を成長の両輪と位置付けており、製品構成の入れ替えで製紙事業のさらなる推進に取り組んでいるとしています。
 

【板紙・パッケージに関する市況/状況】

1.レンゴー イタリア・スカート社の持分取得

 レンゴーは7月24日、同社子会社のトライウォール社が子会社を通じてイタリア・スカート社の持分100%を取得したと発表しました。スカート社は傘下の事業会社とともにイタリア北中部に工場を有し、段ボール、木材梱包、木材パレット等の重量物包装資材の製造・販売を行う会社で、今般のグループへの参加でレンゴーはイタリアでのネットワークを拡大するとのこと。レンゴーはこれによりさらなる供給体制の充実を図り、多種多様なニーズに応える包装・サービスを提供していくとしています。
 

 
【その他の市況/状況】

1.家庭紙の6月店頭価格が横ばい

 7月16日付の日本経済新聞紙上にて、家庭紙の6月の店頭価格が前月比横ばいとなったと報じられています。東京紙商家庭紙同業会のまとめによるもので、前月比横ばいは2か月連続だと記事では伝えられています。
 

2.パルプの国際価格が下落

 7月17日付の日本経済新聞紙上にて、パルプの国際価格が下落したと報じられています。北米産N‐BKPの6月積み対日価格は前月比6%の下落、南米産L‐BKPの6月積み対日価格は前月比8%の下落となったとのこと。

・国内景気、需給ギャップ、市況悪化を背景に中国の生産が鈍化
・中国で中長期的にパルプの国産化を進めていることが輸入パルプの需要に影響

といった背景が市況に影響を与えている可能性があると記事では分析しており、日本よりも市販パルプの利用率が高い韓国企業がパルプ安でコスト競争力を得、印刷用紙などの安値輸出につながる可能性があると記事は指摘しています。
 

3.古紙輸出価格が上昇

 7月17日付の日本経済新聞紙上にて、関東製紙原料直納商工組合のベトナム向け7月積み輸出入札価格が前月比3%上昇したと報じられています。3か月ぶりの上昇とのこと。これまでの下落に歯止めがかかったものの、需要自体の停滞感や貿易環境の不透明さは継続しており、古紙市況の低迷が続くとの見方もあると記事では紹介されています。
 

4.日本製紙 富士工場に古紙バイオエタノール実証用パイロットプラント

 日本製紙は7月24日、ENEOSとTOPPANホールディングスが進める古紙バイオエタノール実証事業について、日本製紙富士工場内でパイロットプラントの建設に向けた工事に着手することにしたと発表しました。ENEOS・TOPPANの両社は2021年より難再生古紙などを原料とした国産バイオエタノール事業の検討を開始、2024年3月から事業化に向けた実証事業を実施してきましたが、今般その実証をさらに進めるためパイロットプラントの建設に向けた工事に着手することにしたとのこと。当実証では

TOPPAN 同社開発の、難再生古紙から不要部分を取り除き繊維分が豊富な原料にする前処理プロセス
ENEOS 同社開発の、エタノールの連続生産技術
日本製紙 ・富士工場の一部敷地を提供
・パイロットプラントの一部(糖化発酵プロセス)の運転

を担当し、1日に約1~3トンの古紙を投入、1日約300リットルのバイオエタノールを生産するパイロットプラントを建設する予定としています。
 パイロットプラントは2027年前半に稼働を開始する計画、2030年度以降の本事業の商用化を目指すとのことで、日本製紙グループは脱炭素社会の構築や地球温暖化対策に貢献していくと表明しています。
 

【ESG、SDGs等関連】

1.王子HD・日本製紙 自然資本会計プロジェクトに参加

 王子ホールディングスは7月16日、International Sustainable Forestry Coalition(ISFC)が主導する自然資本会計プロジェクトに参加すると表明しました。森林、土壌、水、大気、生物資源等の自然の構成要素を「自然資本」と呼び、自然資本を包括的に経済価値として捉える「自然資本会計」を制度化、資金を自然資本の回復に投資する議論が活発化していると、同社は参加の背景を説明しています。
 このプロジェクトには日本製紙も7月25日に参加を表明しており、21か国18社の森林関連企業が参加するこのプロジェクトに参加することで自然資本会計の制度確立に携わり、その制度を活用して自然資本の価値評価を行うことが、正当な投資を呼び込んで森林の維持・回復につながることを期待すると表明しています。
 

2.日本製紙 DOWAエコシステムとのラウンド輸送を強化

 日本製紙は7月22日、DOWAエコシステムと共同で新たに20フィートコンテナ7基を製作し、輸送能力を従来の3倍に強化したと発表しました。DOWAエコシステムはDOWAホールディングスの子会社で、同社が東京から秋田までリサイクル原料を鉄道輸送するのに使用した20フィートコンテナの帰り便に日本製紙秋田工場で生産された段ボール原紙を積んで関東まで鉄道輸送する、業界の枠を超えたラウンド輸送を両社で2023年より運用していますが、このラウンド輸送を強化すべく新たなコンテナを製作、2025年6月より本格的に使用を開始したとのこと。両社はこれからもパートナーとして、物流のさらなる連携拡大を模索し、持続可能な物流体制の構築を目指すとしています。
 

3.王子HD ビアフェストで使用済み容器循環

 王子ホールディングスは7月25日、8月1~3日開催の「つくばビアフェスト2025」にSDGsパートナーとして協賛すると発表しました。アサヒグループのアサヒユウアス株式会社と協力、会場に食品用途に使われた使用済みパルプモウルド容器の回収ブースを設置し、汚れを除去して紙として再資源化するマテリアルリサイクルに取り組んで、アサヒユウアス製品のパッケージ素材として再利用する計画であるとのこと。この取り組みは「ステルからウミダスへ」と表現されており、同社は今後も環境配慮型素材・製品の開発を推進し、持続可能な社会の実現に向けて取り組んでいくとしています。
 

【印刷、製品、その他関連】

1.大王製紙など 使用済み紙おむつリサイクルで福岡県筑前町と事業連携協定書締結

 大王製紙は7月16日、TOPPANなど5社とともに、福岡県筑前町と使用済み紙おむつの完全リサイクルに関する事業連携協定書を締結したと発表しました。2020年に環境省が公表した『使用済紙おむつの再生利用等に関するガイドライン』を元に多くの自治体が使用済み紙おむつのリサイクルの実施・検討を進めるなか、筑前町の取り組みは福岡県内で3例目となるとのこと。
 筑前町では県内初の取り組みとして、一般家庭に加え、保育園や介護施設などの事業所から排出される使用済み紙おむつのリサイクルにも取り組むとのことで、年間150トンの使用済み紙おむつのリサイクルを目標としており、6社の発表資料によれば通常の焼却処理と比較して年間約80トンの二酸化炭素排出量が削減される計算になるとされています。
 加えて連携6社では、すべての回収素材をマテリアルリサイクルする完全リサイクルの実現を目標としており、筑前町に対して見える形での資源循環を目指すとしています。

※文中敬称略
※文章は2025年7月29日現在、新聞記事などを基に華陽紙業にて編集しております。実際の動向についてはお客様にて総合的にご判断頂きますよう、お願い申し上げます。