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華陽ニュース

不定期配信 江戸ネタ 29

今年の大河ドラマ「べらぼう」の舞台、江戸。文化の担い手が特権階級から町民へと広がり、政治に与える経済の影響が拡大するこの時代には、様々な文化や風習が新しく生まれ、現代へとつながっているものもあります。
江戸時代の出版や紙、風習や様々な出来事などについて、小ネタをご紹介致します。

29 「大福帳」

 「ホッチキス」「バンドエイド」「エスカレーター」・・・。元は商品名やブランド名だったのが広く普及することで普通名詞として使われるようになったものはいろいろありますが、「大福帳」もそのひとつだというのはご存じでしょうか。
 江戸時代の商業帳簿を指す普通名詞として使われる「大福帳」ですが、元はある帳簿屋さんが売り出した製品名でした。江戸日本橋室町で帳簿などを商っていたその店の主の名は鍵屋清左衛門さん。達筆で知られた彼が表紙に「大福帳」と記して売り出したその帳簿は、名前の縁起の良さも相俟って江戸の商家の間で大ヒットとなり、ついに普通名詞化するまでになったとのことです。
 縁起の良さと言えば、それぞれの商家で、帳簿に「大宝恵(おぼえ)帳」「日加栄(ひかえ)帳」といった名前を付けていたものも残されているとか。確かに「売掛金元帳」より、開くのが楽しくなりそうです。