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華陽ニュース

紙の市況(2022.10)詳細 10月20日更新分

【紙に関する市況/状況】

1.三菱製紙 印刷用紙などの追加値上げを発表

 9月29日の王子製紙に続き、三菱製紙が10月6日、印刷用紙などの追加値上げを発表しました。

対象製品 印刷用紙全般(上質紙、塗工紙、微塗工紙 他)
情報用紙全般(ノーカーボン紙、感熱紙、PPC用紙、フォーム用紙 他)
白板紙全般(高級板紙、特殊板紙 他)
改定幅 現行価格+15%以上
実施時期 2022年12月1日出荷分より

 他のメーカーへの波及が注目されています。


2.ブルボンが王子HDのパッケージ用紙製品を採用

 王子ホールディングスは10月6日、お菓子メーカーのブルボンが王子HDの紙製品をパッケージ素材として採用したと発表しました。王子HD・ブルボンの公式サイトの発表などによると、

採用対象製品 ブルボン『贅沢ルマンド』『贅沢ルマンド バタースコッチキャラメル』の外袋パッケージ素材として
採用された王子紙製品 紙とアルミ蒸着フィルムを貼り合わせたパッケージ
特長 ブルボンによると、今回の紙素材への変更で年間約35トンのプラスチック使用量の削減が見込める。

 王子グループは今後も環境配慮型素材・製品の開発を推進し、持続可能な社会の実現に取り組んでいくと表明しています。


【板紙・パッケージに関する市況/状況】

1.日本東海IPS 抗ウイルス段ボール原紙を開発

 日本製紙グループの日本東海インダストリアルペーパーサプライ株式会社は10月11日、抗ウイルス性を持つ機能性段ボール原紙を開発したと発表しました。

製品名称 機能性段ボール原紙「抗ウイルスライナMT22」
特長 日本製紙開発の抗ウイルス、抗菌・消臭性能を持つ変性セルロースを表層に抄き込んだ段ボール原紙。2022年9月9日に一般社団法人抗菌製品技術協議会が制定する抗ウイルス加工の認証を取得。
注意点 本製品は医薬品や医療機器などの医療を目的としたものではなく、印刷・加工方法によっては抗ウイルス性能が維持されない場合がある旨、注意喚起されている。
用途 人の接触の機会が多い段ボールでの使用を想定。

 同製品は2022東京国際包装展に出展されており、10月よりサンプルワークを開始する旨、告知されています。 
 


2.レンゴー パッケージング関連2賞での受賞を発表

 レンゴーは10月12日、同社関連のパッケージ作品の受賞を発表しました。同社の公式サイトの発表によると、

ホリデーSPECIAL
BOX
デサントジャパン株式会社と共同開発した輸送用ケース。側面に双六を、ケース天面の一部に双六の駒をあしらい、ブランドの製品にちなんだデザインにすることで、
・年末年始のおうち時間のレクリエーションに使える
・季節限定の特別感を演出
・豊富な商品のラインアップをアピール
など、多様な効果が期待できる段ボールケース。
「日本パッケージデザイン大賞2023」輸送ケース部門の銀賞を受賞、「Pentawards2022」(世界的なパッケージデザイン賞)Eコマース部門入選。
その他 「日本パッケージデザイン大賞2023」食品部門・輸送用ケース部門に各1作品が入選。「Pentawards2022」サステナブルデザイン部門に「鉢までオール紙製 胡蝶蘭花器」が入選。

 同社は、クリエイティブなデザインやパッケージの総合的な提案により、これからもお客様の商品開発、販売促進、イメージアップに貢献していくと表明しています。
 


3.信越化学 紙製品用耐水コーティング材を開発

 信越化学は10月6日、段ボール等の紙製品に耐水性を付与し、リサイクルにも貢献するコーティング材を開発したと発表しました。同社の公式サイトの発表や10月7日付の日本経済新聞記事によると、

製品名 「Sicle(サイクル)」
特長 ケイ素と酸素由来の成分で構成され、段ボールなどに塗布することでガラス膜をつくって耐水性を付与する。
・高い耐水性
・段ボール等に貼った粘着テープをはがしても印刷がはがれず、リユースしやすい。
・カセイソーダに溶けるため、リサイクルする際にコーティング材やフィルムを分離する必要がなく、環境負荷が小さくリサイクルしやすい。
・難燃性がある。
等の特長を有している。
想定用途 ・置き配用の段ボールケース
・キャンプ用のテーブル、椅子
・段ボール製パレット 等

 サイクルを塗布した段ボール箱は10分程度高圧シャワーで水を浴びせられても原形を保っているとの参考資料も示されており、同社はその耐水性と環境負荷の小ささをアピールしています。
 


【その他の市況/状況】

1.日本製紙クレシアが太陽光発電導入

 日本製紙クレシアは10月12日、同社開成工場に太陽光発電設備を導入する計画であると発表しました。公式サイトの発表によると、

内容 2023年3月より、同社開成工場にPPAモデルによる太陽光発電設備を導入。
PPAモデル 電力事業者が事業者の敷地内に太陽光発電設備を無償で設置し、発電した電力を事業者が購入する仕組み。
今回はDaigasエナジー(クレシアの代理店でもある株式会社山善と、大阪ガス株式会社の100%子会社)が電力事業者となり、発電された電力をクレシアが購入・活用する。
山善と大阪ガスが業務提携する共同PPA事業「DayZpower(ディズパワー)」の第1号案件となる。
二酸化炭素削減 今回の導入で年間約197トンの二酸化炭素排出を削減できる見込み。

 日本製紙クレシアは日本製紙グループの一員として、再生可能エネルギーを活用した二酸化炭素削減の取り組みをより一層強化し、SDGsの達成に貢献するとともに、持続可能な社会の実現を目指すと表明しています。


【印刷・製品関連】

1.セルロースナノファイバー 開発・採用発表

 セルロースナノファイバーの開発・採用に関して、10月12日に王子ホールディングスが、10月17日に中越パルプ工業が、それぞれ独自開発のCNFについて発表しています。両社の公式サイトの発表によると、

王子HD CNFと天然ゴムとの複合材の開発に成功。天然ゴムに硬さを付与するために混合される、化石燃料由来のカーボンブラックに代わり、同社製CNFを配合することで
・カーボンブラック並みの硬さ
・カーボンブラックに比べ、天然ゴムの伸びを保持
・化石燃料由来からバイオ素材へ転換
を実現する。自動車産業など各種産業向けにサンプル提供を開始。
中越パルプ 同社製CNFが株式会社nijitoの色付き美容クリームクッションの原料に採用。
・竹由来CNFの粉体分散向上、乳化安定、触感改良といった機能により美容クリームクッションのスムースな仕上がりに貢献
・CNFの構造が水分をキープすることにより、ツヤ感やカバー力を向上
等の実現が期待される。

 今後も各分野でCNFの用途開発が進みそうです。


※文中敬称略
※文章は2022年10月18日現在、新聞記事などを基に華陽紙業にて編集しております。実際の動向についてはお客様にて総合的にご判断頂きますよう、お願い申し上げます。