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紙の市況(2025.8)詳細 8月10日更新分

【洋紙 国内の紙の市況/状況】

1.王子製紙 印刷・情報用紙を値上げ

 王子製紙は8月1日、印刷・情報用紙の値上げを発表しました。

対象品種 印刷用紙全般(中下級紙、上質紙、塗工紙、微塗工紙 他)
情報用紙全般(PPC用紙、フォーム用紙 他)
改定幅 現行価格+10%以上
実施時期 2025年10月1日出荷分より

 同社は2024年5月にも印刷・情報用紙の値上げを発表しており、1年程度での再度の値上げ発表となります。
 

2.王子・日本・三菱・中パ 第1四半期決算発表

 王子ホールディングス、日本製紙、三菱製紙、中越パルプ工業は8月7日までに2026年3月期第1四半期(2025年4月1日~2025年6月30日)の連結経営成績を発表しました。各社サイトで発表された決算短信によると、

 当第1四半期の業績について各社は決算短信で

王子HD  前年同四半期比で増収減益。Walki社の連結子会社化等で増収となったが、パルプ市況の悪化、物流費や人件費等のコスト上昇、外貨建て債権債務の評価替えによる為替差損の発生、ニュージーランドにおける段ボール原紙事業の撤退決定に伴う事業構造改善費用の計上等が影響し、営業利益減、経常損失、四半期純損失の結果。
 国内の印刷情報メディアでは価格修正を進めてきたが、新聞用紙、印刷・情報用紙の需要減少傾向が継続し、古紙等の原材料価格の上昇等も影響して、売上高は減収、営業利益は減益。
日本製紙  中期経営計画2025の最終年度として、紙容器の活躍シーンの拡大、家庭紙・ヘルスケア事業での新鋭機立ち上げや自製パルプ活用によるコスト競争力強化、豪州Opal社の収益改善、紙・板紙事業での継続的なコストダウンとグラフィック用紙の需要減少に対応した生産体制再編などを進めている。
 当第1四半期は紙・板紙事業で輸出販売数量が減少したものの、国内洋紙で他社の事業撤退、クレシア宮城工場の売上高寄与、前年同期の日本ダイナウェーブパッケージングの操業トラブル、Opal社メアリーベル工場の操業効率改善・固定費削減等が影響し、売上高増収、営業利益増益。
三菱製紙  当期より新中期経営計画を開始。「技術・研究のSHINKA(深化)」「地球環境への貢献をSHINKA(進化)」「ガバナンス・人的資本経営のSHINKA(浸化)」の3つの”SHINKA”を掲げ、機能商品の高付加価値化、環境配慮商品の拡販、生産性向上、カーボンニュートラル実現に向けた取り組みの加速などに取り組んでいる。
 印刷用紙の需要減傾向の継続、海外パルプ市況の悪化、円高、欧州経済の低迷等により、当第1四半期は減収、営業損失、経常損失、四半期純損失の結果。
中越パルプ  グラフィック用紙の需要減は続くも、国内スポット案件の受注、衛生用紙拡販などにより当第1四半期の売上高は増収。
 定期点検による工場の長期停止、原燃料価格や物流費などの諸費用の上昇等が影響し、当第1四半期の利益は営業損失、経常利益減、四半期純損失の結果。

と分析しています。 
 
【板紙・パッケージに関する市況/状況】

1.レンゴー 第1四半期決算発表

 レンゴーは8月5日、2026年3月期第1四半期(2025年4月1日~2025年6月30日)の連結経営成績を発表しました。同社サイトで発表された決算短信によると、

 同社は第1四半期の業績について、昨年度実施の製品価格改定の寄与で増収となったものの、固定費や物流費の上昇等により営業利益、経常利益、四半期純利益が減益となったと分析しています。
 

【その他の市況/状況】

1.大王製紙 CNF複合樹脂「ELLEX‐R67」の商用生産を開始

 大王製紙は7月29日、同社三島工場に設置した商用プラントにおいて、2025年7月よりセルロースナノファイバー複合樹脂の商用生産を開始したと発表しました。同社サイトの発表によると、

