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ニューノーマルにこの一品53 製紙各社とカーボンクレジット②日本製紙

【ニューノーマルにこの一品】

 「ニューノーマル」という言葉は新型コロナウイルス下での生活や仕事の新しい様式を表す言葉として使われていますが、近年、私たちの生活や考え方に影響を与え、変えてきたものには、海洋汚染の深刻化による脱プラの動きや、SDGs、ESG、ダイバーシティ等、さまざまなものがあります。
 その、様々なもので形作られる「ニューノーマル」に、紙で貢献できる製品とは、の観点からの取組みをご紹介いたします。

53 製紙各社とカーボンクレジット②日本製紙

 次期中期経営計画の策定の方向性として「グリーン戦略の推進」「森林・木材関連事業の拡大」を据える日本製紙は、様々な戦略の内のひとつとして、自社社有林でJ‐クレジットを生み出し、他社へ販売しています。同社の多様な環境戦略のなかから、クレジット関連のものを抽出してみました。

グリーン戦略の推進と
森林・木材関連事業の拡大
国内では、同社が強みとする「エリートツリー苗事業」等の林業関連事業によって、「切って、使って、植えて、育てる」林業のサイクルを支援、国産材の安定供給に貢献することで「国内原料の安定調達」「国産材流通事業の拡大」につなげる方針。
海外では、ブラジルや豪州の海外植林地で

・ゲノム情報の利用によって優良木の選抜期間(膨大な数の実生木(種子から育てた樹木)から優れた形質を持つ個体を選び出すための期間)を大幅に短縮
・生産性、二酸化炭素固定効率の向上
・最適な物性を持つクローンの開発

等の実現・取り組みにより独自の育種・増殖技術を確立、こうした技術をさらに高度化するとともに、技術を収益化するため

・生産性向上による植林事業の収益拡大
・新たな技術活用、収益化の検討
 (他社植林地への技術支援による資源確保、カーボン・クレジット事業の展開、最適クローンによる紙・バイオマス製品の高付加価値化)

を実施・検討するとしている。

J‐クレジット 2021年に静岡県富士市の「桑崎社有林間伐促進プロジェクト」、2024年に熊本県五木村の「五木地区社有林森林吸収プロジェクト」をJ-クレジットに認証・登録。
 森林経営計画に基づいて適切な森林管理を行うことによって二酸化炭素吸収を促し、地球温暖化防止に貢献するプロジェクトとして、桑崎社有林のプロジェクトでは2021~2028年度で7,633tCO₂、五木地区社有林では2024~2039年度に11,853tCO₂の吸収量を達成すると算定し、クレジット取得に向け活動を継続している。
 また、既に温室効果ガス吸収活動を終了し、2025年5月現在売り出し中のクレジットとして、上記「桑崎社有林間伐促進プロジェクト」、グループ会社の日本製紙木材の「群馬・須田貝社有林間伐促進プロジェクト」の2クレジットが公開されている。
クレジット販売・活用事例 ・2016年、鈴与商事に、地産地消のカーボンフリー電力を供給する用途で北山社有林のJ-クレジットを販売
・2021年、東海ガスに、カーボンフリー都市ガスを供給する用途で北山社有林のJ-クレジットを販売
・2021年8月、日本コカ・コーラと「持続可能な社会の構築に関する協働基本合意書」を締結。その一環として、2022年、日本製紙のクレジットを活用することで自動販売機約2千台分の年間CO₂排出量をオフセット。
・2023年、株式会社スマートエナジーに、トヨタユナイテッド静岡株式会社が販売する商用車の一部車種をカーボンオフセットする目的で、北山社有林のJ‐クレジットを販売
国内の新たな活動 2025年3月、静岡県湖西市と「持続可能な森林協働に関する協定」を締結。湖西市内の分収契約造林地でスギ・ヒノキ人工林の間伐を実施し、この間伐による二酸化炭素吸収量の促進でJ‐クレジットを創出して湖西市を中心とした地域のカーボンオフセットに貢献する計画。

 同社はグループ理念の実現に向け「技術力で多種多様に利用する木質資源の循環」「持続可能な森林資源の循環」「積極的な製品リサイクル」の3つの循環を大きく早く回し、「日本製紙グループの持続的成長」と「木質資源を最大活用した循環型社会の構築」をともに創出するとしていますが、その「持続可能な森林資源の循環」に資する取り組みのひとつとしても「カーボンクレジットの創出」を挙げています。
 
※上記は2025年5月時点の日本製紙やJ‐クレジットなどの発表資料を基に華陽紙業株式会社にて編集したもので、最新の動向を含まない場合があります。
※文章中、敬称略