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華陽ニュース

不定期配信 江戸ネタ 27

今年の大河ドラマ「べらぼう」の舞台、江戸。文化の担い手が特権階級から町民へと広がり、政治に与える経済の影響が拡大するこの時代には、様々な文化や風習が新しく生まれ、現代へとつながっているものもあります。
江戸時代の出版や紙、風習や様々な出来事などについて、小ネタをご紹介致します。

27 「宗門人別改帳」

 この秋に2025年の国勢調査が実施される予定ですが、国勢調査では「夫婦のみ」「夫婦+子ども」「1人親+子ども」の世帯を「核家族世帯」として「単独世帯」「その他の世帯」とともにその動態を調査・公表しています。この「核家族」という家族形態の始まりを江戸時代に求める説があります。
 「宗門人別改帳」は1671年、4代将軍・家綱の時代に毎年の作成が義務化された、家単位の家族の人名・年齢・宗旨・檀那寺名を記入して領主に提出するもので、当時の国勢調査ともいえそうな文書ですが、ある庄屋さんの記録では、戸主とその妻、子ども、隠居した両親、戸主の妹・弟、雇人や所有する田畑で働く人(名子)及びその家族までを含んでひとつの「家族」とする記録が残っており、「家族」という言葉がかなり広範囲に及んでいたことが分かります。
 一方、江戸時代は新田開発が盛んな時期でもありました。泰平の時代、戦争で活躍することで領地を増やすことができなくなった幕府や領主たちが治水工事や干拓で新田を増やし、富裕な町人や土豪も商売として土地開発に乗り出します。増えた新田には当然耕作に従事する人が必要となりますので、これまでは兄と一緒に暮らしていた弟家族などが分家して新村に移住し、ひとつの家族として檀那寺を持ち、「宗門人別改帳」に登録されます。こうして増えていった一夫婦単位の小家族が今の核家族の基と考える説です。
 ちなみに前回2020年の国勢調査では、一般世帯のうち「核家族世帯」が54.2%、「単独世帯」が38.1%でした。2015年調査比で「核家族世帯」は1.7ポイント下落、「単独世帯」は3.5ポイント上昇しています。今年の国勢調査ではどんな日本の姿が明らかになるでしょうか。

※一般世帯=国勢調査では世帯を「一般世帯」と「施設等の世帯」の2種類に分類しています。学校の寮・寄宿舎の学生・生徒や病院・療養所などの入所者などを「施設等の世帯」とし、それ以外の世帯を「一般世帯」としているそうです。