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華陽ニュース

紙の市況(2024.3)詳細 3月10日更新分

【板紙・パッケージに関する市況/状況】

1.レンゴー 段ボール製品値上げ

 レンゴーは3月1日、段ボール製品の値上げを発表しました。

対象製品 段ボール、紙器製品
改定幅 現行価格より10%以上
実施日 2024年4月1日納品分より

 今回の値上げについてレンゴーは、近年要因としていた原燃料価格の高止まりや円安傾向に加え

・ドライバーの働き方改革への対応をはじめとする物流コストの高騰
・人材確保や政府要請に応じた継続的な賃上げによる労務費の上昇
・温室効果ガス削減や労働環境改善のための設備投資
・協力会社からのコストアップや賃上げに伴う価格改定要請の受け入れ

などを要因として挙げています。
 また、今回の値上げとは別に、特別荷下ろし、休日や時間外の配送、待ち時間等の解消・改善といった物流面の課題については、引き続き、配送条件の変更、費用負担についてご相談させて頂くと発表しています。


【ESG、SDGs等関連】

1.レンゴー福島矢吹工場のビオトープ 「自然共生サイト」に認定

 レンゴーは3月5日、同社福島矢吹工場のビオトープが令和5年度後期「自然共生サイト」に認定されたと発表しました。同社の発表によると、福島県初の認定であるとのこと。

30by30 生物多様性の損失を食い止め、回復させる(=ネイチャーポジティブ)というゴールに向け、2030年までに陸と海の30%以上を健全な生態系として効果的に保全しようとする国際的な目標。2021年6月のG7サミットでG7各国が自国の陸と海で少なくとも30%以上を保全・保護することについて約束。
「自然共生サイト」認定 30by30の実現に向け、国が「民間の取組等によって生物多様性の保全が図られている区域=自然共生サイト」を認定する制度。環境省が令和5年度より開始。
 自然共生サイトに認定された区域は保護地域との重複を除き国際データベースに登録される。

 同工場の敷地内では工場造成前からある雑木林を「百年の杜」として保存しているほか、里山の生物多様性を維持することを目的とした「ビオトープ」と設け、緑地環境を整備管理することに努めているとのことで、今後もネイチャーポジティブの実現に向け、地域の自然環境との調和に積極的に取り組んでいくとしています。


2.国際紙パルプ商事 農業振興等を目的とした子会社を設立

 KPPグループホールディングスは3月1日、子会社の国際紙パルプ商事が恵比寿建設株式会社との共同出資により子会社を設立したと発表しました。イネ科の穀物「ソルガム」を中心とした農産物の生産及び販売等を行うことが目的とのことで、

・農業従事者の高齢化や担い手不足などの課題に、農作業の請負を行う組織として活動することで解決策を示す
・福島県双葉郡浪江町に設立した新会社によって、福島第一原発事故の影響で農産物生産の中止を余儀なくされた福島県浜通り地域の営農再開に取り組み、同地域の復興支援に貢献
・将来的には生産した農産物を再生可能エネルギーであるバイオ燃料として活用することも視野

といった事業を行う計画であるとのこと。
 同社は新会社の事業を通じて、同地域における新たな産業の創出や農業振興の整備を行うとともに、日本の農畜産業の課題解決及びカーボンニュートラルな社会の実現に貢献していくとしています。


【印刷、製品、その他関連】

1.TOPPANとENEOS 古紙原料のバイオエタノール事業で共同開発契約

 TOPPANホールディングス株式会社は3月1日、ENEOS株式会社と共同開発契約を締結し、古紙を原料とした国産バイオエタノールの事業化に向けた実証事業を開始すると発表しました。公式サイトに掲載された発表によると、

内容 古紙を回収、前処理、糖化発酵プロセスを経て、バイオエタノールとして再生する技術の開発やパイロットプラントの建設・稼働、事業化を目指す共同開発契約を締結。2021年より両社で共同で検討を進めており、今般の締結により実証事業に着手。
両社の役割 TOPPANは難再生古紙を含めた古紙の調達ルートの構築と、調達した古紙から不要物質を分離除去しセルロースを高純度化するなどの前処理プロセスを担当。
ENEOSはセルロースから高効率でバイオエタノールを製造するプロセスの開発と、バイオエタノールを活用した燃料製造技術の検討を担当。
今後の展開 2026年度中のパイロットプラントの稼働開始、事業採算性を見極め、2030年度以降の事業化を目指す。

 両社で古紙を原料とした国産バイオエタノール事業に取り組むことで、脱炭素・循環型社会の実現に貢献していくと、同社は取り組みの意義を説明しています。


※文中敬称略
※文章は2024年3月7日現在、新聞記事などを基に華陽紙業にて編集しております。実際の動向についてはお客様にて総合的にご判断頂きますよう、お願い申し上げます。