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【紙のソムリエ】シートくんとロール先輩の紙修行 45 厚さが変わる?~紙の厚さの測り方の変更~


【今回のお話】
外出先でライバル会社からある話を聞いたシートくん。慌てて先輩に確認しようとしますが・・・
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登場人物御紹介

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シートくん
岐阜の印刷会社で働く、若手営業マン。知識と経験の不足を熱意でカバーすべく、今日も元気に紙修行中。
12月になると早く雪が降らないかなぁと思ってしまう、雪の怖さを知らない岐阜市民。
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ロール先輩
何かと足りないシートくんを優しく導く、工務の先輩社員。
12月になっても雪が降らない岐阜市に戸惑う、(今は)岐阜市民。
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ブック部長
シートくんやロール先輩の仕事ぶりを温かく見守る営業部長。 130507_palet
パレットちゃん
いつも優しくて可愛い総務の先輩・・・?

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「ただいま戻りました!・・・あ、あれ?ロール先輩、もう帰っちゃいました?!」事務所にシートくんの焦る声が響く夕方。何故か指で唇を挟みながら寄ってきたロール先輩に、シートくん、いきなりまくしたてます。「先輩、紙の厚さが変わっちゃうって本当ですか?」
「紙厚が変わる?」「今日、他社さんが紙屋さんに聞いたって教えてくれたんです。再来年、2017年の4月から紙の厚さが変わるんだよって。シートくんも早めに対応しておいた方が良いよ、って言われたんですけど、僕、何のことか分からなくて!」シートくんの要領を得ない説明に、それでも内容を察したらしく、ロール先輩、苦笑します。

「まあ、取り敢えず落ち着いて。相手の方の話が断片的だったのか、シートくんが早とちりしたのか分からないけど、とにかく『厚さが変わる』っていうのは、正確とは言えないから。」
「え・・・じゃあ、間違った情報・・・・・・」
「とも言い切れないとこなんだけどね。こう言うと更に混乱しちゃうかな?あのね、実際の紙の厚さは変わりません。でも、紙の厚さの値が変わる可能性はあるよ、ってことなの。」
「えっと・・・・・・??」

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「本題に入る前におさらいね。シートくん、紙の厚さを表す単位は何だったでしょう?」
「普段は『連量』を使います。たまに、『米坪』を使うこともありますけど。」

連量 洋紙なら1,000枚、板紙なら100枚当たりの重量。単位はkg。
米坪(坪量) 紙1㎡あたりの重量。単位はg/㎡。

「確かに、紙って1枚がすごく薄いから、普段は重量を厚さの代わりに使う。でも、『連量』も『坪量』も結局は重さでしょ?紙の性質上、同じ紙なら単位重量の重い方が厚いって言えるから代用で使うだけで、紙にも本来の意味での『厚さ』があるの。」

紙の厚さの測り方 マイクロメーターと呼ばれる測定機で測る。
二枚の平行な円盤と円盤(上下に位置)の間に紙片を入れ、上の円盤を降ろして一定の圧力で紙片を挟んで、安定した状態になった時の上下の円盤の間の距離をその紙の厚さとする。単位は㎛(マイクロメートル)。

「紙屋さんがよく持ってますよね。片手に持って親指で円盤部分を上げ下げするタイプ。」
「ダイヤルシックネスゲージとかマイクロゲージとか呼ばれてる、持ち運びができるタイプだね。」

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「紙屋さんがゲージ使ってるの見ると、人によって円盤の降ろし方が違ったりしますよね。高い位置からぱっと離してそのままの人もいれば、降ろした後も親指を添えて圧力をかけ続ける人もいる。」
「規格としては指を離す方が正解に近い。でも、あれは、1㎛まで正確な値を出したい、っていうよりは、同じ厚さですよ、っていう比較のために使っていることが多いから、一人の人の中でやり方が統一されているならそれで良い気もするけどね。ただ、紙を作る、供給する時に、人によって測り方がばらばらっていう状態で同じ厚さの紙を作ることはできないから、日本工業規格で紙の厚さの測り方が決まっているの。最近まで、JIS P8118:1998っていうのが、その規格だったんだけど、それによると・・・」

円盤の直径 小さい方が16.0㎜±0.5㎜、あるいは14.3㎜±0.5㎜。もう一方はそれより大きいもの。
加圧面の圧力 紙を押さえる円盤に掛かる圧力。50kPa±5kPa、あるいは100kPa±10kPa。
試験用の紙 1枚での紙の厚さを測定する場合は、50㎜X50㎜以上の紙を10枚以上用意する。
測り方 紙を円盤の間に挟み、降ろす方の円盤を3㎜/s以下の速度で操作して加圧し、安定後の値を読み取る。各試験片1~2か所測定し、合計20か所以上測定する。
円盤の速度を制御できない場合は、試験片の表面から約0.6㎜の高さまで円盤を上げて、その位置で放して測定する。

(kikakurui.com様のサイトに掲載されたJIS P8118:1998より華陽紙業にて抜粋・編集)

「で、今回変わったのは、紙厚を測る時に掛ける圧力の部分。今までは、50kPaでも100kPaでも良いですよ、っていう規格だったんだけど、去年、2014年の11月から、100kPaだけですよ、って規格になって、P8118:1998もP8118:2014っていう新バージョンに改定されたの。ただ、日本の製紙メーカーさんは50kPaの測定機を使っていらっしゃるところも多いから、2017年3月までは猶予期間。2017年4月からは100kPaの測定機で測ったものしかだめですよ、っていうことになったってわけ。」

