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華陽ニュース

紙の市況(2024.3)詳細 3月20日更新分

【板紙・パッケージに関する市況/状況】

1.HONDA部品パッケージに王子HD紙製品を採用

 王子ホールディングスは3月15日、本田技研工業の軽自動車「N‐BOX」の補修交換用ワイパーゴムの一部のパッケージに、同社製の紙素材が採用されたと発表しました。王子エフテックス製の原紙を使用し、既存のプラスチック素材用包装機械を用いたまま紙素材へ切り替えることで、HONDAのプラスチック使用量削減方針に貢献したとのこと。
 同社は引き続き、環境配慮型素材・製品の開発を推進し、持続可能な社会の実現に貢献していくと表明しています。


2.段ボール原紙に過剰感の報道

 3月13日付の日本経済新聞紙上にて、段ボール原紙の在庫が高い水準で推移していると報じられています。日本製紙連合会の需給速報を集計したもので、2020年1月には49万5千トンだった在庫が2023年1月には67万2千トンまで増加し、新型コロナ5類移行後も60万トン前後の水準で推移しているとのこと。要因として記事は

・物価高で食品や飲料の消費が鈍り、梱包用段ボールの荷動きが停滞。
・包装の簡素化やコストダウンのため、段ボールの軽量化、包装用紙への切り替え等の動きが拡大。
・印刷用紙から段ボール原紙への生産品種転換などにより供給能力が増加。
・輸出は増加も、中国需要の不振等から拡大は一時的との見方。

などを挙げています。
 レンゴーは4月からの段ボール・紙器製品の価格改定を発表していますが、記事は値下げ圧力が強まる可能性を指摘しており、今後の価格動向に注目が集まりそうです。


【その他の市況/状況】

1.王子 CNFを主成分とする燃料電池用「高分子電解質膜」を開発

 王子ホールディングスは3月7日、CNFを主成分とする燃料電池用「高分子電解質膜」を山形大学と共同開発したと発表しました。既存の高分子電解質膜はフッ素を含むこと、石油由来の樹脂製であることから安全面や環境面の課題が指摘されているとのことで、今回開発の高分子電解質膜が課題解決のひとつになる可能性があることを同社は示唆しています。同社は今後も燃料電池に対する需要はますます高まるとの予想から、今回開発した高分子電解質膜の実用化に向けた研究開発を進めていくとしています。


2.国際紙パルプ 100%紙製のゴールネットを東京都北区に設置

 国際紙パルプ商事株式会社は3月14日、グループ会社の王子ファイバーが製造・販売するかみのいと「OJO+」を100%使用したゴールネットを、東京都北区立浮間子どもスポーツ広場のサッカー場に設置したと発表しました。同製品は100%紙製の環境配慮型製品で、まずは子ども用サッカー場から始め、2年後には成人用・アスリート用のフィールドへの展開を目指すとしています。また同社は、ゴールネットを設置した東京都北区が、渋沢栄一が日本初の製紙工場を設置した「国内洋紙発祥の地」であることもアピールしています。


【ESG、SDGs等関連】

1.王子HD 脱プラへの貢献をアピール

 王子ホールディングスは3月13日、「脱プラスチック社会への対応について」と題するニュースリリースをサイトに掲載し、同社の環境政策の一環である脱プラスチック社会への移行と廃プラスチックの再資源化についての貢献をアピールしています。2022年度実績として廃プラスチック排出量の約98%を再資源化したことを具体的な数字として発表するとともに、環境配慮型製品の採用事例として

・ブルボンのお菓子用包装
・三菱鉛筆のボールペンのブリスターパック
・カルビーのお菓子用包装
・王子ネピアのキッチンタオルとトイレットロール外装
・農業用マルチシート
・ナカバヤシのお菓子用包装
・紫野和久傳の和菓子用包装
・国際興業のバイオマススリッパ

