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華陽ニュース
紙の市況(2019.9)詳細 9月10日更新分
【洋紙 国内の紙の市況/状況】
1.日経42種 「紙・板紙」は前月比横ばい |
8月31日付の日本経済新聞紙上にて、日経商品指数42種の8月末値が発表されました。1970年を100とし、資材や燃料の企業間取引価格を指数化した日経商品指数42種全体の8月末値は前月比1.8%下落、前年同月比4.0%の下落で、7月に比べて前年同月比での下げ幅が拡大、9か月連続の前年同月比下落となったと報じられています。
紙・板紙の8月末値は
品種 | 8月末指数 | 前月比 | 前年同月比 |
紙・板紙 | 164.455 | 0% | 1.4% |
※1970年を100として指数化。前月比、前年同月比は騰落率。▲はマイナス。
米中貿易摩擦の影響などで非鉄や石油、鋼材といった品種が下落するなか、紙・板紙は市況を維持し、前年同月比上昇となっています。
2.王子HD 株価下落を分析する報道 |
9月3日付の日本経済新聞紙上にて、王子ホールディングスの株価が2か月で2割下落していると報じられています。他の製紙大手と比較しても下げ幅が大きいとのことで、その要因について同紙は
・中国の紙需要の減少から、パルプ価格が王子HDの想定以上に軟調 ・人民元の対ドル安で、ドル建てでパルプを購入する中国の需要家の買い控えが広がりつつある |
といった、米中貿易摩擦に端を発する中国の需要減が影響していると指摘しています。
今期営業利益目標1,100億円の達成に疑問の声を上げる証券会社もあると報じられていますが、株価復活にはCNFのような成長事業と既存事業の採算改善で結果を示していく必要があるのではと、同紙は分析しています。
3.日本紙パルプ商事 環境配慮型製品特化のECサイトをオープン |
日本紙パルプ商事は9月4日、環境配慮型製品を専門に扱うECサイト『Paper&Green』をオープンしたと発表しました。同社サイトや新ECサイトの記述から抜粋すると、
目的 | 環境配慮型製品の紹介・提供により、社会と地球環境のよりよい未来の構築に貢献する。 |
新サイトの特徴 | 製品販売やオーダーメイド製品の受注のほか、環境視点での製品解説ページを設け、環境配慮型製品の選択をサポートする。 |
取扱製品 | 古紙100%の紙製緩衝材や生分解性プラスチックを使用した紙カップ、生分解性レジ袋など。 |
同社は今後も取扱製品や情報を増やし、持続可能な循環型社会に貢献していくとしています。
【その他の市況】
1.古紙輸出見送り5か月連続 |
8月31日付の日本経済新聞紙上にて、関東製紙原料直納商工組合が段ボール古紙の9月積みの輸出を見送ると報じられています。輸出見送りは5か月連続となり、米中貿易摩擦の長期化が古紙需要の停滞にも影響を及ぼしていると記事では伝えています。
2.パルプ値下がり3か月連続 |
8月30日付の日本経済新聞紙上にて、北米産針葉樹パルプの7月積み日本向け輸出価格が下落したと報じられています。前月比6%の下落で3か月連続の値下がりとのこと。印刷用紙に使われる南米産広葉樹パルプも前月比13%の下落となっていると報じられています。
古紙と同様、米中貿易摩擦による中国の紙需要減速が市況軟化の原因となっていますが、家庭紙に使われる北米産針葉樹パルプは秋が需要期の始まりとなっており、価格も下げ止まるのではないかと見る向きも多いと記事では伝えています。
【印刷・製品関連】
1.DIC ドイツBASF社から顔料事業買収 |
8月30日付の日本経済新聞紙上にて、DICドイツの化学大手、BASF社の顔料事業の買収を発表したと報じられています。記事や、29日付の同社のニュースリリースによると、
内容 | DICがBASF社の顔料事業を約1,162億円で買収することで最終合意。2020年末までに買収を完了する意向。 |
目的 | BASF社の顔料事業が保有する自動車や化粧品向けの高級顔料製品はDIC製品と重複が少なく、製品補完性が極めて高いと判断。 この買収により市場評価の高い高機能製品を顔料製品のラインアップに加え、グローバルな事業展開を加速する考え。 |
出版物の需要減少とともに出版用インキの需要も落ち込んでおり、同社は事業領域の多様化により総合化学会社への脱皮を意図していると、記事ではこの買収の意義を説明しています。
※文中敬称略
※文章は2019年9月6日現在、新聞記事などを基に華陽紙業にて編集しております。実際の動向についてはお客様にて総合的にご判断頂きますよう、お願い申し上げます。