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華陽ニュース
不定期配信 江戸ネタ 39
今年の大河ドラマ「べらぼう」の舞台、江戸。文化の担い手が特権階級から町民へと広がり、政治に与える経済の影響が拡大するこの時代には、様々な文化や風習が新しく生まれ、現代へとつながっているものもあります。
江戸時代の出版や紙、風習や様々な出来事などについて、小ネタをご紹介致します。
39 「ラランデ暦書」
ラランド、というと現代日本ではお笑い芸人さんのコンビ名ですが、そのコンビ名の由来となったのは、江戸時代に日本に訳書が伝来した天文学者の名前(正確にはその天文学者が発見した恒星の名前)なのだそうです。フランス人のこの天文学者が原著の第2版を出版したのが1771年。そのオランダ語訳がその後日本に伝わり『ラランデ暦書』あるいは『ラランド天文書』と呼ばれています。
幕府からこの『ラランデ暦書』の研究を命じられたのが当時の天文方の高橋至時でした。寛政の改暦にも携わった至時は最新の天文学の知識が記された『ラランデ暦書』の研究に熱中し、その知識を後見していた伊能忠敬とも共有します。至時の死後、彼の研究は子息によって引き継がれますが、その子息が、「新訂万国全図」を完成させ、その後シーボルト事件に関わったとされた高橋景保でした。