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華陽ニュース
不定期配信 江戸ネタ 38
今年の大河ドラマ「べらぼう」の舞台、江戸。文化の担い手が特権階級から町民へと広がり、政治に与える経済の影響が拡大するこの時代には、様々な文化や風習が新しく生まれ、現代へとつながっているものもあります。
江戸時代の出版や紙、風習や様々な出来事などについて、小ネタをご紹介致します。
38 「引札」
江戸時代の広告チラシのことを「引札」といいます。1683年に三越の前身である「三井越後屋」が配った引札が始まりと言われ、江戸の経済の発展につれ、薬や料理、化粧品、装飾品など様々な商品の引札が、著名な戯作者や浮世絵師などの手も借りてつくられ、摺られるようになっていきます。
引札を配った当時の三井越後屋はまだ、江戸では新興の比較的小さなお店だったそうですが、その「店頭販売」「定価販売」「現金(銀)売り」といった新しい商売が受け入れられ、大成功を収めます。井原西鶴の『日本永代蔵』に登場したり、「江戸名所図会」に描かれたりと江戸の出版物にもその姿を残す「三井越後屋」ですが、代々のご当主が書き残した、店の規則を書いた「諸法度集」、創業期の出来事や創業者の言葉などを残す「商売記」など、数々の記録もまた大切に保管されているそうです。