生産品種 CNF複合樹脂「ELLEX‐R67」
ELLEX‐R67 部分的にCNF化したセルロース67%、ポリプロピレンとなじみをよくする樹脂33%を配合した高濃度ペレット。
・樹脂材料設計の自由度が高く、購入者が混練・成形加工しやすい仕様
・CNF複合化で剛性が向上、材料の薄肉化が可能で軽量化・減プラスチックへの貢献が可能
・繊維が破断しにくいため物性低下が小さく、マテリアルリサイクルの点でも優位
・再生プラスチックの質の低下を補う素材としても有力
といった特長を備えている。
年産能力 2,000トン。従来のパイロットプラントの20倍で、同社調べによると、2025年6月末時点で日本最大の生産能力とのこと。

 同社はこの商用プラント稼働を契機に、自動車部材、家電製品、建材、物流資材、日用品、容器・包装等の分野での用途展開を積極的に進め、自動車部材をメインターゲットとして利用拡大を目指し、お客様と連携した用途開発によりCNFの社会実装、事業化を拡大していくと、今後の展開について述べています。

2.ENEOS 7~9月期のC重油値下げ

 7月31日付の日本経済新聞紙上にて、ENEOSが7~9月期のC重油価格の4~6月期比値下げを表明したと報じられています。ボイラーに使われる高硫黄C重油は4~6月期比で4%引き下げるとのこと。原油価格の下落や外国為替市場での円高・ドル安進行を反映したと記事では伝えられています。
 

3.6月の古紙在庫が減少

 8月5日付の日本経済新聞紙上にて、6月末の古紙在庫が前月末比2.3%減となったと報じられています。関東製紙原料直納商工組合32社分のまとめによるもので、減少は2か月ぶりとのこと。出荷が停滞する段ボール古紙は同4.7%増となりましたが、古紙市場は縮小傾向で、在庫水準が数年前より下がっているとする古紙問屋の声も記事では紹介されています。
 

4.大王製紙 卸との間で自動運転実証開始

 大王製紙は7月30日、化粧品・日用品卸売業最大手PALTAC、自動運転システム開発等のT2と共同で、自動運転トラックを用いた幹線輸送の実証実験を2025年7月3日から開始したと発表しました。T2が実験用車両を提供、往路は大王製紙厚木物流センターからPALTAC堺大型物流センターまで、復路は大王製紙西淀川物流センターからPALTAC関東大型物流センターまでの間の高速道路一部区間を実験対象エリアとし、レベル2相当(ドライバーが乗車し、その監視の下、特定条件下での高機能自動運転)の実証実験を行うことで、有効性や輸送品質の確認などの検証を行うとのこと。同社は今回の実証実験結果を踏まえ、課題抽出やオペレーション確認を行い、長距離輸送の効率化を目的とした今後の自動運転の実現を目指すとしています。
 

5.日本製紙など CNFの構造部材への実用化に向け共同研究

 日本製紙は8月7日、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の先導プログラムに「低コスト・高耐衝撃セルロース構造材料の研究開発」が採択されたことを受け、トヨタ紡織、京都大学、京都市産業技術研究所との4社で共同研究を本格的にスタートさせると発表しました。同社サイトの発表によれば、CNF(セルロースナノファイバー)は大気中の二酸化炭素を吸収・固定し、軽量で高剛性という特性から地球環境にやさしい素材として脱炭素社会のキー・マテリアルに位置付けられているものの、製造コストの高さ、耐衝撃特性、部品製造時の成型加工性に課題があり、自動車部品を含めた構造部材への実用化が遅れているとのこと。同社は、自動車部品メーカーのトヨタ紡織、パルプ製造技術を有する日本製紙、CNFの知見を有する京都大学、樹脂複合材の成形プロセス開発を得意とする京都市産業技術研究所が連携して開発を進めることで、課題解決への技術革新に挑戦すると、本共同研究の意義について説明しています。
 

