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華陽ニュース

不定期配信 マウスちゃんとメモリ主任のIT1年生①

情報の重要性が増す昨今、弊社では情報セキュリティについて、その意義や情報を共有する取り組みを続けています。
担当チームが社内向けにまとめた資料などを基に、軽い読み物を不定期でお届けできればと思いますので、ご笑覧頂ければ幸いでございます。

4月から社会人2年目のマウスちゃん。営業事務担当として受注や見積もり、提案書の作成など、毎日、営業さんたちの補佐を頑張っています。小さな会社で、みんな仲良く、日々の仕事にもやりがいを感じる快適な職場なのですが、唯一、例外なのは・・・
「エーさんはお出かけですか?」
現れただけでその場の空気に緊張感が走る、総務のメモリ主任が、ちょっぴり、ほんのちょっぴりだけ、苦手でした。
「は、はい。今日は直行で、3時ごろに帰社の予定です。」
「そうですか。では。」
「あの、何か御伝言なら、お伝えしましょうか?」
「いえ、メモを置いておきますので。」
 姿勢よく去っていった後には、綺麗な字の付箋が1枚残されていました。
 その付箋の内容をマウスちゃんが知ったのはその直後。エーさんから連絡が入り、指示を受けていた時のことでした。
『ほかに何か連絡事項はなかった?』
「総務のメモリ主任からのメモが置いてあります。」
『何て?』
「ご返却物がまだのようです、って書いてありますが。」
『返却物?・・・ああ、USBメモリか。』
 お客様へのプレゼン資料が入ったUSBメモリを昨日返却の予定で総務から借り出していたのですが、昨日は直帰で返せなかったとのこと。
『今日返す予定だったんだけど、帰れなくなっちゃったから・・・マウスちゃん、悪いけど、メモリ主任に伝えておいて。』
 恐る恐るマウスちゃんがそのことを伝えると、メモリ主任は一瞬、眉をひそめましたが
「そうですか。御伝言、有難うございます。」
穏やかにそう受けてくれたので、マウスちゃんは聞いてみる気になりました。

「あの、そもそもどうしてUSBメモリは貸し出し制なのですか?」
「と言うと?」
「それぞれが自分のUSBメモリを使うとか、あるいは、必要な人に支給して、各自で管理するようにすれば、みんなも便利だし、総務の方も管理する手間が省けるのに、と思うんです。それではどうしてダメなのでしょう?」
「そうですね・・・いろいろ理由はありますが、一番の原因は、

紛失時などの情報漏洩

を防止するためですね。」
「情報漏洩、ですか?」
「はい。例えば、うちの会社も以前はそうだったのですが、USBメモリに関して何のルールも設けていなかったとします。ある人が、家でも仕事をしたいと思って、USBメモリに情報を入れて持ち出し、それをうっかり紛失した。中には、会社やお客様などの情報が入っていたとすると?」
「大切な情報をなくしてしまったことになります。」
「そうですね。そもそもルールがないので、その人はルール違反をしたわけでも、悪意があったわけでもありません。なのに、結果的に会社に損害を与えることになる。」
「そういったことを防止するために、ルールや管理が必要になるんですね。」
「はい。皆さんに支給して、各自で管理してもらう場合も考えたのですが、そんなに頻繁に使うものでもありませんし、どこに行ったか分からない、といった状況を避けたかったので、今のルールになりました。それから、会社で用意しているUSBメモリには、紛失時を想定した対策が施されたものを採用しています。だからと言って、紛失しても大丈夫、とは言えませんが、皆さんが各自で、対策をされていないUSBメモリを使うよりは、リスクが減少します。」

「リスクと言えば、以前は

USBメモリを通してウイルスに感染する

といった例も多かったようです。」
「ウイルス感染ですか?」
「パソコンからUSBメモリに感染し、それが他のパソコンに、といった例や、中古のUSBメモリを使ったらそれにウイルスが入っていて、といった例のようですね。今はそういったことも少なくなったようですが、全くなくなったわけでもありません。それを防止するためにも、決まったUSBメモリだけを使うように、ルールを設けています。」
「どんなルールにも意味があるんですね。」
「はい。今、USBメモリに関連する情報事故が減っているのは、以前に比べUSBメモリを使う機会が減っているからということと同時に、いろいろな情報事故があって、その都度、対策を施したり、ルールを設けたりしているからです。それを理解してもらえると嬉しいですね。」

「本当は完全にUSBメモリの使用を禁止したいのですが、それはまだ時期尚早とのことで、今はそういう設定はしていません。皆さんの活動の妨げになるのは本末転倒ですから・・・」
 そう言ってため息をつくメモリ主任は、少しも怖く見えません。
「あの、これからもこういったことについて、いろいろ教えて頂いても良いですか?」
「もちろんです。」
 そう言って、わずかに目元を和らげる姿も。でも、
「営業さんの事情は事情として、ルールがある以上は守るのが原則です。エーさんには、明日必ず返却するよう、マウスさんからも伝えて下さい。」
 その言葉の厳しさはすっかりいつものメモリ主任の緊張感で、思わず「はい!」と背筋を伸ばすマウスちゃんなのでした。