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【紙のソムリエ】シートくんとロール先輩の紙修行 53 持続可能?~森林認証~


【今回のお話】
お昼に入ったお店で割り箸に目を留めるシートくん。環境が気になりますが・・・
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登場人物御紹介

シートくん(先輩) 岐阜の印刷会社で働く、若手営業マン。知識と経験の不足を熱意でカバーすべく、今日も元気に紙修行中。
かき氷とアイスクリームと炭酸飲料でひんやり爽快、元気いっぱい、の8月。
ロール先輩 何かと足りないシートくん(先輩)を優しく導く、工務の先輩社員。
隣で冷菓を食べまくるシートくんに、見ているだけでお腹と頭が痛くなる8月。
ブック部長 シートくんやロール先輩の仕事ぶりを温かく見守る営業部長。
パレットちゃん いつも優しくて可愛い総務の先輩・・・?
シートくん(後輩) シートくんと同姓で1年後輩の営業マン。

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 出先でお昼を取ろうとお店に入ったシートくん。今日はロール先輩が同行中です。

「先輩、さっきは有難うございました!フォロー助かりました!」明るい笑顔のシートくんに、「だから、ちゃんと資料の準備しておいてねって言ったのに・・・」疲れた様子のロール先輩。「あはは・・・お腹空きましたね!何食べよっかなあ・・・」きょろきょろとメニューを探すシートくん。ふと割り箸に目を留めます。

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「先輩もありますか?こういう箸袋とかメニューとか見ると、印刷や紙が気になっちゃうって。」
「ああ、それ、『印刷屋さんあるある』だよね。パレットちゃんも同じこと言ってた。」
「やっぱり。でも、最近割り箸置いてないお店も多くて、箸袋を見る機会も減っちゃって・・・」
「コストダウンとか企業のイメージアップとかで割り箸からプラスチックのお箸に変更してるお店が多いからね。」
「イメージ?」
「木でできた、使い捨ての割り箸じゃなくて、何度も使えるプラスチック箸にすることで、うちは環境に気を使ってますよってアピールする狙いもあるって。」
お箸の再利用化とペーパーレス化、段ボールの削減なんかを一緒に環境方針に掲げている会社もあるよ、と苦笑するロール先輩に、シートくん、溜息をつきます。
「木を使ってる消耗品って悪者扱いですよね・・・」
「木だけじゃないし、何でも悪者扱いってわけでもないけどね。・・・そう言えば、以前姪っ子ちゃんに、印刷は紙を使うからって、悪の手先扱いされたんだっけ(シートくんとロール先輩の紙修行42 紙は自然の敵?~紙と木材~ をご覧下さい)。誤解は解けた?」
「話はしましたけど納得してくれたかどうかは・・・・・・」
「うーん・・・」
「・・・・・・」

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「この前は、紙を作るのには意外に純正の木材は使用されていないっていうことを話したから、今度は、紙に純正の木材を使うことも環境保護につながるっていう方向で説明してみたら?」
「例えば?」
「一番分かりやすいのは『間伐』かな。」

間伐とは 森林から意図的に木を間引きして伐採すること。
間伐の長所 ①残った木に栄養が行き渡るため、太く根のしっかり張った木となる。
②森の中に日光が届くため、下草などが成長し、自然林に近い、植生の豊かな森が出来上がる。
③①②により、森林が水を貯えやすく、大雨などの時にも土砂が流出しにくい森となる。
④①により、雪などでも倒れにくいしっかりした木が得られ、売却単価も高くなる。
紙との関わり 間引きされた間伐材は紙の原料としても有効利用される。

「ちなみに岐阜にはスギの間伐材を利用した『郡上割り箸』っていう製品があるんだけど、森林の保全と地元産木材の有効利用、雇用の確保につながる取り組みだってことで、今、注目を集めているよ。この前の伊勢志摩サミットの時にも、郡上市から志摩市に5万膳分が寄付されたって。」

