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華陽ニュース

紙の市況(2020.4)詳細 4月10日更新分

【洋紙 国内の紙の市況/状況】

1.4~6月産業景気予測が発表

 日本経済新聞は4月7日、4~6月期の産業景気予測を発表しました。紙関連では、

と、新型コロナウイルスの感染拡大とそれに伴う外出自粛、東京五輪の延期などが先行きの見通しに影響を与えています。
 主要30業種では、

と、「雨」が一番多い11業種に。多くの業種で天気が悪化するなか、次世代通信規格「5G」関連の需要に期待がかかる「電子部品・半導体」の見通しのみ、上向きの判定となっています。


2.日本製紙製CNFが紙カップに採用

 日本製紙は3月27日、同社のセルロースナノファイバー「セレンピア🄬」をコーティングした原紙が凸版印刷が制作する紙製バリアカップ「CNFエコフラットカップ™」に採用されたと発表しました。同社や凸版印刷の公式サイトの発表によると、

「CNFエコフラットカップ™」 凸版印刷が環境負荷の低い包装材などを提案する「トッパンサステナブルパッケージ」シリーズの一つとして開発した、高いバリア性・密閉性を特長とする紙製バリアカップ。2020年4月よりサンプル出荷開始。
従来のプラスチックカップと比較して、プラスチック使用量を約50%削減できるとしている。
原紙・成形 紙基材に日本製紙のセルロースナノファイバー「セレンピア🄬」をコーティング。同社や日本製紙クレシア、凸版印刷の技術力により、高い酸素バリア性、光影響による内容物劣化防止、紙でありながら商品の長期保存性を実現。
CNFを固形食品用途だけでなく飲料など液体用途でも使用できるようにした。

 凸版印刷は「トッパンサステナブルパッケージ」で再生プラスチックの使用やリサイクル可能な包装材の開発、紙化によるプラスチック使用量の削減などに取り組んでおり、今後もCNFを用いた新たな紙容器の開発を推進するとしています。


【板紙 国内の紙の市況/状況】

1.大王製紙 N7号の板紙転抄改造が完了

 大王製紙は4月7日、三島工場N7号抄紙機の設備改造工事が完了し、板紙製造の営業運転を開始したと発表しました。同社公式サイトの発表などによると、

概要 紙・板紙事業の構造改革の一環として、洋紙の抄紙機だった三島工場・N7号抄紙機を2019年10月に停機。板紙の製造設備への改造工事がこのほど完了し、4月1日より営業運転を開始。
生産品種 板紙
生産能力 25,000トン/月
今後の展開 三島工場や設備の立地や技術力、コスト競争力などを活かし、段ボール需要が今後も安定的に伸長すると見込まれる中国や東南アジアへ製品を輸出していく計画。

 足元で中国では、

・環境規制強化で古紙の輸入が規制。
・新型コロナウイルスの感染拡大で中国国内の古紙回収が停滞。

2月の段ボール原紙の輸入が増加

との状況があり、今後も古紙輸入の規制により中国での板紙生産は逼迫するとの見方を同社は示しています。


【その他の市況/状況】

1.ボイラー用C重油 値下がり

 3月27日付の日本経済新聞紙上にて、JXTGと大口需要家の2020年1~3月期のC重油の価格交渉が決着したと報じられています。製紙会社がボイラー燃料に使う高硫黄C重油は前期比4%安い価格で決着したとのこと。船舶燃料に関する環境規制強化の影響で需要が高まった発電用低硫黄C重油が8%と値上げとなったのとは対照的な交渉結果となったことが伝えられています。


2.カセイソーダ 国内で値下げ交渉

 3月28日付の日本経済新聞紙上にて、製紙の蒸解工程などで使う薬品のカセイソーダが、アジア市場で値上がりしていると報じられています。カセイソーダ製造設備の定期修理などの影響で需給が引き締まり、3月に前月比2割程度上昇したとのこと。
 一方国内では、製紙会社など大口需要家から値下げ要求が出ていると報じられています。

・景気悪化や消費増税の影響で国内需要が減少。
・国内価格がアジア向け価格に比べ割高。

等の状況があり、今後も値下げ交渉を続けるとの意向と報じられていますが、国内カセイソーダメーカーは内需の減少分を輸出で補うなどして値下げには応じない意向とのことで、価格交渉は長期化する可能性があると記事では伝えています。


3.パルプ価格は横ばい

 4月1日付の日本経済新聞紙上にて、北米産パルプの2月積みの日本向け輸出価格が前月比横ばいで決着したと報じられています。新型コロナウイルスの感染拡大で需要に先行き不透明感が広がっているとのことで、今後の需給や輸送への影響が注視されます。


【印刷・製品関連】

1.オーストラリアで地方紙60紙の紙媒体の発行を一時停止

 4月3日付の日本経済新聞紙上にて、オーストラリアのメディア大手、ニューズ・コープ・オーストラリアが傘下の地方紙60紙の紙媒体での発行を一時停止すると発表したと報じられています。記事によると、

内容 ニューサウスウェールズ州など4州で発行する地方紙の発行を一時停止。全国紙や、地方紙の他の州での発行、オンラインでのニュース発信は継続。
理由 新型コロナウイルスの感染拡大によりイベント中止や施設の閉鎖、飲食店の営業規制などから広告収入が大きく減少。コスト削減が必要となったため。

 新型コロナウイルスの感染拡大で、日本国内でも、マス媒体の広告や商業印刷は厳しい状況となることが懸念されています。


※文中敬称略
※文章は2020年4月8日現在、新聞記事などを基に華陽紙業にて編集しております。実際の動向についてはお客様にて総合的にご判断頂きますよう、お願い申し上げます。