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華陽ニュース

不定期配信 江戸ネタ 34

今年の大河ドラマ「べらぼう」の舞台、江戸。文化の担い手が特権階級から町民へと広がり、政治に与える経済の影響が拡大するこの時代には、様々な文化や風習が新しく生まれ、現代へとつながっているものもあります。
江戸時代の出版や紙、風習や様々な出来事などについて、小ネタをご紹介致します。

34 「服忌令」

 近親者が亡くなると喪中葉書を出して新年のお祝いの挨拶をお断りします。玄関に「忌中」と書かれた紙=忌中札を貼ってお通夜や葬儀の日時などを近隣の方に知らせることもあります。近親者が亡くなった場合の儀礼として伝わっているこれらの慣習ですが、その始まりを江戸時代の「服忌令(ぶっきれい)」という規定に求める考え方があります。
 「服忌令」は近親者が亡くなった場合に慶事を行わない「服喪」期間と、死に触れたことで謹慎する「忌引き」期間を定めた規定です。死を穢れと捉えていた時代のルールで、元は神社が御所などに対して発したものでしたが、このルールを武家社会に持ち込み、やがては庶民層にも浸透させていった最初の統治者は五代・綱吉政権でした。
 1684年に江戸時代最初の服忌令が発令され、その後5度のルールの追加を経て八代・吉宗政権下(1736年)で改定、その服忌令は明治維新まで効力を保ち続けました。服忌令では父母が亡くなった場合の忌の期間を50日と定めていますが、これは仏教の中有の考え方に基づいたものであると思われ、元は寺社や朝廷の儀礼だった「四十九日」が武家社会に、やがては庶民に、そして現代の私たちにまで伝わったのは江戸時代の「服忌令」に拠るものだと考えられるかもしれません。