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紙の市況(2020.10)詳細 10月10日更新分

【洋紙 国内の紙の市況/状況】

1.10~12月産業景気予測 「紙・パルプ」は「雨」続くも「広告」は「小雨」から「曇り」へ

 日本経済新聞は10月5日、10~12月期の産業景気予測を発表しました。紙関連では、

と、在宅勤務の影響などから印刷・情報用紙の需要回復は難しいとみられる「紙・パルプ」は「雨」が続く一方、企業活動の再開で需要の上向きが期待される「広告」は「小雨」から「曇り」へ回復するとの予想となっています
 主要30業種では、

と、国内個人旅行が回復している「旅行・ホテル」が上向くのに対し「アパレル」や「外食」は冷え込みが続くなど、業種によって回復に差がみられる予想となっています。


2.日経42種9月末 「紙・板紙」は横ばい続く

 10月1日付の日本経済新聞紙上にて、日経商品指数42種の9月末値が発表されました。1970年を100として、企業間取引価格を基に算出された日経42種全体の9月末値は22か月連続で前年実績を下回っており、5か月ぶりに低下幅が広がったとして、コロナ禍による経済停滞からの回復スピードが鈍り始めた可能性について言及されています。
 「紙・板紙」の9月末指数は147.257、4月末値以来6か月、同値が続いていますが、昨年9月末値が前月比低下したことにより、前年同月比の低下幅は縮小されています。


3.日本製紙 「シールドプラス🄬」をリニューアル

 日本製紙は10月7日、紙製バリア素材「シールドプラス🄬」のリニューアルを発表しました。

「シールドプラス🄬」 紙の基材にバリア塗工層を付与した製品。
・酸素や水蒸気をバリアし、内容物の品質を保護する
・におい漏れやにおい移りをバリアする
・紙だから再生可能で、廃棄しても自然環境で分解される
といった特長を有し、これまでに食品用外装袋などとして採用されている。
新商品名 「シールドプラスⅡ」
改良点 ・従来の「晒」「未晒」ベースに加え、「片艶紙」を原紙に追加。軟包装市場で主流の「グラビア印刷」にも適用。
・バリア性の屈曲耐性を向上させ、より多様な包装形態への適用が可能に。

 同社は「シールドプラスⅡ」を10月より正式販売開始し、さらなる用途開発を進めていくとしています。


【板紙 国内の紙の市況/状況】

1.段ボールを使った院内隔離部屋

 日本経済新聞は10月6日、医療用設備大手のセントラルユニが特殊な段ボールを使った病院向けの隔離部屋を共同開発したと報じました。記事によると、従来のコンテナ式製品に比べ

・設置にかかる時間が短い(コンテナだと数日⇒30分程度)
・価格が安価(コンテナ式製品の3分の1程度)

との特長があり、新型コロナウイルスの院内感染を防ぐため隔離部屋の需要は高いと現状を説明しています。


【その他の市況/状況】

1.8月積み北米産パルプ価格が横ばい

 10月1日付の日本経済新聞紙上にて、8月積みの北米産パルプ対日輸出価格が横ばいで決着したと報じられています。コロナ禍でパルプ需要は低迷していますが、パルプメーカーは減産で対応し、需給バランスを保っているとのこと。「N‐BKP」の8月積み価格は前月比横ばいですが、一部で10ドル引き下げたケースもあると記事では伝えています。


2.古紙の輸出価格が上昇

 10月8日付の日本経済新聞紙上にて、古紙の輸出価格が上昇していると報じられています。アジアで需要が拡大しているとして、

・2021年1月より古紙輸入が全面禁止となる中国で、最後の輸入を急ぐ動き
・コロナ禍で古紙回収が滞った台湾、タイ、ベトナム等への輸出が拡大

といった背景があると説明しています。
 ただ、

・全面禁止を前に、中国の古紙輸入は11月中旬には終わるとの観測
・中国以外の国への輸出は、今後、米欧との競合が激化

との予測から、今後輸出価格は大幅に下落するとみる向きもあることを記事では伝えています。


3.北越が家庭紙参入の報道

 10月6日付の日本経済新聞紙上にて、北越コーポレーションが家庭紙の生産を始めると報じられています。記事によれば、2022年にも新潟工場でティッシュペーパーやトイレットペーパーの自社ブランド品を生産開始し、主に東日本で販売する計画であるとのこと。大王、日本、王子、三菱、特種東海といった多くの製紙大手が既に家庭紙事業に携わっており、印刷・情報用紙の需要減が進行するなか、家庭紙事業の重要度が増しています。


【印刷・製品関連】

1.ユニ・チャーム 使用済み紙おむつのリサイクルを推進

 10月2日付の日本経済新聞紙上にて、ユニ・チャームが使用済み紙おむつリサイクルの実証実験を東京都内で始めると報じられています。記事や同社サイトのニュースリリースによると、

内容 東京都内の自治体と協力し、使用済み紙おむつの分別回収の実証実験を開始する。高齢者施設や保育園等で発生した使用済み紙おむつを分別して一時保管、分別回収し、リサイクル処理場でパルプを洗浄して再生紙おむつを製造するイメージ。実際の回収方法や対象地域などは今後詰める。
背景 高齢化に伴い年々増加する大人用紙おむつの廃棄処理が大きな負担となるなか、同社は使用済み紙おむつリサイクルシステムの構築を目指し、既に2016年より鹿児島県志布志市や大崎町で回収仕組みづくりを開始している。
今後の展開 2021年にも回収・洗浄したパルプを原料とした再生紙おむつを商品化する計画。

 東京都のような大都市での実証実験は初めてとのことで、同社はこの実証実験を通じて、国内だけでなく海外でも展開できる使用済み紙おむつリサイクル事業の循環型モデルを構築し、課題の明確化と対策を行っていくとしています。


※文中敬称略
※文章は2020年10月8日現在、新聞記事などを基に華陽紙業にて編集しております。実際の動向についてはお客様にて総合的にご判断頂きますよう、お願い申し上げます。