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紙の市況(2024.2)詳細 2月10日更新分

【洋紙 国内の紙の市況/状況】

1.王子HD 2024年3月期第3四半期業績を発表

 王子ホールディングスは2月5日、2024年3月期第3四半期(2023年4月1日~2023年12月31日)の連結業績を発表しました。公式サイトに掲載された決算短信によると、

要因について同社は

プラス要因 ・国内で価格修正を実施
・国内で通販向けヒートシール紙等の拡販
・2022年12月徳島のバイオマス発電所稼働による増収
・国内でグラフィック用紙の需要減少傾向継続
・東南アジアで新マシンの稼働率向上による段ボール原紙の販売数量増加
・オセアニアで段ボール価格の修正実施
・マレーシアで紙おむつ拡販
マイナス要因 ・国内で物価上昇に伴う消費抑制
・国内で電子部品需要低迷
・ニュージーランド子会社のサイクロン被害
・主に海外でパルプ市況悪化
・東南アジアで段ボール原紙市況悪化、段ボール需要低迷
・感熱紙は国内では顧客在庫調整、海外では需要低迷等が影響
・中国でゼロコロナ政策終了後の経済回復の鈍さ

等を挙げています。
 通期予想については2月5日現在では2023年11月7日の発表予想を変更せず、売上高は前期比3.1%増、営業利益は同3.3%減としています。


2.印刷用紙のアジア向け輸出価格が上昇

 2月3日付の日本経済新聞紙上にて、印刷用紙のアジア向け輸出価格が上昇したと報じられています。2月時点で上質紙の中心価格が前月比1.1%上昇、上質コート紙は同3.1%上昇とのこと。上昇の要因はパルプ価格の値上がりを受けた収益改善によるもので、アジア全般で印刷用紙の需要は鈍く、値上げは勢いを欠いていると記事では分析しています。


【板紙・パッケージに関する市況/状況】

1.レンゴー 2024年3月期第3四半期業績を発表

 レンゴーは2月6日、2024年3月期第3四半期(2023年4月1日~2023年12月31日)の連結業績を発表しました。公式サイトに掲載された決算短信によると、

 価格改定が寄与し増収増益となったと同社は公表しています。
 通期でも売上高9.9%増、営業利益81.1%増などとする予想を変更しておらず、同日、期末の配当金を2023年5月発表の予想の12円より変更し、普通配当を3円プラス、更に創業115周年記念配当の3円を加え、18円とする配当予想の修正を発表しています。


2.海苔の紙パッケージに王子製品採用

 王子ホールディングスは2月7日、同社の紙製品(紙とフィルムを貼り合わせた素材)が株式会社白子の「スマプラ有明海産味のり80枚」の外袋の紙パッケージ素材に採用されたと発表しました。紙パッケージ化することでプラスチック使用量を92%削減するとともに、パッケージ設計を刷新して従来比賞味期限2倍も実現したとのこと。
 白子社は「プラスチックごみによる海洋汚染は深刻な問題。海の恩恵である海苔を扱う企業として、またSDGsを推進する観点からも環境へ配慮した製品づくりへの取り組みを実施する」との思いから環境に配慮した新ブランドの「スマプラ」を立ち上げており、「スマプラ有明海産味のり80枚」は白子社初の紙パッケージ商品になると説明されています。


3.王子・レンゴー 「ワールドスター賞」受賞を発表

 王子ホールディングスとレンゴーは2月、各々が関連したパッケージが世界包装機構主催の「ワールドスターコンテスト2024」においてワールドスター賞を受賞したと発表しました。両社の発表によると、受賞したパッケージは

王子 大型業務用エアコン室内機
梱包用トレイの自動組立機の開発
業務用エアコンの梱包トレイについて、自動組立可能な形状とそれに対応した自動組立機械構造を開発。組立作業員40%、組立時間33%の削減を達成。
『EM Guard™』
生分解性プラントガード
紙をベースとした植林用の苗木保護材を開発。苗木を保護して乾燥や野生動物の捕食から守り生存率を上げるとともに、使い捨てプラスチックを再生可能材料に置き換え、使用後は生分解性により土に還るため回収の手間がかからず植林作業の負担も軽減する。
レンゴー 段ボール製エキスパンダー
~規格パレット拡張術~
積載する製品のサイズに応じて大きさを様々に拡張できる段ボール製のパレット追加部材。樹脂製パレットに装着することで必要な大きさに拡張でき、貨物の変形を防ぐと同時にパレットの循環再利用にも貢献。追加部材は簡単に着脱でき、使用後は段ボール古紙としてリサイクルが可能。
ピザハットトリックBOX
ハットスタジアムBOX
2022年・2023年のスポーツイベント期間中に販売されたセット用ピザボックス。スポーツのイベント感がひと目で伝わるデザインと、使用後に組み立てるとスタジアムの形になる仕掛けなどで楽しい時間の提供に貢献。

