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【紙のソムリエ】シートくんとロール先輩の紙修行 58 世界進出は夢じゃない?~和紙と世界の関わり~


【今回のお話】
新年。夢見がよくて元気いっぱいのシートくんですが・・・
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登場人物御紹介

シートくん 岐阜の印刷会社で働く、若手営業マン。知識と経験の不足を熱意でカバーすべく、今日も元気に紙修行中。
新しい年に期待を膨らませる1月。
ロール先輩 何かと足りないシートくん(先輩)を優しく導く、工務の先輩社員。
今年はシートくんが少しは落ち着きますように、と願う1月。
ブック部長 シートくんやロール先輩の仕事ぶりを温かく見守る営業部長。
パレットちゃん いつも優しくて可愛い総務の先輩・・・?
後輩シートくん シートくんと同姓で1年後輩の営業マン。

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「明けましておめでとうございます!」
新年の朝の事務所にシートくんの元気な声が響きます。
「明けましておめでとうございます、シートくん。お休みでリフレッシュできたみたいだね。」
苦笑交じりのロール先輩の挨拶に、
「はい。すごく良い初夢を見たんです。きっと正夢です!」
「・・・ちなみにどんな?」
「世界進出する夢です!」
「・・・・・・」
微妙な表情のロール先輩ときょとんとするシートくんを見かねたのか、後輩シートくんが話に入って来ます。
「そう言えば、年末に本美濃紙の話題が出ていましたね。」
「ああ。大統領の訪日記念の贈り物に、本美濃紙が使われたって話だよね。」
「え?本美濃紙って、じゃあ、既に世界進出を果たしているってことですか?」
負けられないです!とこぶしを握るシートくんに、話題選択を誤ったことを知る後輩シートくん。
申し訳なさそうに目くばせするのにかぶりを振り、ロール先輩、苦笑して続けます。
「和紙は随分昔から、海外でも評価を得ているんだよ。今から追いつくのはちょっと難しいかも。」
「え?」

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「良く知られているのは、レンブラントやピカソが和紙を使っていたっていう話かな。」

レンブラント 銅版画やスケッチに「GAMP PAPER」を使っていたとの記述がある。「GAMP PAPER」はガンピペーパー、雁皮を使用した鳥の子紙だと考えられている。
ピカソ 版画用紙として越前生漉奉書を使っていたが、親交のあった藤田嗣治が産地を尋ねても笑って教えなかったとの逸話がある。

「レンブラントは17世紀の人だから、今から400年くらい前には和紙の良さが海外でも認められていたことになるよね。」
「400年前というと、江戸時代の初めですね。」
「実際に和紙の良さに気付いたのはその前の時代の宣教師の人たちだったって話だけどね。特に雁皮紙がペンで書くのに適していたってことで、その当時に編纂された日本語‐ポルトガル語の辞書には紙の名前が15個集録されているんだけど、そのうちの7つが雁皮が原料の紙の名前だったんだって。」

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「ピカソの時代で言えば、各地の万博で和紙が評判になった話が有名ですね。」
「金唐革紙や局紙だね。」

金唐革紙 江戸時代にオランダ人によって革に金箔などを施した「金唐革」が伝来、それを真似て伊勢で作られた「擬革紙」が評判となる。さらにそれを壁紙用に改良した「金唐革紙」(出品当時は「金革紙」)が明治6年のウィーン万博で高評価を得、その後改良を重ねて輸出、欧州の宮殿の壁紙に採用されるまでとなる。
局紙 大蔵省印刷局が三椏などを原料に溜め漉きで作った紙。明治11年のパリ万博で好評となり、輸出されるようになる。1919年のベルサイユ条約の正文用紙にも採用された。

「江戸時代のロンドン万博やパリ万博でも和紙が出展されて、日本の和紙への関心が高まるきっかけになったと言われているの。」

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「日本から海外に出て好評を得た和紙もあるし、海外から日本に来て和紙に目を留めた人もたくさんいるよ。」

フロイス 戦国時代に来日し、織田信長などに面会した宣教師。著書『日欧文化比較論』の中で、西洋の紙と和紙の違いや和紙の種類の多さ、用途の広さなどに触れている。
シーボルト 江戸末期にオランダ船の船医として来日し、日本の洋学の発展に多大な貢献をしたドイツ人医師。紙づくりの様子を見学して製法を書き残すなど和紙にも関心が深く、彼が大阪で買い求めた130種近くの紙は『大日本諸国名産紙集』としてオランダ・ライデンの国立民族博物館に収蔵されている。
※2016年にはシーボルトが持ち帰って国立民族博物館に収蔵されていた絵画6点が葛飾北斎の作だったことも発表されている。
パークス 江戸末期~明治期の駐日英国公使。イギリス政府の指令により『日本紙調査報告』にて和紙や和紙製品の製法などの詳細を報告。報告書に添付した和紙や和紙製品はヴィクトリア・アンド・アルバート美術館などに収蔵された。
ハンター アメリカ人の紙史研究家。昭和初期に日本・韓国・中国などの紙郷を巡り、日本の紙の素晴らしさや手作業の技術の高さを著書に書き残している。

「他にもたくさんの人が来日して和紙や紙漉きに触れて、本を残したり紙や製品を自国に持ち帰ったりしているの。」
「世界と和紙の関わりには、僕たちが思っている以上に長い歴史があるということですね。」

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「ね?だから世界進出なんてそんなに一朝一夕にできることじゃないんだよ?」
そう言ってロール先輩が振り返った先に、しかし、シートくんの姿はありません。
「あれ?シートくんは?」
「先輩ならあちらです。」
後輩シートくんが指差す先に「初夢が世界征服!」と話すシートくんの姿が。
「聞いてなかったんだね、シートくん。」
「そうみたいですね。」
「そして、世界進出が世界征服になっちゃってるね。」
「そうみたいですね。」
疲れた顔を見合わせ、思わず苦笑を浮かべる二人。
「なんか、シートくんならできるかも、って気がしてきたよ。」
「和紙並みの打たれ強さがありますからね。」
「きっと原料は楮で適度に叩解されてるんだよね。」
「でも叩かれ過ぎてもいないんですよね。」
同じような表情で乾いた笑い声を上げ、同じタイミングで溜息を吐くロール先輩と後輩シートくんなのでした。

※文中敬称略
※上記の文章を作成するに当たり、下記書籍等を参照させて頂きました。
『和紙 多彩な用と美』久米康生著 玉川大学出版部(1998年)
『和紙の道しるべ その歴史と化学』 町田誠之著 淡交社(2000年) 
『産地別すぐわかる和紙の見わけ方』 久米康生著 東京美術(2003年)
『紙のなんでも小事典』 紙の博物館編 講談社(2007年)

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