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華陽ニュース

ニューノーマル関連情報2021.12

 外出自粛や巣ごもり需要、衛生意識の高まりなど、新型コロナウイルスが変えた私たちの暮らしはコロナ禍が収束しても完全に元に戻ることはないのではないかとの可能性が指摘されています。一方、世界の環境や人権に対する関心は日に日に高まりを見せており、毎日のニュースでSDGsやESG、脱炭素、エシカル消費といったキーワードを目にしない日はないほどとなっています。
 そういった、紙にも関連があるけれど紙だけにはとどまらない日々の動きを少しでもお伝えできればと、この欄を作成致しました。皆様の営業活動のお役に立てれば幸いです。

ESG・脱炭素他に関連する動き

 今年1月に日本製紙連合会が発表した「製紙業界‐地球温暖化対策 長期ビジョン2050」について紹介させて頂きます。

【長期ビジョン策定以前の、日本製紙連合会の取り組み】

1997年 「環境に関する自主行動計画」を制定。順次改訂し、2008~2012年度の5年平均で
・化石エネルギー原単位を1990年度比で20%削減
・化石エネルギー起源CO₂排出原単位を1990年度比で16%削減
とする目標を設定。
2008~2012年度 「環境に関する自主行動計画」に取り組んだ結果、
・化石エネルギー原単位を1990年度比で24.8%削減
・化石エネルギー起源のCO₂排出原単位を1990年度比で20.3%削減
2012年4月 日本製紙連合会「環境行動計画」を制定。
1.低炭素社会の実現(CO₂の削減、吸収源の造成)
2.自然共生社会の実現(違法伐採対策の推進、間伐材をはじめとする国産材の利用拡大、森林認証取得等を通じた持続可能な森林経営の推進)
3.循環型社会の実現(古紙利用の推進、産業廃棄物の最終処分量の低減と有効利用の推進)
4.環境リスク問題への対応(環境負荷の削減、化学物質のリスク管理)
5.環境経営の着実な推進(環境マネジメントの定着、国際貢献の推進)
を環境方針・行動方針に据える。
2013~2020年度 「低炭素社会実行計画」開始。2019年度実績では、化石エネルギー起源のCO₂排出量を2013年度比で222万トン削減。削減率は11.8%。
2021年度 「低炭素社会実行計画」を「カーボンニュートラル行動計画」と名称変更し、引き続き各種対策を実行。

【長期ビジョン2050策定への経緯】

2016年5月 「地球温暖化対策計画」が閣議決定。2050年までに温室効果ガス排出の80%削減を目指す。
2018年10月 経団連が会員企業・団体に、地球温暖化対策「長期ビジョン」の策定に向けた検討と情報提供を呼びかけ。
2019年4月 日本製紙連合会で長期ビジョンの検討を開始。
2020年10月 菅総理(当時)が2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロとすると宣言。
2020年12月 政府が「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」を公表。
2021年1月 製紙連が「地球温暖化対策 長期ビジョン2050」を公表。

【長期ビジョン2050の概要】

スローガン 政府宣言に賛同し、CO₂排出削減対策に取り組んで、2050年までにカーボンニュートラル産業の構築実現を目指す。
取り組み 生産活動でのCO₂排出実質ゼロ実現のため
1.省エネ・燃料転換の推進で、2050年までに生産活動で排出するCO₂を実質ゼロとする。
目安は2013年度比2,100万トンの排出削減
生産活動以外での付加的なCO₂削減のため
2.環境対応素材の開発によるライフサイクルでのCO₂排出削減
3.植林によるCO₂吸収源としての貢献拡大
を実施する。
生産活動での排出削減目安 ・最新の技術・設備の導入などによる省エネの推進で420万トン
・自家発電設備における再生可能エネルギーの利用比率拡大で840万トン
・パルプ製造・抄紙工程での新技術開発・有用技術掘り起しと実用化で210万トン
・他業界のエネルギー関連技術の採用やカーボンニュートラルな燃料・電力の購入などで630万トン
を2013年度比で削減する計画に挑戦。
環境対応素材開発と
期待される効果
1.セルロースナノファイバーの社会実装(自動車の軽量化による燃費向上、建材・家電の高断熱化、等によるCO₂排出量の削減)
2.プラスチック包材の紙代替(化石由来製品を代替し、廃棄段階でのCO₂排出削減を期待)
3.化石由来製品からバイオプラスチック、バイオ化学品への転換(セルロース、ヘミセルロース、リグニン由来の樹脂・添加剤等の展開など)
植林による貢献 ・人工・天然両方の保有森林の適切な管理で持続可能な森林経営を推進
・環境適応性や成長量が高い林木育種の推進
達成に向けて 製紙産業が2050年カーボンニュートラル産業となるべく長期ビジョンを策定したが、革新的な技術開発やコスト、製品の価格競争力への影響など、解決すべき課題は多く、掲げた数値もあくまで目安。ビジョン達成のため具体的な検討や見直しを実施するとともに、政府や関係機関の支援にも期待。

※文中敬称略
※文章は2021年11月5日現在、日本製紙連合会様が公式サイトにて発表されている環境関連ページ・公表資料などを基に、華陽紙業にて編集しております。