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「それに、植林木の話はこの前もしたけど、森林認証の話はまだだよね。」
「そう言えば最近、持続可能性とかサステナブルとかっていう言葉と一緒に、森林認証の話題を良く目にしますね。」

持続可能性
(サステナビリティ)
環境問題に関する文脈で表れる場合には、個人の行動や企業の事業活動が、環境に多大な負荷を掛けず、将来的に持続可能な成長を続けられるかどうかを示す言葉として使われる。1992年の国連リオ地球サミット以降、環境問題を語る言葉として、「生物多様性」などとともに認知されるようになった。
森林認証 世界の林産物企業や国を対象に、その森林経営が環境的・経済的に持続可能かどうかを審査し、認証するもの。
木を伐り過ぎていないか、動植物を含めた生態系を維持しているか、地元共同体との関係は良好か、等、森林経営やその流通に関し、多岐にわたり評価される。

「木を伐り過ぎちゃいけない、野生動物を保護しなきゃいけない、地元の環境に迷惑を掛けちゃいけない・・・全部当たり前のことですけど、企業の事業を中心に考えると、制約が多くて余分なコストがかかる感じがしますけど・・・」
「そういう側面もあるし、逆にメリットもあるよ。もともと森林認証って、環境問題に対する関心の高いヨーロッパで生まれた考え方なの。環境保護団体が市民や政府に働きかけて、その意を受けて、印刷会社や小売業者、つまり紙や紙製品を買ってくれるお客様が製紙メーカーに働きかけるようになったって話。『うちに納入してくれる紙や紙製品の原料は、違法に伐採された木材じゃないですよね?ちゃんと森林は、今後も無くなってしまわないように、適切に管理されていますよね?』って。」
「でも、それ、メーカーさんがいくら『大丈夫ですよ』って言っても、信用できるかどうかって問題になるんじゃ・・・・・・」
「うん。だから、第三者機関、つまり、企業と利害関係がなくて、その企業の森林経営が適しているかどうかしっかり評価できる団体の認証が必要って話になって、1990年代頃から森林認証を取得する企業が現れ始めたんだって。」
「森林認証を取れば、客観的に森林を適切に管理している企業って証明されて、お客様にも信頼される。それがメリットってことですね?」
「それに、認証を取得していない企業との差別化にもなって、上手くやれば新規のお客様を獲得する武器にもなる。認証の種類によっては製品に認証を証明するロゴマークが付けられることもあるから、売り場で一般消費者にもアピールできるっていう利点もあるの。」

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「認証機関って、色々あるんですか?」
「有名なのはFSCとPEFCかな。」

FSC 森林管理協議会。1993年に設立された非営利組織。森林や林産物に関し、国際的に信頼される、厳密な管理基準を設定している。
実務としては、FSCが認証した監査機関(SCS、SGSジャパンなど)が企業に出向き、監査・評価・認証を行う。
PEFC 元は欧米の小規模な林業家の森林認証を行う目的で、各国独自の森林認証制度を相互に承認する国際的な統括機関として1999年に発足。2004年にオーストラリアとチリの森林認証制度が相互認証され、非ヨーロッパ地域にも広がったことから、現在の『PEFC森林認証プログラム』という名称になる。
SGEC 一般社団法人緑の循環認証会議。日本独自の森林認証機関として2003年6月に発足。2014年PEFCに加盟し、2016年6月3日、相互認証が承認された。これにより、PEFCの認証を受けた制度として、世界各国に認証品としての輸出が可能となった。

「FSCが国を超越した国際的な第三者機関、PEFCが各国の森林認証制度を国際的に統括する第三者機関、って感じですね。」
「そうだね。それぞれに長所短所があるとは言われているけど、どちらも地球環境の持続可能性を高めるために厳しい基準を設定して評価・認証を行っている機関だよ。他にも、CSAとかSFIとか各国独自の森林認証があって、主なところの多くはPEFCの相互認証を受けてるね。」

