KAYO NEWS
華陽ニュース
不定期配信 江戸ネタ 4
今年の大河ドラマ「べらぼう」の舞台、江戸。文化の担い手が特権階級から町民へと広がり、政治に与える経済の影響が拡大するこの時代には、様々な文化や風習が新しく生まれ、現代へとつながっているものもあります。
江戸時代の出版や紙、風習や様々な出来事などについて、小ネタをご紹介致します。
4 「蔦重?」
錦絵を売る鶴屋喜右衛門の店先が紹介されているのは1834~36年に刊行された『江戸名所図会』という江戸のガイドブックにおいてですが、実は蔦重が営む「耕書堂」も本のなかに登場しています。その本は1799年刊行の『東遊』。狂歌に挿絵をつけて書籍化した「狂歌本」と呼ばれるジャンルの1冊で、挿絵を描いたのは葛飾北斎でした。
この初版が好調で、1802年、『東遊』から狂歌を除いて画のみでカラー化した『画本東都遊』として同書は再版されます。徳川吉宗が桜を植樹させた飛鳥山や、オランダ人の定宿だった長崎屋の風景などともに「耕書堂」が「絵草紙店」として紹介されており、店の奥で紙を揃えたり切ったり綴じたりして冊子をつくっている様子も描かれています。
店の左奥に描かれている主人らしき男性が蔦重だとされているのですが・・・まあ、ドラマや役者さんと印象が違うのは当たり前ですよね。