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紙の市況(2021.12)詳細 12月10日更新分

【洋紙 国内の紙の市況/状況】

1.レンゴー・パピリア・北越も値上げを発表

 日本製紙パピリアが12月3日、北越コーポレーションは12月6日に印刷用紙等の価格修正を発表しました。11月30日に段ボール原紙等の値上げを発表したレンゴーも含め、これまでに発表された大手製紙メーカーの値上げ発表を再度まとめると、

メーカー 対象製品 値上げ幅 実施時期
日本製紙 印刷用紙
情報用紙
産業用紙
現行価格+15%以上 2022年1月1日出荷分より
三菱製紙 印刷用紙全般(上質紙、塗工紙、微塗工紙 他)
情報用紙全般(ノーカーボン紙、感熱紙、PPC用紙、フォーム用紙 他)
白板紙全般(高級板紙、特殊板紙 他)
丸住製紙 印刷用紙全般
情報用紙全般
現行価格+15円/kg以上
大王製紙 印刷用紙全般
情報用紙全般
現行価格+15%以上 2022年1月21日出荷分より
エム・ビー・エス 富士フイルム感圧紙(平判・巻取)全品種
中越パルプ工業 印刷・情報用紙
紙器用板紙
雑種紙
北越コーポレーション 塗工紙、微塗工紙、上質紙、色上質紙、その他印刷用紙、
PPC用紙、フォーム用紙、特殊紙、高級白板紙、キャストコート紙
レンゴー 段ボール原紙 現行価格+10円/kg以上 2022年2月1日出荷分より
段ボール製品 段ボール原紙価格やエネルギーコストなどを基に個別に価格交渉
日本製紙パピリア 印刷用紙全般
情報用紙全般
産業用紙全般
現行価格+10%以上 2022年2月1日出荷分より

 各社個別に状況に違いがありますが、原燃料価格の高騰と温室効果ガス排出削減のための費用に関しては共通の収益圧迫要因として挙げられています。


2.来年1~3月産業天気図 「紙・パルプ」は雨

 12月6日付の日本経済新聞紙上にて、同社が主要30業種の2022年1~3月期の業況を天気図としてまとめた、1~3月産業景気予測が掲載されました。

紙・パルプ 「雨」予測。来年1月中旬以降に「Go To トラベル」が再開されれば旅行関連のパンフレットやチラシの需要が期待され、飲食店や小売等の段ボールも堅調とみるが、原燃料価格の高騰が収益を圧迫し、印刷・情報用紙等の価格改定もさらなるデジタル化、紙離れを招く可能性があると懸念する。
広告 「薄日」から「晴れ」に変わると上向きの予測。年度末にかけ企業の予算消化による広告出稿が見込まれ、堅調なインターネット広告のほか、テレビなどのマス広告などでも伸びを期待。国内旅行需要の回復傾向も好材料だが、新型コロナ第6波に懸念。
全体 「旅行・ホテル」の国内需要が上向き、関連の「広告」でも伸びが期待されるなど、非製造業が牽引して全体の日経産業天気インデックスは2019年7~9月期以来のプラスの予測。新型コロナウイルスの変異型「オミクロン型」の影響が懸念材料。製造業や飲食などでは世界的な原材料費の高騰が懸念される。

 年明けからは半導体不足の影響が徐々に緩和され影響を受けていた自動車産業なども「雨」から「小雨」と上向きの予測が示されていますが、原材料費の高騰が影響する「マンション・住宅」は「薄日」から「曇り」と下向きの予測も提示されています。


3.日経42種11月末「紙・板紙」前月比横ばい

 企業間取引価格を基に1970年を100として指数化した日経商品指数42種の11月末値が、12月1日付の日本経済新聞紙上に掲載されました。原燃料高や円安の影響で素材価格は上昇を続け、42種全体の11月末値は5か月連続で最高値を更新しましたが、新型コロナウイルスのオミクロン型の感染拡大懸念から原油相場が下落した影響などもあり、伸び率は鈍化したと報じられています。
 紙・板紙は前月比横ばい、前年同月比では7.5%の上昇となり、今後の印刷用紙などの価格改定の動向が注目されています。


