1. HOME
  2. KAYO NEWS
  3. 紙の市況(2023.10)詳細 10月10日更新分

KAYO NEWS

華陽ニュース

紙の市況(2023.10)詳細 10月10日更新分

【洋紙 国内の紙の市況/状況】

1.アジアの印刷用紙価格が下落と報道

 10月4日付の日本経済新聞紙上にて、アジアの印刷用紙の価格が下落したと報じられています。日本製の指標品の価格は前月上旬比で1%程度下落したとのこと。

・中国で景気回復の遅れ、デジタル化、学習塾への規制強化などから印刷用紙の需要が低迷。
・中国国内での余剰分を東南アジアへの輸出促進でさばく動きがあり、安値販売もみられる。
・韓国メーカーもパルプ安から東南アジアへの輸出拡大の動き。

等が背景にあり、日本のアジア向け輸出価格も下落、輸出数量自体も減少していると伝えられています。
 円安や日本国内の印刷用紙市場の急速な縮小から、輸入紙が大量に日本国内に流れ込む動きはみられず、日本国内の取引価格への影響は限定的とのことですが、輸出価格の低迷が日本の製紙メーカーの収益に逆風となる面はあると記事では分析しています。


【板紙・パッケージに関する市況/状況】

1.レンゴー・王子 日本パッケージングコンテスト入賞製品を紹介

 レンゴーは9月27日、王子ホールディングスは9月28日、2023日本パッケージングコンテスト入賞の両者グループの製品をサイトにて紹介しました。両社サイトの発表より一部をご紹介すると、

レンゴー
段ボール製エキスパンダー
~規格パレット拡張術~
パレットに段ボール製の追加部材を装着することで貨物に合わせてパレットを拡張できる仕組み。貨物の変形事故を防いで保管・運搬を改善し、パレットの循環再利用にも貢献。追加部材は段ボール古紙としてリサイクルが可能。
 ジャパンスター賞(経済産業省製造産業局長賞)受賞。
VlogカメラZV‐E1の
環境対応パッケージ
ソニーグループ社との共同開発。ソニー社が開発したサステナブルな新しい紙素材を用いた段ボール箱。剛性の高い新素材に対応するべく木型の仕様や設計を改善し、罫割れや貼りズレといった課題を解決することで、成型精度が高く美しい段ボールが量産できるようになった。
 包装技術賞(適正包装賞)受賞。
シャープ替芯ユニ詰替用 三菱鉛筆との共同開発。段ボールシートの波状の空間に替芯が入る仕様で、芯を封緘するシールも紙素材にするなど、環境に配慮したパッケージを実現。
 包装技術賞(包装アイデア賞)受賞。
ピザハットトリックBOX
ハットスタジアムBOX
日本ピザハットとの共同開発。FIFAワールドカップやWBC期間に合わせて販売されたピザ用ボックスで、スポーツのイベント感が伝わり、使用後に組み立てるとスタジアムの形になるデザイン。
 包装部門賞(食品包装部門賞)受賞。
その他 その他各1製品が包装部門賞(日用品・雑貨包装部門賞)、包装部門賞(贈答品包装部門賞)、包装部門賞(POP・店頭販売包装部門賞)、3製品が包装部門賞(輸送包装部門賞)を受賞。
王子HD
大型業務用エアコン室内機
梱包用トレイの自動組立機の開発
大型業用エアコンの段ボール製梱包用トレイの形状を工夫し、それに対応した自動組立機械構造を開発。既存のライン等と直結させることで組立と梱包の自動化に成功し、従来人手で組み立てていた場合と比較し、組立作業員40%、組立時間33%の削減を達成。
 ジャパンスター賞(公益社団法人日本包装技術協会会長賞)受賞。
みつばトレー
才数削減提案
水郷つくば農業協同組合と森紙業グループの共同開発。形状改良により、包装機能は維持しつつ価格を抑える工夫で、従来比約21%の才数削減に成功。
 包装技術賞(適正包装賞)受賞。
おまかせ野菜漬の素
シェルフレディパッケージ
(輸送兼陳列箱)
オタフクソースと王子コンテナーの共同開発。開封作業が簡単で様々な陳列方法に対応できるダンボールケースを開発。店頭陳列作業の負担軽減のほか、カットテープを廃止することでプラスチック使用量の削減も実現。
 包装技術賞(アクセシブルデザイン包装賞)受賞。
繁忙期補充用番重の開発 ロック・フィールドと王子コンテナーの共同開発。繁忙期に補填として使用する総菜用段ボール製番重に、①繁忙期終了後の廃棄性を考慮した2種類の折り畳みロック機構、②ひとりでも組立できる仮止め機構、③プラ製番重との長距離併用運搬に耐える強度性 を付加して開発。
 包装部門賞(ロジスティクス賞)受賞。
その他 その他各1製品が包装部門賞(食品包装部門賞)、包装部門賞(贈答品包装部門賞)、包装部門賞(輸送包装部門賞)、包装部門賞(大型・重量物包装部門賞)を受賞。

 入賞作品は2023年10月26~27日に東京のKITTEで開催される『暮らしの包装商品展2023』で展示される予定となっています。


【その他の市況/状況】

1.独自環境ラベル「ネピア環境マーク」を制定

 王子ホールディングスと王子ネピアは10月2日、地球温暖化に対する王子ネピアの取り組みの促進を目的とした、独自の環境ラベルの「ネピア環境マーク」を制定したと発表しました。サイトの発表によると、

開発の背景 地球温暖化や脱炭素といった社会課題解決に取り組む商品を購入したいと思っても、商品を選ぶ判断基準を知らない生活者も一定数存在するため、「ネピア環境マーク」を商品に表記することで環境に配慮していると瞬時に判断できるようにし、「森の力」の理解促進を図る。
マークのコンセプト 「木」を抽象化して三角形でデザイン、三角形をひとかたまりにすることで「森」を表現、「森」を円形に配置することで「地球」をイメージ。
製品の環境配慮点 原材料にはFSC認証紙を使用。包装材にバイオマスフィルム、バイオマスインキを採用したりフィルムレス化を推進。温室効果ガスの排出量削減を考慮した商品設計を推進している。

 同社は、「私たちが信じる森の力で、地球の未来を守る」という決意をネピア環境マークに込め、商品の原材料、包装材、商品規格のすべてにおいて地球環境に配慮した商品づくりを推進していくとしています。


【印刷、製品、その他関連】

1.TOPPAN アルミ箔を使用しないカップ麺の蓋を開発

 TOPPANは10月4日、アルミ箔を使用しない即席カップ麺の蓋材を開発したと発表しました。同社サイトに掲載されたニュースリリースによると、

背景 カップ麺の蓋には
・お湯を注ぐときには蓋が開いたままであること
・出来上がりを待つ間は蓋が閉じること
が必要であるため中面にアルミ箔が使用されているが、昨今のアルミ箔の価格上昇と製造過程での二酸化炭素排出量の多さから改善が求められていた。
アルミレス蓋材の特長 ・アルミ箔を使っていなくても、従来品と同様にお湯を注ぐ前後での開閉が実現できる。
・従来品に比べ32%の二酸化炭素排出量削減が可能。
・アルミ箔使用の蓋材と同等の耐油性・遮光性を付与していて、内容物を同等に保護できる。

 同社は持続可能な社会の実現に向けて、社会課題に対応したパッケージの開発を推進すると表明しています。


※文中敬称略
※文章は2023年10月6日現在、新聞記事などを基に華陽紙業にて編集しております。実際の動向についてはお客様にて総合的にご判断頂きますよう、お願い申し上げます。