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華陽ニュース
紙の市況(2020.6)詳細 6月10日更新分
【洋紙 国内の紙の市況/状況】
1.大王製紙 『エリプラ+』の販売を開始 |
大王製紙は6月4日、同社のプラスチック代替素材『エリプラペーパー』に耐水性・耐油性を付与した新製品『エリプラ+(プラス)』を開発、販売を開始したと発表しました。同社サイトの発表によると、
エリプラペーパー | 同社が昨年5月販売開始したプラスチック代替素材。パルプ100%の高密度紙で、厚みと剛性があり、生分解性も備えている。カトラリーやハンガーをプラスチック製から切り替えることでプラスチック使用量を軽減できると提案されている。 |
エリプラ+(プラス) | 『エリプラペーパー』に、プラスチックフィルムを使わずに耐水性・耐油性を付与した新製品。電子レンジでの温めにも対応しており、食器容器としての用途が提案されている。 |
用途 | ・揚げ物・炒め物・スープなど、水分や油分を多く含む食品のテイクアウト容器 ・アウトドアで使用する紙皿・ボウル・スプーン など |
新製品の投入により、さらに”脱プラスチック”に貢献する用途展開を広げるとともに、今後も環境配慮型製品の開発を通じて、地球環境への取り組みを強化していくと、同社は表明しています。
【洋紙 国外の紙の市況/状況】
1.印刷用紙のアジア向け輸出価格が下落 |
6月4日付の日本経済新聞紙上にて、印刷用紙のアジア向け輸出価格が下落したと報じられています。上質紙の香港大口需要家向け価格が5月比4%、同上質コート紙が5月比4%下落しており、下落は約7か月ぶりとのこと。
中国では
・コロナ禍の影響で落ちた日用品・工業品の生産が完全には戻っていない
・欧米向けの日用品や工業品の生産が落ちている
ことから、付随するカタログやパンフレット、取扱説明書などの印刷も振るわない状況があり、さらに
・台湾や韓国、ベトナムでも印刷用紙の需要が減少
・南アジアで、外出規制のため港での荷受け業務が停止
といったことも影響して、日本からの輸出が低迷していると伝えられています。
国内でも印刷用紙の需要は低迷しており、6月以降の状況も不透明であることから、製紙各社が減産を行うとの観測も、記事では伝えられています。
【その他の市況/状況】
1.日本製紙クレシア 新ラインで長尺トイレットロールを主力商品化 |
日本製紙は6月3日、家庭紙第二抄紙機の稼働を発表しました。同社サイトの発表によると、
新マシン | 日本製紙クレシアと春日製紙工業の合弁会社、クレシア春日株式会社が進めていた家庭紙第二抄紙機が完工、2020年5月に稼働を開始。 |
設置場所 | 日本製紙 富士工場敷地内 |
生産能力 | 年産約4万トン |
主力製品 | 近年需要が増えている、長尺トイレットロールの主力商品化への供給体制構築を図る。 |
特長 | 同社が2016年に発売開始した「スコッティ🄬フラワーパック3倍長持ち4ロール」は、①ロールに通常品の3ロール分のトイレットペーパーを巻いた商品。 消費者=コンパクト、持ち帰りが容易、取り換えの手間や収納スペースが削減できる 販売店=売り場や在庫スペースの削減、品出し回数の減少 環境=輸送効率の向上による二酸化炭素排出量の削減、包装材の減少 といった効果が期待できる。 |
同社は今後、全工場で長尺トイレットロール製品の供給体制の充実を図り、長尺トイレットロールをスタンダードとする『長尺化』を推進するとともに、キッチンタオルでも同様の課題解決を図っていくとしています。
2.大王製紙 衛生用紙生産設備を増設 |
大王製紙は5月27日、衛生用紙生産設備増設を取締役会で決議したと発表しました。同社サイトの発表によると、
設置場所 | 同社三島工場 |
増産品目 | ペーパータオル原紙 |
能力増 | 月産 約1,500トン |
稼働 | 2021年7月 営業運転開始予定 |
背景 | ・ペーパータオル需要の堅調な伸長 ・新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、衛生面での意識が向上し、家庭内での消費が増加 |
同社は川之江工場でもトイレットペーパーなどを増産する2号抄紙機の設置を発表しており、こちらは2021年10月の稼働が予定されています。
【印刷・製品関連】
1.エプソン PaperLabの技術で従業員用マスク製造 |
セイコーエプソンは5月14日、医療機関へ医療用マスクを無償提供すると発表しました。背景には同社のPaperLabの技術を活用する従業員向けマスク製造があるとのことで、
PaperLab A‐8000 | 同社が販売中の、乾式オフィス製紙機。使用済みのコピー用紙などを繊維化、結合して再生紙をつくるため、『ドライファイバーテクノロジー』と呼ぶ独自技術が開発された。 |
マスク製造 | 『ドライファイバーテクノロジー』を応用して、機能繊維から従業員向けマスクを製造。長野県の神林事業所・諏訪南事業所で、2020年5月末から従業員用の量産を開始。(※社内確保分で、販売予定はない) |
社内確保のめどが立ったことから、BCP用に購入を予定していた医療用マスク10万枚を、長野県の医療機関に順次無償提供するとのことで、合わせてフェイスシールド5,600枚の医療機関への無償提供も発表しています。
※文中敬称略
※文章は2020年6月8日現在、新聞記事などを基に華陽紙業にて編集しております。実際の動向についてはお客様にて総合的にご判断頂きますよう、お願い申し上げます。