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華陽ニュース
不定期配信 マウスちゃんとメモリ主任のIT1年生40
情報の重要性が増す昨今、弊社では情報セキュリティについて、その意義や情報を共有する取り組みを続けています。
担当チームが社内向けにまとめた資料などを基に、軽い読み物を不定期でお届けできればと思いますので、ご笑覧頂ければ幸いでございます。
ある日の昼休み。「うわ~・・・」と小さく声を上げたマウスちゃんに、イーさんが振り向きます。
「どうしたの、マウスさん?」
「これ見て下さい。」
マウスちゃんのスマートフォンの画面を見て、イーさんも目を見開きます。
「どしゃ降りだね・・・」
「友達が早い夏休みを取って観光に行ったんですけど、こんな感じだそうで・・・」
「時期だもんね、台風とか線状降水帯とか。」
「それもありますけど、そもそも彼女と旅行に行くと雨が降るんですよね。」
「それは気の毒な・・・マウスさん、SNSやってるんだね。」
「注目するとこ、そこですか?というか、この程度、使ってない人、います?」
「えっと・・・目の前に・・・・・・」
「え・・・」
どう思います?とイーさんをメモリ主任のところに引っ張って行ったマウスちゃん。メモリ主任が困惑気味に応えます。
「どうと言われましても・・・個人の自由としか・・・」
「使っていないというだけなら私もそう思うところなんですが、イーさん、危ないからって言うんですよ。会社にも迷惑かけるかもしれないしって。それを聞いて私も怖くなっちゃって。」
「ああ、そういう話でしたか。」
腑に落ちたという顔をしてメモリ主任は二人に向き直ります。
「確かに、従業員の方の個人の投稿とはいえ、その内容によっては所属する会社にも影響が及ぶことも考えられます。イーさんはそれを心配されているのですね?」
「そもそも会社とSNSの関わり方にはいろいろな種類があります。」
「種類ですか?」
「はい。ひとつは会社が公式アカウントを取得して、お客様への情報発信やマーケティングなど業務に使用する場合。」
「新製品情報とかイベントの告知とかを行う場合ですね。ほかには?」
「情報共有や会議など、社内に限定してSNSを使用する場合ですね。先日のBCP研修時にも使ったのを覚えていますか?」
「あ、安否確認用のグループですね。」
「はい。今話した二つは業務で使用するものですので、アカウントの取得制限や書き込みの内容、共有範囲などについて、情報セキュリティマネジメント規程でルールを設定しています。一方、今話題になっている、個人のSNSの利用については、当社ではそれだけに対するルールというのは明確には定めていません。」
「ないんですか?」
「あくまで従業員の方の個人の利用に関するものですからね。定めている会社もあるようですが、当社では、例えば『個人でのSNSの利用について』といった項目を設けて使用を制限するなどの対応は取っていません。ただ、全くルールがないというわけでもないのですよ。お二人は、『就業規則』のなかに秘密保持に関する文言があるのは覚えておられますか?」
「会社の機密を漏らしてはいけない、みたいな文章があったのは覚えています。」
「それですね。それに、入社時に『秘密保持契約書』にサインを頂いてもいます。個人のSNSで会社に影響が及ぶことのひとつが、機密や個人情報の漏洩ですからね。それについては就業規則や契約書でルールがあることを周知しているわけです。」
「機密や個人情報を漏らさなければ何を書いても良い・・・というわけではないですよね。」
「もちろんです。誹謗中傷しない、法的には当然として社会的にも不適切な内容を投稿・拡散しない、画像の投稿やタグ付けにも十分注意する、など、注意すべき点はほかにもあります。ただこれらは、会社として気をつけて頂きたいことである以上に、一個人としてSNSを使用するときに注意すべき点であるように思います。」
「情報漏洩やSNSを悪用した詐欺など、最近はデメリットの部分が報道されることも少なくありませんから、イーさんが怖いと思われる心情も理解できます。使うも使わないも、イーさんの判断で良いと思いますよ。」
そう言って二人を送り出したメモリ主任ですが、マウスちゃんはまだ納得していません。
「デメリットがあるのは十分わかりましたけど、最近は公的機関からの連絡だってSNSで来るような時代ですよ。不便じゃないですか?」
「うーん。友達とか家族とかは僕が使ってないって知ってるから他の手段で連絡くれるし、特に不便と思ったことはないかな。公的機関だってSNS限定の申請とかには幸いにしてまだ遭遇したことないし、SNSに登録しないとみられないコンテンツにしても、みられないならそういうものかって思うだけだし。」
「・・・そう言われちゃうと、SNSにこだわってる自分が、返って振り回されているような・・・」
「あ、でも、家族のグループにも入ってないから、この前おじいちゃんの法事の連絡が来なかったときは、ちょっと寂しかったかな。」
「実害出てるじゃないですか!」
悪気はなかったみたいだよ、と笑うイーさんに、ルールを守りながら使うSNSの良さを何とかわからせてやろうと躍起になるマウスちゃんなのでした。