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「私は習ってないんだけど、シートくんは中学校の理科で、Pa(パスカル)とかN(ニュートン)とかは勉強してるんだよね?」
「先輩、僕が理数系が得意だったように見えますか?」
「・・・じゃあ、一応、重さとか単位とかについてまとめておくね。厳密に物理的な意味で、じゃなくて、紙の厚さに関する単位として、ってことで説明すると・・・」

質量 その物質が持っている、重力に左右されない重量。質量1kgの物体は、月でも宇宙空間でも質量1kg。
重さ 重力によってその物質が獲得する重量。「月では重さが地球の6分の1になる」という現象がこれに相当する。
N(ニュートン) 重さを表す単位。N=質量(kg)X重力加速度(m/s²)で求められる。
地球の重力加速度は9.8m/s²であるため、質量1kgのものは1(kg)X9.8(m/s²)=9.8N(ニュートン)。
月の重力加速度は1.6m/s²であるため、質量1kgのものは1X1.6=1.6Nとなり、地球の6分の1の『重さ』になることになる。
なお、地球上の1Nは1/9.8=0.102・・・より、約100gとなる。
Pa(パスカル) 圧力の単位。1Paは1㎡あたりに1N(地球上では約100g)の重さが掛かった場合の圧力。kPa(キロパスカル)はその1,000倍なので、1㎡あたり約100kgの重さが掛かった場合の圧力となる。

「50kPaは50X100kgだから5トン、100kPaは100X100kgだから10トンの重さが1㎡あたりに掛かった場合の圧力ってことですか?」
「うん。つまり、ざっくり言うと、今までは、ふわっとした力で測ってもぎゅっとした力で測っても良いですよ、っていう規格だったのが、ぎゅっとした力で測ったものじゃないと認めませんよっていう規格に変わったわけ。紙は凸凹がある構造だから、加わる力によって厚さとして表示される値が変わってくる可能性がある。だから・・・」
「紙の厚さは変わらないのに、厚さの値は変わる可能性がある、ってことなんですね。」

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「で、厚さの値が変わるかもとなるとやっかいなのが、紙の密度の値も変わってくるんじゃないかって話なの。紙の密度は

密度(g/㎤)=坪量(g/㎡)/(厚さ(㎜)X1000)

で求められるから、厚さの値が小さくなれば密度の値は大きくなる。つまり、紙の品質は変わってないのに密度が上がったようになっちゃうんだよね。」
「紙の密度って品質にどんな影響があるんですか?」
「紙の密度が上がるっていうのは、繊維同士の絡まりが密になって、繊維間の空隙、つまりポコポコ開いた孔の部分が少なくなるってこと。一般に密度が上がれば平滑性は上がるけど、不透明度は下がる。あと水やインキの浸透度合いとか乾燥とか、印刷品質にも関わってくるね。もっと単純な話だと、『嵩高紙です』って謳われている製品の密度が上がっちゃったら・・・」
「嵩高紙ではなくなってしまう?」
「そういうこと。」

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「でも、最初に言った通り、紙の品質が変わるわけじゃないんだから、そんなに大事にはならないと思うよ。ただ、お客様によっては紙の品質を厳密に管理されているお仕事もあるだろうから、予めそのお客様向けで使っている紙が該当するのかどうか、紙屋さんに確認して、該当するようならお客様とよく打ち合わせて御理解して頂く必要はあると思う。お客様だって、予備知識なしに、或る日いきなり、紙の厚さが変わるけど品質は変わりませんって言われても混乱しちゃうでしょ?他社さんが早めに対処した方が良いよって教えてくれたのって、そういう意味だと思うよ。」
「なるほど。でも、なんで規格を変更したりするんですか?こういう問題が起こるのに。」
「一番大きな要因は、日本の工業規格であるJISを国際標準であるISOの規格に合わせようっていう動きがあるから。ここ最近始まった動きじゃなくて、20年前ぐらいから続いていることなんだけどね。その要因としては、貿易の非関税障壁になるからっていうのが大きいんだけど・・・まあ、その話は良いかな。とにかく、紙だけじゃなくて、全ての規格でそういう動きがあって、紙分野でも同じように定期的に色々な規格変更がされていますよって話。」
「ということは、これからも何か変化が?」
「あるかもしれないね。元々、紙って内需産業だから、国際規格に対してそれほど熱心じゃなかったんだって。でも最近は輸出も輸入も、海外での現地生産も盛んでしょ?ISOの紙分野では中国の発言権が増してきているっていう話もあるし、日本もISOに日本の意見が反映されるように頑張っているって話だよ。」
「えっとそれは・・・JISがISOに合わせて変わるように、ISOもJISに合わせて変わるかもしれない?」
「どうだろうね。ただ、自国の規格が国際標準になれば、当然商売上有利になる筈だから、どこの国も熱心だよってことは言えるのかも。・・・個人的にはあんまり変わってほしくないけどねぇ。台風がいきなりミリバールからヘクトパスカルになった時だって、すごく違和感あったもん。」
と、そこへすすす、と寄って来たパレットちゃん。眉を顰めてロール先輩に耳打ちします。
「あんまりミリバールって大きな声で言わないで、ロールちゃん。」
「?何で?」
「その辺りの変更があったのって、もう20年以上前なんだよ。ミリバールに思い入れがあるってことは・・・」
パレットちゃんの指摘にはっと辺りを見回すロール先輩。不得要領なきょとんとした顔と、懐かしげに苦笑する顔の世代差に気付き、顔を赤らめます。
何故かパレットちゃんにきっと睨まれて動揺し、「え、僕、何も言ってないし思ってませんよ?・・・いやあ、懐かしいですよね、ミニバール・・・」と更に墓穴を掘るシートくんなのでした。

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