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華陽ニュース
紙の市況(2025.11)詳細 11月20日更新分
【洋紙 国内の紙の市況/状況】
| 1.日本・北越 印刷・情報用紙の値上げを発表 |
11月13日に日本製紙、11月17日に北越コーポレーションが、印刷・情報用紙の値上げを発表しました。
| 対象品種 | 印刷用紙、情報用紙 全般 |
| 値上げ幅 | 10%以上 |
| 実施時期 | 2026年2月2日出荷分より |
| 対象品種 | 印刷・情報用紙 |
| 値上げ幅 | 現行製品価格の10%以上 |
| 実施時期 | 2026年2月1日出荷分より |
王子製紙・三菱製紙は既に8月に同品種の値上げを発表しており、交渉の活発化が予想されます。
| 2.王子製紙 苫小牧の新聞用抄紙機1機を停機 |
王子製紙は11月7日、苫小牧工場のN‐4号マシンを2026年3月末を目途に停機すると発表しました。同マシンでは新聞用紙を年間15万9千トン抄紙する能力を有していますが、停止しても供給に影響はないとのこと。同工場で現在稼働中の新聞用紙抄紙機は3基で、うち1基を停機することで生産能力は約3割削減されますが、新聞用紙の需要は継続的に減少を続けており、今回の停機は需要動向に応じた生産体制の再構築を含むポートフォリオ戦略の一環と説明されています。
同日、王子ホールディングスは2026年3月期第2四半期の連結業績と2026年3月期通期の業績予想の修正を発表しており、国内事業の販売数量減、輸出パルプ・海外事業におけるパルプ販売の市況悪化等を要因として、通期業績予想を前回発表予想より下方修正しています。
| 3.製紙大手 第2四半期決算出揃う |
11月14日までに製紙大手8社が2026年3月期第2四半期(2025年4月1日~2025年9月30日)の連結業績を発表しました。

第2四半期の業績に照らして、8社中4社が2026年3月期通期の売上高・営業利益・経常利益・純利益の、1社が売上高・営業利益・経常利益の予想の下方修正を発表しています。
【板紙・パッケージに関する市況/状況】
| 1.王子HD ベトナムで液体紙容器の工場新設 |
王子ホールディングスは11月7日、ベトナム南部のドンナイ省に液体紙容器の工場を新設することを決定したと発表しました。同社はこれまで液体紙容器の海外事業を欧州、アフリカ、中南米などを販売エリアとして展開してきましたが、ベトナム新工場の建設により市場成長が著しい東南アジアや近隣地域での市場開拓を目指すとのこと。同時に液体紙容器の回収・リサイクル体制の新構築を目指し、液体紙容器事業のさらなる展開に加え、地球と社会のサステナビリティに貢献していくと、同社は新工場建設の目指すところを説明しています。
【その他の市況/状況】
| 1.王子エフテックス 変圧器用プレスボードの生産設備を増設 |
王子エフテックスは11月7日、岐阜県中津川市にある中津工場において変圧器用セルロース系プレスボードの生産設備を増設すると発表しました。対象のプレスボードは変圧器で絶縁材料として使用されるもので、再生可能エネルギー設備の導入拡大、電気自動車やAIの普及に伴う電力安定供給への投資増加、老朽化した電力インフラの更新進行を背景に、国内外での需要が急速に拡大しているとのこと。
この増設で同工場のプレスボードの生産能力は現行の約3倍となる見通しで、新設備の営業生産は2029年4月の開始を予定しています。
| 2.「セレンピア🄬」が食品産業技術功労賞を受賞 |
日本製紙は11月13日、同社のセルロースナノファイバー製品「セレンピア🄬」が食品産業新聞社主催の「第55回食品産業技術功労賞 サステナビリティ部門」を受賞したと発表しました。森林からつくる食品添加物として従来、パンやお菓子のクリーム類の乳化安定や離水防止等に、食感を邪魔しない部分が評価されて採用されてきましたが、ハムやソーセージなど食肉製品でも肉の保水性や粘着性を高めるためのリン酸塩の代替として採用が増加しており、採用の広がりが今回の受賞につながったとのこと。同社は「セレンピア🄬」について安全性が高く、保水性・保形性の向上、気泡安定性、分散安定性に優れた特徴があり、菓子類でおいしく食べられる期間を延長できることなどから廃棄ロス削減にもつながるとその特長をPRしています。
【ESG、SDGs等関連】
| 1.王子HD、アルミ付き紙容器のポリエチレン・アルミ層を物流パレットにリサイクル |
王子ホールディングスは11月11日、アルミ付き紙容器のポリエチレン・アルミ層を物流パレットにマテリアルリサイクルする試みをJ&T環境株式会社とともに開始したと発表しました。店頭や自治体で回収された使用済みアルミ付き紙容器や工場で製品にならなかった損紙などを破砕・洗浄、分離したポリエチレン・アルミ層を原料としてJ&T環境社で物流パレットに成形するとのこと。これまで使用済みアルミ付き紙容器の紙繊維部分は段ボールにリサイクルされていましたが、ポリエチレン・アルミ層部分は焼却してサーマルリサイクルされていたところを、今回の取り組みでポリエチレン・アルミ層部分もマテリアルリサイクルすることが実現し、より一層廃棄物や二酸化炭素排出量の削減が見込まれると、同社は新しい取り組みの意義を説明しています。
【印刷、製品、その他関連】
| 1.セブン 紙容器の導入を拡大 |
11月12日付の日本経済新聞紙上にて、セブン‐イレブン・ジャパンが環境配慮型容器の導入を拡大すると報じられています。パスタ製品の7~8割の容器が紙製としたことで年370トンのプラスチック削減を見込むとのこと。牛丼などの容器でバイオマス原料の「マスバランス方式」を取り入れるなど、他の工夫を合わせ、セブンイレブンで販売するオリジナル商品の容器に使用する環境配慮型素材の比率は2026年2月期に約4割となり、セブン&アイ・ホールディングスが掲げる30年までに50%の目標を前倒しで達成する可能性があると記事では伝えられています。
※文中敬称略
※文章は2025年11月18日現在、新聞記事などを基に華陽紙業にて編集しております。実際の動向についてはお客様にて総合的にご判断頂きますよう、お願い申し上げます。