に同社の紙素材・紙製品が採用されていることを挙げ、紙パッケージ導入による二酸化炭素排出量の削減効果を伝えています。


2.日本製紙 シマフクロウの生息地保全に関する覚書を更新

 日本製紙は3月5日、2015年5月に日本野鳥の会と締結した「シマフクロウの生息地保全と当社木材生産事業の両立に関する覚書」を見直し、2024年2月に更新したと発表しました。同社は2010年10月に日本野鳥の会とシマフクロウを含む野鳥保護を目的とした協定を結んで道東の複数の同社保有林でシマフクロウの生息地を保全する協働を行っており、シマフクロウの営巣地周辺で同社が行う森林施業への配慮について具体的な基準を明文化した覚書を、シマフクロウの生息地の保全範囲について実態に即して見直して、生物多様性の保全と木材生産事業の両立のさらなる強化を目指したと、今回の見直し・更新内容について説明しています。
 同社は今後も生物多様性の保全やステークホルダーとの連携を通じてネイチャーポジティブの実現に資する価値を提供することで、持続可能な社会づくりに貢献していくとしています。


3.大王製紙 「健康経営銘柄2024」に選定

 大王製紙は3月11日、経済産業省と東京証券取引所が健康経営に優れた企業を顕彰する「健康経営銘柄2024」に選定されたと発表しました。2年ぶり3度目の選定で、同時に「健康経営優良法人(大規模法人部門(ホワイト500))」にも7年連続で認定されたと発表しています。「社員がいきいきと活躍できる健康経営」を掲げライフワークバランスの推進や疾病の早期発見・早期治療などの取り組みを進展したことが評価されたとして、引き続き社員が健康に働ける環境を整備することで、SDGsの目標「3.すべての人に健康と福祉を」の達成に貢献することを目指していくとしています。


4.日本紙パルプ商事子会社 ぎふSDGs推進ゴールドパートナーに認定

 日本紙パルプ商事は3月14日、グループ会社の大豊製紙が「ぎふSDGs推進パートナー登録制度」の「ゴールドパートナー」に認定されたと発表しました。岐阜県が2023年7月に創設したこの登録制度は、SDGsの達成に寄与する事業者とその取り組みを「ぎふSDGs推進パートナー」として登録・見える化し、広く情報発信することで、事業者のさらなる取り組みを促進するとともに、SDGsに取り組む事業者の裾野を広げることを目的としているとのこと。
 大豊製紙は古紙を主原料とする段ボール原紙を製造する企業で、グリーン電力の使用や工場見学の受け入れといった具体的な取り組みを通じて、SDGsの17のターゲットに対して幅広く設定した目標の達成を目指しており、引き続き事業活動を通じて持続可能な社会の実現に貢献し、次世代に誇れる未来を創造していくと表明しています。


【印刷、製品、その他関連】

1.大日本印刷 絵柄を自由に選べるポストカードカレンダーを発売

 大日本印刷は3月11日、DNPフォトグッズ販売プラットフォーム「Imaging Mall🄬」に新商材と機能を追加したと発表しました。公式サイトに掲載された発表によると、

Imaging Mall🄬 DNPグループが、アイドルやキャラクター等のコンテンツを保有する企業向けに提供する、フォト関連のグッズを販売するWebプラットフォーム。企業はコンテンツ関連の画像を登録するだけで、ブロマイド写真・ポスター・写真集などをオンライン販売できる。
新商材 絵柄を自分好みにカスタマイズできる「ポストカードカレンダー」を3月11日に販売開始。絵柄とカレンダー台紙が別になっていて、台紙は縦・横どちらの向きにも対応できるため、好きな写真やその日の気分によって絵柄部分を入れ替えることができる。絵柄は公式コンテンツの中から好きな画像を自由に選択でき、絵柄の追加購入も可能。
追加機能 ファンクラブ等の会員組織を持つ企業向けに、会員限定のフォトグッズ販売機能を追加。限定グッズの販売によりファンクラブ等への入会促進、会員の満足度向上につなげる。
背景 特定のアイドルやキャラクターを応援する「推し活」の拡大を受け、個々の好みに応じたカスタム商品を求めるニーズに応えた商品を開発。

 DNPグループは今後も、生活者の体験や感動をより楽しく・より快適に・より印象的にする「写真」の価値を高める事業を展開していくとしています。


※文中敬称略
※文章は2024年3月18日現在、新聞記事などを基に華陽紙業にて編集しております。実際の動向についてはお客様にて総合的にご判断頂きますよう、お願い申し上げます。