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紙の市況(2023.7)詳細 7月20日更新分

【洋紙 国内の紙の市況/状況】

1.特種東海 一部特殊紙の生産・出荷を再開

 特種東海製紙は7月13日、6月26日より生産・出荷を停止していた一部特殊紙の生産・出荷を再開することを発表しました。

対象製品 レザック66(あさぎ、アボガド、うすみどり、ミント)
TANT(F‐60、F‐61、F‐65、F‐67、C‐62、C‐65)
TANT BOARD‐F(C‐62)
TANT KIRA(K‐62、K‐65)
TT‐CUSHION メッシュ(エメラルド)
新草木染・ハーブ(プレーン、ラクスパー、ラベンダー)
アーカイバルボード
生産・出荷再開時期 2023年7月13日より再開
理由 対象製品に着色料として使用されている顔料について、薬品メーカーより化審法において問題ないとの見解が得られたため。

 同社は今後も製品をご愛顧頂くよう呼びかけています。


2.リンテック 粘着製品の値上げを発表

 リンテックは7月13日、粘着製品の価格改定を発表しました。

対象製品 シール・ラベル用粘着紙・粘着フィルム 全アイテム
値上げ率 粘着紙15%以上、粘着フィルム10%以上
実施時期 2023年9月1日出荷分より

 同社は2021年10月、2022年8月に対象製品の値上げを実施していますが、主原料費や副資材費の高騰が続いているのに加え、電力料金や物流費が上昇しているとして、価格改定に理解を求めています。


3.アジア向け市況が下落の報道

 2023年7月8日付の日本経済新聞紙上にて、印刷用紙のアジア向け取引価格が下落していると報じられています。7月8日現在の日本製上質紙のアジア向け大口需要家用価格の中心値が前月比3%、上質コート紙が同2%下落しているとのこと。中国の国内印刷用紙需要の停滞や安値での輸出の増加、東南アジア諸国の需要の減退などが背景にあるとのこと。アジア市況の下落は日本の製紙メーカーの輸出にも逆風となるとのことで、国内製紙各社にとっては一段の生産調整が必要になる可能性もあると記事では伝えています。


【板紙・パッケージに関する市況/状況】

1.レンゴー 管理にRFIDタグ導入

 2023年7月11日付の日本経済新聞紙上にて、レンゴーが段ボール原紙の管理にRFIDタグを導入すると報じられています。記事によると、

内容 これまでバーコードなどを使用していた段ボール原紙の管理に、無線自動識別(RFID)タグを導入。複数のタグ情報を数メートル先から一度に読めるため、原紙を段ボール工場に配送した際、商品確認の時間が大幅に短縮され、運転手の待ち時間の負担が軽減できる。棚卸やトレーサビリティーにも利用できる。
今回の導入 既にレンゴーグループの製紙5工場、段ボール工場の三田工場では導入されていたが、2025年度中に27工場に導入する計画。
今後の展開 関連会社の段ボール45工場への導入も目指す。日本製紙連合会などとも協力し、他の製紙・段ボール各社にも仕組みを公開し、国内標準化を目指す。

 トラック運転手の負担軽減が喫緊の課題となるなか、「仕組みの統一は効率化に不可欠」とする同社の声も記事では紹介されています。


【その他の市況/状況】

1.ティッシュ紙が輸入増

 2023年7月6日付の日本経済新聞紙上にて、ティッシュ紙の輸入が増加していると報じられています。3~5月の3か月連続で月間9,000~1万トンを輸入しており、3年ぶりの輸入量水準とのこと。国産品の店頭価格が上昇するなか、中国やインドネシアなどが力を入れる輸入のソフトパック(箱なし袋入りティッシュ紙)に消費がシフトしていると伝えられています。収益改善を探る国内製紙各社や、安くてかさばるため輸送費が割高になりがちな家庭紙の特徴など、価格の背景には各陣営の様々な事情があり、今後の動向が注目されます。


2.製紙用パルプ 価格下落が鈍化

 2023年7月19日付の日本経済新聞紙上にて、L‐BKPの6月積み対日価格が前月積み比5%上昇したと報じられています。N‐BKPは同4%下落となったものの、前月の下げ幅からは大幅に縮小したとのことで、下げの鈍化傾向がみられるとのこと。

・パルプ価格の急落で、自社産パルプより割安と見た中国製紙会社が買い付け
・流通業者や投機的な買い付けも一部見られる
・米国で材木加工がまだ復調せず、チップの発生が伸び悩むなか、北米のパルプメーカーが大幅な安値販売に抵抗

等の背景があるとのこと。
 パルプ価格が底入れすれば日本の製紙各社の採算に影響する懸念があるとして、記事は下期の家庭紙等の価格への影響を示唆しています。


【印刷、製品、その他関連】

1.日本製紙 秋田県でも採種園を開設

 日本製紙は2023年7月18日、秋田県で「特定増殖事業者」の認定を取得したと発表しました。公式サイトの発表や2023年7月14日付の日本経済新聞の記事によると、

特定増殖事業者 成長に優れた種苗であるエリートツリー等の増殖に関する計画を作成し、都道府県知事の認定を受けた事業者。林業種苗法ではスギ種苗配布区域として国内を7区域に区分しており、日本製紙は静岡県(3区)、鳥取県・広島県北部(4区)、広島県南部(5区)、熊本県・大分県(6区)で既に認定を受けて採種園・採穂園を開設しており、今回、秋田県(1区)でも認定を受けて、2023年10月をめどに同県内に閉鎖型採種園を開設する計画。
同社のスギのエリートツリー 花粉量が一般的なスギ・ヒノキの半分以下で、花粉症対策に貢献できる。また、成長が早いため生産期間を短縮でき、二酸化炭素吸収減の拡大や林業の再生といった社会課題の解決にも貢献できる。

 今回の秋田県での認定取得などで同社のエリートツリー苗の生産能力は年間160万本に達するとのことで、2030年に1,000万本の生産体制構築という目標に向け、一層取り組みを加速していくと同社は表明しています。


※文中敬称略
※文章は2023年7月19現在、新聞記事などを基に華陽紙業にて編集しております。実際の動向についてはお客様にて総合的にご判断頂きますよう、お願い申し上げます。