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紙の市況(2019.10)詳細 10月10日更新分

【洋紙 国内の紙の市況/状況】

1.10~12月産業景気予測が発表

 日本経済新聞は10月7日、10~12月期の産業景気予測を発表しました。紙関連では、

と、評価は横ばいも、原材料価格の面で製紙各社の収益が改善する見通しについて言及しています。
 主要30業種では、

と、鉄鋼・非鉄、食品・飲料、貨物輸送、アパレル、アミューズメントの5業種で見通しが悪化。米中貿易摩擦の長期化や消費増税などが多くの業種に影響を与えそうだと解説されています。


2.日経42種 10か月連続下落

 10月1日付の日本経済新聞紙上にて、日経商品指数42種の9月末値が発表されました。1970年を100とし、資材や燃料の企業間取引価格を指数化した日経商品指数42種全体の9月末値は前月比では0.4%上昇したものの、前年同月比では4.3%の下落、前年同月比での下落は10か月連続となり、下落幅も8月末値の4.0%より広がったと報じられています。
 紙・板紙の9月末値は

と、今年2月より7か月ぶりに前年同月を下回る指数となっています。
 9月29日付の日本経済新聞の記事によると、米中貿易摩擦の長期化による中国景気の減退などから、産業・工作機械向けの資材である鋼材や、梱包用に使う段ボール原紙の在庫などが需給均衡の目安となる重量を超えて増え続けているとのことで、日韓対立や消費増税など国内外の需要に影響を与える他の要因についても注視を促す声があるようです。


3.三菱製紙販売の商号が変更

 王子ホールディングスと三菱製紙は9月27日、三菱製紙の子会社で同社紙パルプ製品の販売会社である三菱製紙販売株式会社の商号変更を発表しました。

現商号 三菱製紙販売株式会社
新商号 三菱王子紙販売株式会社
商号変更日 2019年11月1日
変更経緯 今年3月に三菱製紙が王子HDの持ち分法適用会社となり、
三菱製紙販売もそれ以前の今年1月より王子製紙製品の販売を開始している。

 三菱製紙販売が『三菱』ブランドに加え『王子』ブランドを取り扱うことで強固な仕入れ基盤を持つ代理店への転換を図ると、両社は商号変更の理由を説明しています。


【板紙 国内の紙の市況/状況】

1.王子HD 名寄工場生産品を苫小牧に集約

 王子ホールディングスと王子マテリアは10月4日、王子マテリア名寄工場所有の抄紙機2台のうち、1台を苫小牧工場に移設、1台を停機し、同工場の生産品を苫小牧工場に集約すると発表しました。両社の発表や10月5日付の日本経済新聞の記事によると、

2号機 苫小牧工場に移設。特殊ライナーや特殊板紙を生産。2021年9月に停止し、2022年4月に再稼働予定。
3号機 2021年12月に停機予定。従来生産していた中芯原紙16万3千トン(年間)分が減産予定。
効果 拠点集約により物流費を削減。

 今年5月に王子ホールディングスは苫小牧工場の新聞用紙の抄紙機を段ボール原紙・クラフト紙の製造設備に改造することを発表しており、今回の名寄工場閉鎖も生産体制再構築の一環であると説明しています。


2.レンゴー 大阪に物流新拠点

 レンゴーは10月1日、新たな物流拠点の建設に着手したと発表しました。同社サイトの発表によると、

名称 淀川流通センター(仮称)
所在地 大阪市福島区 2018年3月末で閉鎖された同社淀川工場の跡地
内容 同地に住友商事株式会社と共同でマルチテナント型物流倉庫を建設。一部を同社グループの物流拠点にする計画。
稼働開始 2021年度中を予定。

 完成後は同社グループの関西地区の最大の物流拠点となる予定とのことで、この拠点の建設で輸送品質とサービス向上を図るとともに、荷主企業の立場でトラックドライバーの働き方改革も推進していくと、同社は建設意図を説明しています。


【その他の市況/状況】

1.古紙価格がさらに下落

 9月28日付の日本経済新聞紙上にて、古紙の取引価格が一段と下落したと報じられています。古紙問屋が回収業者から仕入れる買値で、段ボール・新聞・雑誌古紙のいずれも上値が1円下落したとのこと。国内製紙会社はリサイクルシステム維持のため古紙の仕入建値を維持すると公言していますが、一部原料仕入れを制限する動きがあったとのことで、古紙在庫の増加を警戒する声もあると記事では伝えています。


2.ティッシュの輸入が急増

 10月4日付の日本経済新聞紙上にて、ティッシュの輸入が急増していると報じられています。記事によると、

・国内シェア1~2割を占めていた海外大手が値上げし、日本への供給量が減少。
・昨年からの自然災害や設備トラブル、火災などで、国内製紙は供給を増やせず。
・物流費の高騰などから国内製紙各社が値上げを実施。
・消費増税を前に問屋や小売店でティッシュの需要が増加。

などの状況により、割安な中国製などの輸入が増加しているとされています。
 9月に消費増税前の駆け込み需要が見られたことから、10月は反動減が警戒されるとともに、輸入紙の動向にも市場関係者の注目が集まっていると記事では伝えています。


【印刷・製品関連】

1.日本製紙 養牛用の高消化性セルロースを開発

 
 日本製紙は9月30日、乳牛の飼料として「高消化性セルロース」を開発したと発表しました。同社サイトの発表によると、

高消化性セルロース  木材チップを脱リグニン処理した、純度の高いセルロース繊維の集合体。同社は特許取得後、2015年より国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構と共同で基礎検討を重ね、今年4月から乳牛に与え効果を確認。
開発の経緯や効果  乳牛の飼料を低栄養の牧草から栄養価の高いトウモロコシなどに替えると、乳量は増加するが、ルーメン(第一胃)での急激な発酵により乳房炎や繁殖障害などの病気を発症することがある。
 日本製紙が開発した高消化性セルロースは牧草と同じく緩やかな発酵が行われることから、急激な発酵による症状の予防に寄与すると考えられており、また、トウモロコシ並みに高い消化率を持つことから、栄養価が高く、乳量の増加が期待されている。4月からの実験では乳成績の向上等の検証結果が得られたとのこと。

 高消化性セルロースは国内製造で、一定品質で1年を通じて供給が可能とのことで、同社は今後も「木」を総合的に利用する事業を幅広く展開していくとしています。


2.レンゴー マイクロセルロースビーズをOEM生産

 レンゴーは10月1日、大東化成工業株式会社とマイクロセルロースビーズのOEM生産を開始するための契約を締結したと発表しました。同社サイトの発表によると、

マイクロセルロースビーズ 生分解性を有するセルロース微粒子。海洋汚染問題で注目されるプラスチック微粒子(角質除去や洗浄などの目的で歯磨き粉や化粧品などに使用されている)の代替品として、欧州を中心に需要が拡大している。
大東化成工業 以前から化粧品原料としてマイクロセルロースビーズの「CELLULOBEADS」を製造・販売。環境意識の高まりを背景に増産を検討し、レンゴーにOEM生産を要請、今回の契約締結に至る。

 レンゴーは同社独自の球状セルロース粒子「ビスコパール」を製造・販売しており、今回の契約締結を機に大東化成工業との協力関係を強化し、プラスチック代替事業としてセルロース関連事業のさらなる拡充を図るとしています。


※文中敬称略
※文章は2019年10月8日現在、新聞記事などを基に華陽紙業にて編集しております。実際の動向についてはお客様にて総合的にご判断頂きますよう、お願い申し上げます。