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「森林認証か・・・印刷会社さんや紙屋さんにはあまり関係がなさそうですね。」
「そんなことないよ。FSCでもPEFCでも、多くの森林認証には、『FM認証』と『CoC認証』の2種類があるの。」

FM認証 Forest Management認証。製紙メーカーや林産企業など、森林を所有・利用している企業などが、対象の森林を持続可能な形で管理・経営しているかどうかを評価・認証する制度。
CoC認証 Chain of Custody認証。FM認証された林産物を非認証製品と分けて適切に管理し、加工、流通させているかを評価し、認証する制度。

「例えば、チップの原産地である森林がFM認証を受けていたとしても、製紙メーカーさん、紙屋さん、印刷屋さんがそれぞれCoC認証を受けていないと、出来上がった印刷物に認証ロゴマークを付けることは出来ないの。だから、うちもCoC認証を取得してるんだけど・・・」
「あれ?そうでしたっけ?・・・あはははは・・・・・・」

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「そう言えば、最近新聞で、日本の製紙メーカーさんが森林認証取得を急いでいるって記事を読みました。」
「さっきの繰り返しになるけど、森林認証取得はもともと1990年代のヨーロッパで盛り上がった動きで、その頃の日本はまだまだ森林認証に関心が薄かったの。でもここに来て、大手の小売チェーンさんが認証製品を扱ったり、自社の建物の建築用材を認証材にしたり、家電メーカーさんがカタログを認証紙で作ったり、ユーザーさんの側で認証製品を求める動きが少しずつ出てきているの。あと、オリンピック。」
「オリンピック?」
「2010年のバンクーバーオリンピックくらいからオリンピック用の建築物に認証材を使用する動きが出てきてたんだけど、2020年の東京では、建材に認証材を使用することっていう基準が決定したの。で、今年の6月には、ポスターとかプログラムとか紙・板紙製品にも認証紙を使用しましょうって日本製紙連合会さんが意思決定した。」
「それを受けて、認証取得の動きが加速したってわけですか。」
「もともと三菱製紙さんをはじめとして、日本の大手の製紙メーカーさんはFSCやPEFCの認証を取得していたし、認証紙も販売してたんだけどね。ここに来て、一部の工場でしか取得してなかったのを全部の工場での取得に拡大したり、ポスターに使われそうなアート紙で従来品を認証品に変更したりする動きが出てきているって話。」

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「森林認証か・・・これで、紙が環境に悪いわけじゃないって納得してくれるかな・・・・・・」
「どうかな・・・ただ、近頃、環境のためにプラスチックに代えて紙の包装を使用しましょうって動きも出てきているし、一概に紙は悪者じゃないんだよって説明の補強にはなるかなと思うんだけど・・・」
まあ、お昼ご飯でも食べて、元気出して。そう言ってメニューを差し出すロール先輩、何かに目を留めてシートくんに話しかけます。
「そう言えばシートくん、別のCoC認証って知ってる?」
「別のCoC認証?」
「MSC認証って言うんだけどね。例えばこのメニューの・・・」
「うわ!何この海鮮丼!めっちゃ美味しそう!その上、めっちゃお得!!僕これにします!」
いそいそと店員さんを呼び、注文を済ませるシートくん。にこにこ笑顔でロール先輩に向き直ります。
「えっと、それで、何の話でしたっけ?」
「いや・・・元気が出たんならもう良いよ・・・・・・」
お得なランチを目にして何か悩んでいたことさえ頭から消えたらしいシートくんに、苦笑を返すロール先輩なのでした。

※文中敬称略
※上記の文章を作成するに当たり、下記書籍・サイト等を参照させて頂きました。
『森林ビジネス革命』 M・B・ジェンキンス/E・T・スミス 著 大田伊久雄/梶原晃/白石則彦 翻訳 築地書館(2002年)
株式会社郡上割り箸様、FSCジャパン様、PEFCアジアプロモーションズ様、WWFジャパン様、環境省様、林野庁様、各製紙メーカー様、外食・小売関連企業様のサイト 他

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