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【紙のソムリエ】番外編 シート先輩とコマキさんの紙に関する四方山話25 箱の紙①
「お帰りなさい、シート先輩。何を持っていらっしゃるのですか?」
「今日の打ち合わせ、ケーキ屋さんだったんだよね。で、帰りにショーウィンドウのぞいたら、美味しそうなのがたくさんあって、つい・・・」
「買っちゃったんですね・・・」
「せっかくだし、みんなで休憩にしない?」
「まだ業務中ですよ。でも、お菓子の箱って、ただの白い箱なのに、なんだかワクワクしますね。どんな紙が使われているのですか?」
「分類で言うと、板紙だね。板紙のなかの、紙器用板紙のなかの、白板紙のなかの、マニラボールのなかの、特殊白板紙。」
「名前の通り、紙箱用に開発された板紙だけど、この前、カードの話をした時に言ったように、高級白板紙は塗工紙の厚物っていう性格もあるから印刷用途も多い。それに比べると、特殊白板紙は、よりパッケージ用途が多い紙と言えると思うよ。」
高級白板紙 | 紙器用板紙に必要とされる製函適性や折り適性に加え、印刷適性も高い板紙。化粧品や薬品など高級パッケージの外箱に使われるほか、カタログや美術書、書籍表紙、各種カードなど印刷用途で用いられることも多い。 |
特殊白板紙 | 高級白板紙の低グレード品から生まれた板紙。薬品や食品のパッケージとして用いられることが多いため、蛍光染料を使わないなど、食品衛生法に配慮された銘柄も多い。表面は塗工してあるため印刷適性も高く、油分や水分の多い食品に触れても使用に耐えるよう、耐油性や耐水性を持たせる加工を施してあるものもある。食品・薬品・化粧品のパッケージや、紙カトラリーや液体容器の原紙などとして用いられる。 |
「最近は脱プラスチックや食品テイクアウト需要の増加なんかで紙器用板紙のラインナップを充実させておられるメーカーさんもいくつかあるよ。板紙というよりは、包装紙も合わせて機能紙っていう分類をされておられることが多いように思うけどね。」
「脱プラスチックという概念が生まれるよりはるかに前から、製紙メーカーさんは耐水や耐油といった機能を備えた紙や板紙を開発・製造されていたのですね。」
「このケーキの箱も、ただの白い箱のように見えて、いろいろな技術の結集なのですね。」
「そうだね。食品に触れても大丈夫な安全衛生の面や、油分が染み出さないように考えられた耐油性。これは違うけど、過剰に油分や水分を奪わずジューシーさを保つように設計された製品もあるよ。やわらかい食品を持ち運ぶ用途だから強度も必要だしね。」
「製函適性に折り適性、印刷適性もあって、高級感も演出できる。そのうえ環境にも配慮されていて・・・」
「うん、コマキさん、紙箱に興味津々なのは素敵だと思うけど、中身にも興味持ってもらえると・・・」
「ですからまだ業務中です。お預かりして冷蔵庫に入れておきますね。」
「あ・・・」