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【紙のソムリエ】番外編 シート先輩とコマキさんの紙に関する四方山話⑩デジタル化?

「先輩、A社様から請求書はまだですかってお電話ありました。」
「え?メールしたよ?・・・うん。やっぱり、昨日メールしてる。電話しておくよ。ところで、B社さんにデザイン案送ってくれた?」
「ストレージに入れて担当の方にご連絡済です。ちなみにC社様のお見積もりに関しては、受注サイトの価格計算機能をご案内しました。」
「ありがとう。そう言えば来週、有給休暇取るんだったっけ。申請書は出した?」
「はい。先輩のところに承認申請依頼のメールが届いていませんか?」
「・・・ごめん。他のメールに紛れ込んでた。えっと・・・電子印鑑を押して、承認ボタンをポチっと・・・うん、OK。部長に自動メールが送られましたって。」
「有難うございます。電子化されてから承認や決裁が下りるのが早くなりましたね。」
「確かにね。ただ、ほんのちょっと前までは、こういうのって全部、紙を使ってやってた仕事だよなあと思うと、ちょっと切ないなあ。」

「こういうお仕事に使う紙って、特別にその用途向けに作られたものなのですか?」
「区分としては『事務帳票用紙』って呼んだりすることもあるけど、中身は普通の上質紙だったりノーカーボン紙だったりだね。」
「上質紙とノーカーボン紙では機能がかなり違いますよね。使い分ける理由があるのですか?」
「複写が必要か不要かだけど、もう少し詳しく説明するとこんな感じかな。」

複写が不要なもの
社内の申請書や報告書、稟議書、他社への注文の原本など、使われる場面は多岐に渡る。
原本自体が上司や他部署などへ順次回覧・押印され、保管されるといった使い方であるため、複写が不要。
使用紙はPPC用紙、上質紙、色上質紙など。
複写が必要なもの
旅行代理店での申し込み用紙や保険の契約書、口座振替依頼書など、顧客と企業、各部署間など、複数か所で控えを持つことが必要なもの。
使用紙は複写用紙、ノーカーボン紙など。

「ノーカーボン紙って化学反応で発色させているわけだから、別の刺激が追加されると発色が消えちゃうことがあるんだよね。」
「光とか油とかですね。」
「うん。だから、絶対発色が消えちゃいけない重要な書類は、ノーカーボンじゃなくて、複写用紙+カーボン紙とか、カーボン印刷とかが普通、っていう時代が結構長かった。・・・とはいえ、各種申し込みなんて、最近はタブレットに電子署名の場合が珍しくないし、契約書類の控えだって電子閲覧が選べますよっていう時代だし、ここでも紙の活躍の場がなくなってきてるけどね。」

「あと、事務帳票関連で、これもそろそろレガシー扱いかなっていう用語に、『単票か連伝か』っていうものもあるよ。」

連伝 連続伝票用紙。「連続帳票用紙」=「連帳」、「ビジネスフォーム」=「BF」、「フォーム用紙」、という呼び方もある。
1枚分ごとにミシン目で区切られた用紙が長くつながっているもので、当初はコンピューターからの出力用紙として広く使われていた。
複写が必要な場合はノーカーボン紙(巻)、不要な場合は上質紙(巻)=「上質フォーム紙」が原紙として使われる。
単票 つながっておらず、1枚1枚が切り離された伝票、帳票。

「連伝なんて見たこともない、っていう人も増えたけど、運送会社の配送伝票とかで今も使われているし、コンピューターのシステムを更新していなくて今も出力に連伝を使っている、っていう場合もあるから、どういうもので、何の紙を使っているかくらいは、一応知っておいた方が良いかもしれないね。」

「今はテレワークが増えてPPC用紙すら使わないっていう状況だからなあ。今後は『事務帳票用紙』っていう言葉自体が死語になるのかもしれないね。」
「そうでしょうか?電子書籍と本の関係と同じく、本当に大切で取っておきたいものは紙、という方がまだ多いように思います。」
「信頼性とか継続性の面では、確かに今はまだ紙の方が上かもしれないね。とはいえ、もし今、電子機器が使えなくなったら、仕事が全く進まなくなるのは目に見えてるけど。」
「でも、先輩、そう言う割には、個人でお持ちなのはガラケーですよね。」
「仕事でさんざん、セキュリティーが、とか、データ消失が、とか気を使う状況だと、個人の時くらい、つながるだけのガラケーでいいや、と思うんだよ。それに、ID交換して、っていう人にも、ガラケーなんで、って断りやすいし。」
「それ、ID交換してって言ってくれる人がいない場合にも有効な言い訳ですね。」
「・・・・・・」