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華陽ニュース

不定期配信 マウスちゃんとメモリ主任のIT1年生31

情報の重要性が増す昨今、弊社では情報セキュリティについて、その意義や情報を共有する取り組みを続けています。
担当チームが社内向けにまとめた資料などを基に、軽い読み物を不定期でお届けできればと思いますので、ご笑覧頂ければ幸いでございます。

 イーさんに用があって探していたマウスちゃん、休憩室で遅いランチをとるイーさんを見つけます。
「お休みのところごめんなさい、イーさん。この見積書のことで・・・って、何ですか、そのお弁当!」
「マウスさん、お疲れさま。昨日見たハッシュドポテトの映像が忘れられなくて、つい。」
「ハッシュドポテトだったんですね・・・いくら忘れられなかったからって、何も、お弁当箱いっぱいにハッシュドポテトを詰めなくても。ハッシュドポテトがさらにハッシュされちゃってそうな詰まり具合じゃないですか。」
「あ、それ聞きたかったんだ。ハッシュってどういう意味か知ってる?」
「確か、細かく切り刻むとか、寄せ集めるとか、そんな意味だったと思いますけど?」
「実は、さっき通りかかったメモリ主任が、『ハッシュ値という言葉を具現化したかのようなお弁当ですね』っていう暗号?謎の言葉?を残されて・・・」

「それ、暗号じゃないですよ。あ、でも、暗号で良いのか。」
「マウスさんの言葉も暗号になってるよ。」
「とにかくハッシュっていうのは、ITの世界では暗号化の一種なんですよ。あるデータを入れると、それがどんな長さのデータでも決まった長さの値に変換してくれる『ハッシュ関数』っていうのがあって、その変換されて出てきた、決まった長さの値のことを『ハッシュ値』っていうんです。」
「ジャガイモを切り刻むみたいにデータを切り刻んで、決まった大きさの器にギュッと入れたらハッシュ値ができました、みたいな?」
「イメージはそんな感じですね。ハッシュ関数を使った暗号化を『ハッシュ』っていうんですけど、

・元のデータが同じなら、出力されるハッシュ値も同じ。
・元のデータが少しでも違うと、出力されるハッシュ値は同じにならない。
・ハッシュ値とハッシュ関数から元のデータに戻すことはできない。

っていう特徴があるんです。」
「え?元に戻せないなら、暗号化したらまずいんじゃない?」
「ハッシュはデータの秘密を守るための暗号化というよりは、データが完全かどうかを証明するための暗号化なんです。例えば、そうですね・・・『晩御飯はカレー』っていう情報をハッシュ化すると『ねこ』になるとするじゃないですか。で、『晩御飯はカレー』っていう情報と一緒に『ねこ』っていうハッシュ値も送信します。」
「うん。」
「受け取った人は受け取った情報をハッシュ化して、ハッシュ値が『ねこ』になったら、ハッシュ値が一緒だから受け取った情報は送信時から変更されていない、ということが分かる、という仕組みです。」
「途中で『晩御飯はカレー』が『晩御飯はカレイ』に変わってたら、ハッシュ値が『ねこ』じゃなくて『かめ』になるから、送りたかった情報じゃないって分かるってこと?」
「そういう感じです。そういった『改ざんの検知』以外にも、『本人認証』や『時刻認証』にもハッシュの技術が使われているんですって。」

「パスワードをそのままじゃなくハッシュ値にして保管することもあるそうですよ。」
「『晩御飯はカレー』じゃなくて『ねこ』で保管しておくってこと?」
「そうです。で、ユーザーさんが入力したデータをハッシュ化して『ねこ』が出てきたら一致、『かめ』になったら不一致でログインできない、っていう風に使うそうです。」
「あ、そうか。『ねこ』や『かめ』から『晩御飯はカレー』には戻せないから、万が一保管していたハッシュ値が漏れてもパスワードは漏れない、ってことなんだね。」
「うーん、実は『レインボー攻撃』っていうのがありまして。予めパスワードとそれに対応するハッシュ値のリストを用意しておいて、そのリストからパスワードが推測できてしまう、っていう攻撃なんです。で、それに対抗するために『ソルト』を・・・」
「ポテトに塩!最強だね。」
「いえ、この場合はポテトじゃなくてですね・・・」

「なるほど。そういう知識のせいで、メモリ主任にはこのお弁当が『ハッシュ値』に見えたんだね。」
「・・・既に原型が分からない、みっちり詰まった茶色い何かにしか見えない、っていう点では、確かにハッシュ値かも・・・」
「え?ごめん。聞こえなかった。」
「いえいえ、大したことでは。あ、それでイーさん、この見積もりなんですけど・・・」
 本題の話をする頭の片隅で、『単なる感想かもしれないけど、メモリ主任ってたまに黒いんだよなあ・・・』と、メモリ主任の言葉を復号してしまおうとするマウスちゃんなのでした。