KAYO NEWS
華陽ニュース
紙の市況(2022.7)詳細 7月20日更新分
【紙に関する市況/状況】
1.大王製紙 ファインペーパー値上げ |
大王製紙は7月11日、ファインペーパーの価格改定を発表しました。
対象製品 | ファインペーパー全商品 |
改定幅 | 現行価格+10%以上(一部商品除く) |
改定時期 | 2022年9月1日出荷分より |
大王製紙は2017年に日清紡ホールディングスより紙製品事業を譲り受けており、アラベールやヴァンヌーボ、NTラシャといった製品をファインペーパーとして製造・販売しています。
【板紙・パッケージに関する市況/状況】
1.王子HD 環境配慮型コップ原紙を開発 |
王子ホールディングスは7月12日、グループ会社の王子パッケージング株式会社とともに、環境配慮型コップ原紙の開発に成功したと発表しました。公式サイトの発表によると、
従来の紙コップ | 従来の紙コップなどに使われているラミネート紙は、専用設備がなければラミネート層の剥離が困難で、一般的にはリサイクルできない禁忌品として可燃ごみとして処分される。(難古紙再生設備保有会社であればリサイクルは可能) |
今回の開発品 | 特殊な水系樹脂を紙表面に薄く均一にコーティングする技術を活用し、紙コップに必要な耐水性・耐油性、ヒートシール性を有しつつ、紙原料としてマテリアルリサイクルが可能な紙コップ原紙の開発に成功。 |
同社は今後も環境配慮型製品の開発・拡充を進め、持続可能な社会の構築に貢献していくとしています。
2.レンゴー 「パルミラ」で木下賞受賞 |
レンゴーは7月13日、同社の「国産開発!三辺可変自動包装システム「パルミラ」によるビックカメラ様での物流現場改善・合理化」が「第46回木下賞 改善合理化部門」を受賞したと発表しました。公式サイトの発表によると、
「PALMIRA(パルミラ)」 | 商品サイズを自動計測し、商品を包装しながら、タテ・ヨコ・高さの三辺が最適な長さになるよう、配送箱を自動で製作する「三辺可変自動包装システム」。配送箱の中に無駄なスペースが生じないため、 ・緩衝材を削減 ・包装の手間・コストを削減 ・配送品の体積圧縮で輸送効率を向上 を実現。 レンゴーが今までの通販システムのノウハウを基に、日本市場に合う国産機をパッケージとともに開発。 |
受賞対象 | 「パルミラ」をビックカメラが採用。物流センターの作業改善・合理化に貢献している。 |
木下賞 | 公益社団法人日本包装技術協会第二代会長 故 木下又三郎氏の包装界に対する貢献を記念して創設された賞。 ・包装の研究・開発 ・包装の改善・合理化 ・包装の新規分野創出 について顕著な業績をあげたものに対して毎年授与される。 |
同社は今後も、より少ない資源で大きな価値を生むパッケージづくりを通じて、持続的な経済社会の発展と人々の豊かな暮らしを支えていくと表明しています。
【その他の市況/状況】
1.新聞古紙の輸出価格が上昇 |
7月12日付の日本経済新聞紙上にて、新聞古紙の輸出価格が上昇していると報じられています。貿易統計によれば、5月の平均輸出価格が前年同月比3割上昇しているとのこと。
・ロシアのウクライナ侵攻により、欧州海運大手がロシアへのコンテナ船寄港を停止。ロシアからインドなどへの新聞用紙輸出が減少。
・ロシアの供給減により新聞用紙価格が高騰。韓国・マレーシア・インドネシアなどが新聞用紙の代替生産を開始し、原料となる新聞古紙が自国分だけでは賄えず、日本製古紙を買い付け。
・デジタル化やコロナ禍による集団回収の取りやめなどから、日本では新聞古紙の発生が減少。在庫減と需要増が重なり輸出価格が急騰。
・輸出価格の上昇が国内価格にも波及し、国内でも割増金をつけて調達する動きも。
といった状況があるとのことですが、足元では米欧からの新聞古紙の供給が増え日本品の需要が落ち着くとの見通しや、インドの経済減速懸念から古紙価格の急騰分を製品価格に反映できないとの見方もあり、新聞古紙価格が下落する可能性も出てきていると記事では指摘されています。
2.北米産パルプ価格が横ばい |
7月14日付の日本経済新聞紙上にて、北米産パルプの日本向け輸出価格の上昇が止まったと報じられています。
・昨秋の洪水に端を発する、カナダでの鉄道輸送混乱が継続。パルプの供給は減少。
・ロックダウンなどの影響で中国の需要が減少。年初からのパルプ価格の急騰を紙製品に転嫁できていない現地製紙会社では稼働を落とす動きも。
といった背景から、影響を受けた6月積みの日本向け輸出価格は前月比横ばいとなったとのこと。
ただ、依然、パルプ価格は最高値水準にあり、家庭紙メーカーの収益は圧迫され続けてていると記事では指摘しています。
【印刷・製品関連】
1.中パのCNFを活用した農業資材の試験販売開始 |
中越パルプ工業と丸紅株式会社は7月11日、同社が製造するACCセルロースナノファイバー(CNF)を使用した新たな農業資材の法人向け試験販売を開始したと発表しました。公式サイトの発表によると、
製品名 | nanoforest‐S【アグリ】 |
製品概要 | セルロース繊維と水を主成分とし、殺虫・殺菌成分等の合成成分を一切含んでない物理的防除資材。CNFを植物葉面に散布することで、 ・CNFが葉面を網状に覆う「マスク効果」 ・病原菌が葉面を認識できなくなる「カモフラージュ効果」 が発揮され、病原菌の侵入を物理的に防ぎ病害の感染を抑制する。 |
その他の特長 | 主成分がセルロース繊維と水であるため ・持続可能な素材を活用 ・物理的防除であるため、農薬等を使う化学的防除とは異なり耐性菌が発生しない ・散布時の環境負荷が少ない ・作業者が安全に扱いやすい といった特長が期待できる。 |
中パ・丸紅に筑波大学を含めた3社が2018年に開始した共同研究によりCNF病害に対して有益な効果を示すメカニズムを解明できたとして、中パ・丸紅両社は今後も使用法確立に向け試験・研究開発を進め、CNFを活用した物理的防除による農業分野への貢献を目指していくと表明しています。
※文中敬称略
※文章は2022年7月19日現在、新聞記事などを基に華陽紙業にて編集しております。実際の動向についてはお客様にて総合的にご判断頂きますよう、お願い申し上げます。