【ESG、SDGs等関連】

1.日本製紙クレシア 第3回『#カクレシアワセ フォトコンテスト』を開催

 日本製紙クレシアは7月30日、第3回の『#カクレシアワセ フォトコンテスト』を開催すると発表しました。日常に隠れている小さくて気づきにくい、確かなしあわせを「カクレシアワセ」と名づけ、2025年7月30日~2025年10月31日23:59にInstagramにその”隠れたしあわせ”の写真を「#カクレシアワセ」のハッシュタグをつけて応募すると、1投稿につき100円を子ども支援に取り組む奈良県のまほうのだがしや「チロル堂」に寄付するというもの。カクレシアワセのなかにはクレシアの社名が隠れており、クレシアの商品もいつもあなたのそばに隠れていて、身の回りの世界がすこやかに保たれ、昨日と変わらない、ここちよい今日を過ごせるお手伝いをしたいという思いでモノづくりをしていると、同社はメッセージを伝えています。

2.王子HD他 東京23区全域で使用済み紙コップリサイクル

 王子ホールディングスは8月5日、花王、ソフトバンク、国際紙パルプ商事と連携し、東京23区全域での使用済み紙コップリサイクルプラットフォームを構築したと発表しました。花王・すみだ事業場、ソフトバンク・竹芝本社ビル、国際紙パルプ商事(本社)の3拠点に使用済み紙コップの回収コーナーを設置、年間約1.6トンの紙コップを分別・回収して、ハンドタオル、ボックスティッシュの箱、紙コップのスリーブ、段ボールなどに再製品化するとのこと。同社は今後も賛同企業・団体を広く募集し、拠点数や対象エリアの拡大を進め、2030年までに年間300トンの回収を目標としていると発表しています。
 

【印刷、製品、その他関連】

1.大王製紙 「未来のおむつコレクション」に3種を出品

 大王製紙は7月29日、6月24日に大阪・関西万博のイベントの一環として開催された「未来のおむつコレクション」に協力会社として参加し、同社が展開する大人用紙おむつ「アテント」から未来にはきたい大人用紙おむつとして3種を出品したと発表しました。「未来のおむつコレクション」は一般社団法人日本福祉医療ファッション協会が主催したイベントで、人種、体形、年齢、信仰、身体状況などさまざまなバックグラウンドを持つ方が参加し、楽しみながらおむつを身近なものとして捉えられるようにと企画されたとのこと。
 同社はこのファッションショーに

・多くの方が日常的に親しんでいるデニムを模したデザインで、アウターとして1枚ではいて頂けるように見た目やポケット、ステッチなど細部にこだわった「デニムを基調にしたロング丈の大人用紙おむつ」
・フリルの可愛らしさとクールさ、スタイリッシュさを両立させたデザイン・色で、はき心地や形崩れしにくい点も工夫した「裾まわりにフリルをあしらった黒の大人用紙おむつ」
・紙おむつの側部にレザー素材を採用しスタイリッシュさとかっこよさを両立、使用する方の使いやすさや少しでも快適に過ごせるような設計を心掛けた「レザー素材を組み合わせたえんじ色の大人用紙おむつ」

の3種を出品したとのことで、「アテント」開発担当者からのコメントとして、「今回のコレクションの参加を通じて、紙おむつに対するイメージが少しでも変わり、多くの方に手にとっていただきやすくなれば」との、「アテント」ブランドのコンセプトにもつながる願いを紹介しています。
 

2.「OJO⁺ペーパーターフ」イオン相模原店300平米に敷設

 KPPグループホールディングスは8月1日、グループ会社の国際紙パルプ商事が販売する紙製の人工芝「OJO⁺ペーパーターフ」がイオン相模原ショッピングセンター内に300平米の広さで敷設されたと発表しました。株式会社ワイドレジャーが同SCに出店する「ASOBLE(アソブル)イオン相模原店」で採用されたとのことで、7月18日に一般公開され、多くの子どもたちや家族連れが利用しているとのこと。紙糸製の人工芝「OJO⁺ペーパーターフ」は吸放湿性や消臭・抗菌機能に優れており、『3歳までの乳幼児の肌に触れても安全』という厳しい基準をクリアしていることから、子どもたちが裸足で走っても心地よく、各種施設で採用が広がっていると同社はその特長を説明しています。

※文中敬称略
※文章は2025年8月8日現在、新聞記事などを基に華陽紙業にて編集しております。実際の動向についてはお客様にて総合的にご判断頂きますよう、お願い申し上げます。