 レンゴーは今般の受賞を、世界でもパッケージの有用性が認められたものと評価しています。


【その他の市況/状況】

1.大王・日本が家庭紙値上げ

 大王製紙は2月1日、日本製紙は2月7日に、それぞれ家庭紙の価格改定を発表しました。

大王製紙
対象品種 ティシュー、トイレットペーパー、キッチンタオル、ペーパータオル他
家庭用・業務用紙製品全般
改定幅 現行価格より10%以上
改定時期 2024年4月1日納品分より
日本製紙
対象品種 日本製紙クレシア 製品全般
改定幅 現行価格より+5~+10%以上
改定時期 2024年4月22日同社出荷分より順次
(製品によって時期は変更になることがあります)

 両社とも原燃料価格の高止まりや円安の影響に加え、物流経費の上昇を今回の値上げの要因に挙げ、理解を求めています。


2.ENEOS 1~3月の高硫黄C重油価格を引き下げ

 1月30日付の日本経済新聞紙上にて、ENEOSが1~3月期の高硫黄C重油の価格を2023年10~12月期比12%引き下げると表明したと報じられています。原油価格の下落などを映したもので、引き下げは4四半期ぶりとなるとされています。


3.中越パルプ 高岡工場の家庭紙新マシンが稼働

 中越パルプ工業は1月29日、高岡工場のN6号抄紙機が完成し、同日起動式を行ったと発表しました。事業構造転換の一環としてグラフィック用紙用の6号抄紙機を停機し新設を進めていたもので、生産品種はティシュ、タオル、トイレットペーパー原紙であるとのこと。今後も底堅い需要が見込める家庭紙の分野で、最新鋭の抄紙機により競争力のある原紙を供給する体制を整えると、同社は表明しています。


【ESG、SDGs等関連】

1.王子HD CDPフォレストでAスコアを獲得

 王子ホールディングスは2月7日、「CDPフォレスト」で最高評価であるAスコアを獲得したと発表しました。国際的な環境NGOである英国のCDPが毎年グローバル企業の「気候変動」「水セキュリティ(水資源保護)」「フォレスト(森林保全)」に関する開示や取り組みを評価するもので、2023年は世界2万1千社超を対象に調査を実施。王子ホールディングスは「フォレスト」の分野で透明性とパフォーマンスにおけるリーダーシップが認められ、最高評価の「Aスコア」を獲得したとのこと。同社は2連連続で「CDPフォレスト」Aスコアを獲得しており、「広大な森林を保有しその資源を活用している会社として、Nature-based Solutions(自然を基盤とした解決策)を体現し、ネイチャーポジティブ(自然再興)、カーボンニュートラルの実現に向け、取り組んでいきます」との同社CEOの言葉を紹介しています。


2.レンゴー 金津工場が「省エネ大賞」資源エネルギー庁長官賞を受賞

 レンゴーは2月7日、2023年度省エネ大賞において、同社金津工場の「板紙製造工場における生産性改善の取り組み」が資源エネルギー庁長官賞(産業分野)を受賞したと発表しました。抄紙設備の改善や製紙部門全体でのIoT活用プロジェクトによる効率化の推進、拠点倉庫活用によるトラック燃料削減と運転手の待機時間削減などによる業務改善、といった取り組みにより、同工場で使用エネルギーの2018年度比10.7%削減、拠点倉庫活用による3,080L/年(原油換算)の燃料削減を達成した実績が評価されたとのこと。
 同社は「エコチャレンジ2030」「レンゴーグループ環境アクション2050」を表明して環境対策に取り組んでおり、これからも「人にも環境にも優しく」を念頭に事業活動全般において環境への取り組みを強化していくとしています。


【印刷、製品、その他関連】

1.日本紙通商 紙容器アップサイクルプロジェクトを始動

 日本製紙グループの日本紙通商は2月2日、新ブランド”choito™”を上市し、回収から再資源化、製品化までの紙容器アップサイクルプロジェクトを始動したと発表しました。日本製紙公式サイトに掲載された発表によると、

choito™ 使用済み飲料用紙容器をリサイクルした紙糸を原料とする、タオルやエプロンなどの布製品のブランド。
①事業者が紙容器アップサイクルプロジェクトに参加。
②参加事業者が紙容器類の専用回収キットを用いて使用済みの飲料用紙パックや紙コップなどを回収
③日本製紙の工場でリサイクルパルプ化
④協力工場で布製品を作成
⑤タオルやエプロンなど付加価値の高い布製品”choito™”に生まれ変わり参加事業者へ
というサイクルをイメージしている。
狙い 紙から紙へのリサイクルに加え、紙から布へのアップサイクルを提案することで、飲食事業者にとってのリサイクルに対する付加価値や環境訴求性を高め、社会全体での廃棄物削減とリサイクルの発展・継続に寄与する。

 既に複数の企業や団体と企画・開発を進めているとのことで、プロジェクトの概要や製品事例を順次特設ウェブサイトで紹介していくとしています。


※文中敬称略
※文章は2024年2月8日現在、新聞記事などを基に華陽紙業にて編集しております。実際の動向についてはお客様にて総合的にご判断頂きますよう、お願い申し上げます。