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華陽ニュース

紙の市況(2021.8)詳細 8月10日更新分

【洋紙 国内の紙の市況/状況】

1.王子・日本 2022年3月期第1四半期決算を発表

 王子ホールディングスは8月3日、日本製紙は8月5日、2022年3月期第1四半期(2021年4月1日~2021年6月30日)の業績を発表しました。公式サイトに掲載された決算短信によると、

 業績について両社は

王子HD ・経済活動が緩やかに回復
・パルプの販売価格の上昇
・段ボール原紙・段ボールで外出自粛の影響もあり通販向けが堅調
・電動車向け機能材が堅調
・商業印刷、オフィス向け情報用紙で、昨年の大幅な需要減少からの反動増
・訪日客やイベント減少による乗車券や高級パッケージ向け需要の減少は継続
・女性誌、旅行誌、スポーツ誌等の定期誌出版部数は減少
日本製紙 ・主に印刷用紙で反動増
・自動車産業等の需要回復
・2020年10月に株式会社トライフと営業統合
・2020年4月に豪州・ニュージーランドでの板紙パッケージ事業譲受
・2020年2月の福島県沖を震源とする地震の影響で新聞用紙の生産販売が減少

等が影響したと分析しています。
 両社とも2022年3月通期の業績予想に関しては、直近からの修正は無いと発表しています。


2.色上質で一部色名変更

 各社色上質で「肌」を「うすだいだい」とする色名変更が発表されています。日本製紙・大王製紙は2021年8月生産分から、北越コーポレーションは2021年9月生産分からの変更で、旧色名での在庫がなくなり次第在庫を切り替えていくと発表されています。


【板紙 国内の紙の市況/状況】

1.レンゴー 2022年3月期第1四半期業績を発表

 レンゴーは8月3日、2022年3月期第1四半期(2021年4月1日~2021年6月30日)の業績を発表しました。前年同四半期比で増収増益となっており、

・昨年の景気悪化から需要が回復傾向
・板紙・紙加工関連事業で販売量が増加
・重包装関連で原料価格が上昇
・特別利益に固定資産売却益を計上

等が業績に影響を与えた要因と分析しています。


2.レンゴー 大興製紙を完全子会社化

 レンゴーは8月3日、2021年9月1日に大興製紙株式会社を完全子会社化することを決議したと発表しました。裁判所による大興製紙の更生計画の認可決定が確定したことを受け、同社を完全子会社化し、早期に更生手続きを終結させて同社の経営再建と業容拡大を推進するとしています。
 レンゴーはこの子会社化でクラフトパルプ・クラフト紙製造事業に進出し、大興製紙との連携でレンゴーグループ各種コア事業のさらなる深耕と飛躍を図っていくと表明しています。


3.レンゴー 八潮工場が埼玉県の目標設定型排出量取引制度でトップレベル事業所に更新認定

 レンゴーは8月5日、同社八潮工場が埼玉県地球温暖化対策に係る事業活動対策指針に基づく目標設定型排出量取引制度において、「トップレベル事業所」に更新認定されたと発表しました。
 公式サイトの発表によれば、

同制度 エネルギー使用量の大きい事業所を対象に埼玉県が制定する、計画的な二酸化炭素排出量の総量削減を促す制度。県内約600の対象事業所のうち、第三者機関による審査で地球温暖化対策が極めて優れていると認められた事業所が有料大規模事業所に認定される。現在は3事業所のみ。
八潮工場は2012年に「準トップレベル事業所」、2016年に県内初の「トップレベル事業所」に認定され、今回引き続き「トップレベル事業所」に認定された。
同工場の取り組み ・重油から都市ガスへの燃料転換
・製造工程全般で省エネ効果の高い高効率設備を導入
・木質チップボイラーの導入による、大幅な使用エネルギーの削減
・過剰な蒸気エネルギーの削減
・エネルギーのきめ細やかな監視 等

 同社は今後も、より少ない資源で、より大きな価値を生むパッケージづくりで、地球環境負荷低減に積極的に取り組んでいくと表明しています。


【その他の市況/状況】

1.段ボール古紙価格が上昇

 8月6日付の日本経済新聞紙上にて、段ボール古紙の価格が上昇し、コロナ禍前の水準を回復したと報じられています。

・コロナ禍の長期化で古紙回収が停滞
・買い物客が減少した商店街や百貨店などから排出される段ボール古紙が減少
・中国が輸入禁止の古紙の代わりに段ボール原紙を調達し、段ボール原紙の輸出が急増
・東南アジアでも古紙の引き合いが活発

との背景から段ボール古紙の在庫が減少しているとのこと。ただ、夏場は国内製紙の製造設備の定期点検の時期で生産が抑えられることもあり、在庫状況が改善して価格が落ち着く可能性もあると記事では分析しています。


【印刷・製品関連】

1.凸版、ネットで1,000枚から発注できる軟包装パッケージ

 凸版印刷は7月12日、最小ロット1,000枚からオリジナルパッケージが注文できる新サービスの提供を開始したと発表しました。同社サイトに掲載された発表によると、

内容・特長 ウェブサイト経由でオリジナルパッケージの注文ができる新サービス。小ロットのレトルト食品や健康食品、お菓子、ペットフードなどの軟包装パッケージ用途を想定。
①最小1,000枚から製造可能
②WEBで24時間入稿・注文が可能
③レトルト対応パッケージも製造可能
といった特長を備えている。
背景 同社は2016年4月より軟包装分野での小ロット多品種に最適なパッケージをトータルで提供する「トッパン FP デジタルソリューション」を展開しているが、今回それをさらに進化させ、ウェブ注文が行える新サービスの提供を開始。
・オリジナルパッケージの生産スピードアップ
・多様化するニーズに対応する高付加価値商品の提供
・小ロット対応で余分な在庫をつくらず廃棄ロスを削減
等を実現。

 同サービスでは5種類の袋の形状、7種類の材質等を組み合わせた39パターンの商品ラインアップを用意しており、食品や菓子業界などに向け拡販するほか、軟包装以外のパッケージにも同サービスを展開していくとしています。


※文中敬称略
※文章は2021年8月6日現在、新聞記事などを基に華陽紙業にて編集しております。実際の動向についてはお客様にて総合的にご判断頂きますよう、お願い申し上げます。