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紙の市況(2023.10)詳細 10月20日更新分

【洋紙 国内の紙の市況/状況】

1.日本製紙 雑誌本文用紙の新製品を販売開始

 日本製紙は10月11日、雑誌本文用紙の新製品を10月から販売開始すると発表しました。公式サイトの発表によると、

商品名 「N.Polaris43Mocha」(エヌ・ポラリス43モカ)
用途 雑誌本文用紙
従来品との違い 同社の従来の雑誌本文用紙(出版更用紙)は機械パルプ高配合によって、軽量、嵩高、高不透明度で裏抜けしにくいという特徴を実現しているが、化学パルプや古紙パルプに比べ製造時の消費エネルギーが大きく、温室効果ガスの排出量が相対的に多くなるという課題があった。
今回の新製品「N.Polaris43Mocha」は化学パルプ100%。独自の嵩高技術やインキ裏抜け防止技術で品質は維持しつつ、ライフサイクルでの温室効果ガス排出量を従来品比約20%削減。

 同社は2030年度までに温室効果ガス排出量2013年度比54%削減、2050年にはカーボンニュートラルの実現を目指しており、今後もグラフィック系用紙全体で温室効果ガス排出量の少ない製品を開発し、既存製品についても温室効果ガスの排出量削減に取り組んでいくと表明しています。


【板紙・パッケージに関する市況/状況】

1.日本製紙 環境配慮型紙パックを開発

 日本製紙は10月10日、パルプ使用量を削減した原紙を使用することで軽量化と二酸化炭素排出量削減を実現した環境配慮型軽量紙パックを開発し、10月から供給を開始すると発表しました。
 同社が国内最軽量とする原紙は同社と同社の米子会社が共同開発したもので、強度と使いやすさを維持したまま、1パックあたりのパルプ使用量を8%削減、二酸化炭素排出量低減にも貢献する製品であるとのこと。
 四国乳業と鹿児島県酪農乳業の製品で採用され、10月から一般販売されるとのことで、今後も同新製品のさらなる採用拡大に向けた取り組みを加速していくと同社は表明しています。


2.レンゴー子会社 スペインで重量物包装資材メーカーを買収

 レンゴーは10月17日、同社子会社のトライウォール社が子会社を通じてスペインのGestora Comercial Internacional社(ジェコインサ社)の持分100%を取得したと発表しました。ジェコインサ社は重量物包装資材の製造・販売、倉庫管理、物流事業を行う会社で、スペインを中心にポルトガル、モロッコにも事業を展開しているとのこと。
 トライウォールグループにジェコインサ社が加わることで重量物包装資材事業のネットワークがイベリア半島、モロッコにまで広がるとのことで、同社はさらなる供給体制の充実を図り、様々なニーズに対する包装やサービスを提供していくとしています。


3.レンゴー ISCC PLUS認証を取得

 レンゴーは10月16日、ISCC PLUS認証を新たに取得したと発表しました。同社サイトの発表によると、

ISCC PLUS 持続可能な製品の国際的な認証制度のひとつの国際持続性カーボン認証。今回の認証はマスバランス方式で取得。
マスバランス方式 原料から製品への加工工程で、バイオマス由来原料が石油由来原料と混合される場合に、バイオマス由来原料の投入量に応じて、製品の一部にバイオマス由来の割り当てを行う方式。
今後の展開 今回、レンゴー本社、東京本社で同認証製品を販売できるようになり、同認証のバイオマス原料を割り当てたバイオマスポリプロピレンフィルムを展開していく計画。

 同社グループではサン・トックスと朋和産業が既に同認証を取得しているとのことで、今回の認証取得で同社グループ全体で減反から製品取り扱いまでのマスバランスのトレーサビリティーが完成したことになると同社は発表しています。


【その他の市況/状況】

1.家庭紙中堅各社が値上げの報道

 10月12日付の日本経済新聞紙上にて、家庭紙の中堅メーカーが11月から出荷価格を引き上げると報じられています。記事によると、

対象製品 再生トイレ紙、ペーパータオルなど
メーカーと値上げ幅 丸富製紙が15%以上、特種東海エコロジーが20%以上、出荷価格を11月から引き上げると報道。
春日製紙工業も15%以上の値上げの検討に入ったとの記事。

 原燃料高や運賃上昇、上物古紙不足、円安などが要因であると記事では分析しており、大手製紙の価格戦略に影響する可能性についても示唆しています。


【印刷、製品、その他関連】

1.丸住製紙 CNF配合のトイレ清掃薬剤

 丸住製紙は10月18日、同社の独自開発CNF「ステラファイン🄬」が無臭元工業株式会社トイレ清掃薬剤「無臭元トイレフレッシュ」の原材料として採用され、9月から販売開始されていると発表しました。ステラファインの分散性や安全性等の複数の機能特長を活かした、幅広い対象物に対して防汚・防臭効果を発揮し、1つの薬剤でトイレ全体を清掃することができる製品の開発に至ったとのこと。
 同社はCNFは脱炭素・循環型社会に寄与する素材として注目されているとし、引き続きステラファインの研究・開発を進め、さらなる実用化を目指すとしています。


2.王子HD 銀座本社ビル1Fエントランスが「ウッドデザイン賞2023」受賞

 王子ホールディングスは10月12日、同社本社ビル1Fエントランスのリニューアルプロジェクトが「ウッドデザイン賞2023」のソーシャルデザイン部門で入賞したと発表しました。同社サイトの発表によると、

ウッドデザイン賞 一般社団法人日本ウッドデザイン協会が2015年から開催。「木」の良さや価値をデザインの力で再構築することを目的とし、「木」を使った優れた建築・空間、製品、活動や仕組み、研究などを表彰する。
王子HDのプロジェクト 持続可能な森林経営を実践し、2022年には森林を根幹に据えたパーパスを制定した同社が、森林とともに歩む同社の想いを発信する“おもてなしの場”としてのリニューアルを企図したプロジェクト。
・最新の育成LEDシステムで、室内空間での在来種の生木植栽を実現
・北海道内の社有林から出材したトドマツやカラマツなどの針葉樹、ミズナラやカバなどの広葉樹をふんだんに使用した木製什器
で1Fエントランスを「森のフィールド」にリニューアル。
都心のオフィスにいながら自然や森を感じることができるリアルにこだわった新しいオフィス空間をつくり上げたことが評価された。

 お客様だけでなく銀座界隈を訪れた方にも気軽に入場して頂き、癒しを感じながら、同社の企業姿勢、森林や木質資源の可能性も知って頂けるような情報発信を継続していくと同社は表明しています。


※文中敬称略
※文章は2023年10月18日現在、新聞記事などを基に華陽紙業にて編集しております。実際の動向についてはお客様にて総合的にご判断頂きますよう、お願い申し上げます。