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華陽ニュース
不定期配信 江戸ネタ 2
今年の大河ドラマ「べらぼう」の舞台、江戸。文化の担い手が特権階級から町民へと広がり、政治に与える経済の影響が拡大するこの時代には、様々な文化や風習が新しく生まれ、現代へとつながっているものもあります。
江戸時代の出版や紙、風習や様々な出来事などについて、小ネタをご紹介致します。
2 「板株・求版・重板・類板」
江戸時代の本をみると、同じ本なのに奥付に記された書肆(版元や販売店)名が違っていたり、複数の奥付があったりするものが確認できます。その理由のひとつが「求版」、正式な手続きで出版された本の出版権のことを「板株」といいますが、この株は売買が可能だったため、最初の出版者から株を買い求めた=求版した出版者が本を印刷した場合には、同じ本で奥付の書肆が違う、あるいは元の奥付に求版者の奥付を足したため複数の奥付が存在する、ということになるのだそうです。
この板株、意味合いは「出版権」ですが現在より強い力を持っていたそうで、有効期限に限りがなく、同じものを別の出版者が出す「重板」だけでなく、類似した書物を出す「類板」も禁止が申し合わされていたとのこと。現在の、著者も読者も出版者も嬉しい「重版」とは全く意味合いが異なる言葉となります。