4.日本製紙「ラミナ」、「窓付き紙パウチ」に採用

 日本製紙は12月6日、同社のヒートシール紙「ラミナ」が、12月に藤森産業株式会社が開発した”中身が見える「窓付き紙パウチ」”に採用されたと発表しました。「ラミナ」は日本製紙が2019年10月に発売した、プラスチックフィルムを用いず紙だけでヒートシール性を有している製品で、今回開発された「窓付き紙パウチ」は紙パウチ部分に「ラミナ」を、窓部分に植物由来のセルロースフィルムを用いることで、「紙包材だと中身が見えない」という課題を解決しつつ、高バイオマス・高生分解性を有する環境にやさしい包材となっています。
 日本製紙は使い捨てプラスチック製品の使用量削減に貢献する紙素材への期待が高まっているとして、今後も「ラミナ」のさらなる用途展開を進めていくとしています。
※「ラミナ」は日本製紙の登録商標です。


【板紙 国内の紙の市況/状況】

1.合弁会社の商号が決定

 日本製紙は12月1日、10月に発表した同社グループの日本紙通商株式会社と三菱商事グループの三菱商事パッケージング株式会社の合弁会社の商号が「ダイヤトレーディング株式会社」に決定したと発表しました。ダイヤトレーディングは2022年4月1日設立の予定で、日本紙通商の商品開発力・きめ細かな対応力と、三菱商事パッケージングの多様な調達・販売網を統合したオンリーワンの産業用紙流通企業となることが期待されています。


【板紙 国外の紙の市況/状況】

1.王子 ベトナムに段ボール工場新設

 王子ホールディングスは11月30日、ベトナム北部のビンフック省に段ボール工場を新設することを同日決定したと発表しました。同社は現在ベトナムに5工場を有し、1か所を南部地区で建設中であるため、新しい工場はベトナムで7か所目、東南アジア・インド・オセアニア地区では36か所目の段ボール製造拠点になると説明しています。


【その他の市況/状況】

1.10月末の古紙在庫が減少

 11月30日付の日本経済新聞紙上にて、関東製紙原料直納商工組合に所属する32社分の10月末の古紙在庫が前月比11.6%減、前年同月比16.6%減の低水準となったと報じられています。コロナ禍の影響による回収量の減少などが影響しているとのことで、主力の段ボール古紙の在庫率は9.2%と、適正水準を下回っていると記事では伝えています。


【印刷・製品関連】

1.日本製紙 CNF使用の蓄電体の点灯実験

 12月7日付の日本経済新聞紙上にて、日本製紙と東北大学が共同開発を続けている、CNFを使用した蓄電体が豆電球を約7秒間光らせることに成功したと報じられています。記事によると、

内容 CNF表面の凹凸に電子がくっついて蓄電できる性質を利用した蓄電体を電池に使い、豆電球を約7秒間光らせることに成功。単純計算による蓄電性能は、リチウムイオン電池の200分の1程度だが、今後容量を増やし、2023年度にドローン、2030年にスマートフォンでの利用を目指す。
メリット 電池の主要部分に、需給が逼迫し価格も上昇しているコバルトやニッケルといったレアメタルの代わりにCNFを使用することで、諸外国からの輸入頼みの原料を削減し、日本の森林を活かした電池が使用できる可能性がある。

 2023年度の小型ドローン向け、2030年のスマートフォン・家電向けを経て、将来的には電気自動車での利用も視野に入れると、記事は今後の展開について説明しています。


※文中敬称略
※文章は2021年12月8日現在、新聞記事などを基に華陽紙業にて編集しております。実際の動向についてはお客様にて総合的にご判断頂きますよう、お願い申し上げます。