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紙の市況(2021.5)詳細 5月10日更新分

【洋紙 国内の紙の市況/状況】

1.日経42種 「紙・板紙」が上昇

 5月1日付の日本経済新聞紙上にて、日経商品指数42種の4月末値が前年比22%上昇したと報じられています。素材等の企業間取引価格を基に1970年を100として指数化したもので、ワクチン接種が進むにつれ世界経済への回復期待が高まっていることなどを背景に、非鉄が前年同月比56.7%、石油が同56.6%と高い上昇率を示していることが伝えられています。
 3月末値まで12か月間、横ばいを続けていた「紙・板紙」も前月比・前年同月比ともに2.7%上昇と、昨年3月と同値に上昇したことが報じられていますが、上昇幅は他の素材と比べ小さいものとなっています。


2.日本製紙 飲料用アルミ付き紙パックの再生利用ビジネスモデル運用を開始

 日本製紙は5月6日、飲料用アルミ付き紙パックの再生利用を拡大することを目的としたビジネスモデルをスタートしたと発表しました。公式サイトの発表によると、

参加 日本製紙、株式会社リプロ(プラスチックリサイクル商品の製造・販売会社)、萩原工業株式会社(プラスチックを主原料とした合成樹脂繊維関連の商品や産業機械の製造・販売会社)の3社共同で開始。
ポリアル 飲料用アルミ付紙パックは、回収後、「紙繊維」と「ポリエチレンとアルミニウムの混合物=ポリアル」に分離される。従来、「紙繊維」は再生利用されてきたが、「ポリアル」は再生利用が難しく、燃料として利用されるか焼却されており、課題となっていた。
今回のビジネスモデル 3社で開発した技術を活用し、ポリアルを原料とする土木建築資材を開発、販売を開始。

 日本製紙の社有林の境界杭として原料の一部に「ポリアル」を配合した試作品が試験利用されており、まずは生産工程で発生する損紙に含まれる「ポリアル」の一部の再生利用から始め、今後も更なる用途開発を進めていくと同社は表明しています。


【板紙 国内の紙の市況/状況】

1.王子のパルプモールドがiFデザインアワード2021を受賞

 王子ホールディングスは4月28日、同社のパルプモールド製品が「iFデザインアワード2021」を受賞したと発表しました。公式サイトの発表によると、

iF ドイツに本拠を置く、世界で最も長い歴史を持つ独立したデザイン団体。毎年優れたデザインを選出し、iFデザインアワードを授与している。
王子のパルプモールド製品 パルプ100%で、従来のパルプモールドよりも平面も曲面も滑らかに表現できる製品。お客様の要望に沿ったパッケージを提供できることに加え、土壌や海中で分解される環境に優しい製品でもある。
今回の受賞 52の国と地域、約1万点の製品の中から、プロフェッショナルコンセプト部門で受賞。

 同社は今後も、お客様のニーズに合った、地球環境に優しい製品の提供に取り組んでいくと表明しています。


【その他の市況/状況】

1.ENEOSがC重油を値上げ

 4月29日付の日本経済新聞紙上にて、ENEOSがC重油の4~6月期の値上げを発表したと報じられています。製紙メーカー等が産業用ボイラー燃料として使う高硫黄C重油は前期比18%上昇の価格が提示されており、値上げが決まれば4四半期連続の引き上げとなるとのこと。6月下旬までの決着を目指して交渉を進める予定と記事では伝えられています。


2.段ボール古紙の価格が上昇

 5月7日付の日本経済新聞紙上にて、段ボール古紙の価格が約2年半ぶりに上昇したと報じられています。

・経済活動の停滞で古紙の回収量が減少。
・巣ごもり需要や工業製品向けで、段ボール原紙の需要が堅調。
・古紙輸入が全面禁止となった中国向けに、段ボール原紙の輸出が急増。
・中国以外のアジアで古紙需要が堅調。
・コンテナ不足による物流の混乱で、段ボール古紙の輸出価格が上昇。

といった状況から、国内の段ボール古紙の在庫が減少しているとのこと。ただ、足元では

・インドで新型コロナウイルスの感染が拡大。欧米の古紙がインドから東南アジアへ流出。
・5月の連休中、国内製紙会社が生産を抑制。

といった状況もあり、段ボール古紙の不足感は薄れる可能性があると記事は指摘しています。


【印刷・製品関連】

1.ネット広告 転換期に

 ネット広告が転機を迎えていると報じられています。個人を追跡する仕組みが個人データの乱用につながるとの懸念に対応するため、IT大手2社がデータ利用を制限する方向にカジを切っています。

アップル 4月26日にiPhoneなどの新OSの配信を開始。利用者がアプリを最初に立ち上げる際に、個人データをネット広告市場に提供するかどうか確認する仕組みを導入した。利用者が拒否すればネット広告企業などは個人データを取得しにくくなる。使用を承認する人は従来の3~4割との予測もある。
グーグル 自社のネット閲覧ソフトで、閲覧履歴を第三者(広告業者など)が利用する仕組みを2022年までに制限。

 個人のプライバシー保護に配慮した仕組みとなる一方、

・ネット広告の精度が落ちる
・ネット広告を利用する企業が減り、各種サービスを無料としてきたネットのビジネスモデルが揺らぐ
・圧倒的なデータを握る米IT大手の寡占が強まる

といった側面が危惧されています。
 アップルやグーグルは個人を追跡せず広告の精度を高める新たな仕組みを導入する計画ですが、大手企業のなかには、IT大手のプラットフォームに頼らず自社で広告配信やポイント還元等販促を行う方針に転換する企業も出始めており、今後のネット広告の行方に注目が集まっています。


※文中敬称略
※文章は2021年5月7日現在、新聞記事などを基に華陽紙業にて編集しております。実際の動向についてはお客様にて総合的にご判断頂きますよう、お願い申し上げます。